新潟を拠点に活動するNGT48のメンバー・山口真帆への暴行事件に関する第三者委員会の調査結果を受け、同グループを運営するAKSが22日、新潟市内で会見を開いた。出席者は、AKS運営責任者兼取締役・松村匠氏、劇場支配人・早川麻衣子氏、副支配人・岡田剛氏の3名。本企画(「NGT48山口真帆 暴行被害事件」調査報告書会見 3時間の全記録)では、時系列に沿って発言をまとめていく。第2回は、開始20分頃から40分頃まで。

  • AKS

    左から早川麻衣子氏、松村匠氏、岡田剛氏

■記者との一問一答

――グループの総合プロデューサーである秋元康氏は何と言っているのか。

松村:やはり、憂慮されておられます。早く、NGTが次の道へ進めるようにと考えておられると思います。

――秋元氏は、なぜ公式の場で発言しないのか。

松村:NGTの運営に関しては弊社AKSが全権を握って対応しております。報告書の中にもございましたように、秋元さんはクリエイティブなところを中心にご担当されているので、ご理解いただければと思っております。

――今後もガバナンスやセキュリティーには関わらないのか。

松村:当然ながらわれわれ中心に考えていかなければならないと考えております。

――「中心」ということは関わらないということか。

松村:いえ、プロデューサーなのでクリエイティブなことをしっかりとやられると思いますし、われわれAKSはそれを支えるべく運営にしっかりと携わっていかなければならないと考えております。

――第三者委員会の弁護士3名が今日の会見に出席しない理由は。

松村:第三者委員会委員会は先生方3名と10名の方々が補助的な役割をされていますが、第三者委員会の先生方からは調査報告書を提出して、記者会見は私共がやるということになっておりますので、そのようにご理解頂ければと思います。

――両者で話し合いをして。

松村:はい。そうでございます。

――報告書には、複数のメンバーが被疑者らと私的領域で接触していたとあるが、運営側としては認識していたのか。

松村:「うかがわれる」であって、断定的なことではございません。先ほどから申し上げてますように、やはりコミュニケーションの不足、命令指揮系統。例えば、メンバーがマネージャーに伝えたことがそこで止まっていたり、あるいは私のところにそういう報告が上がっていなかったり、というようなことがあったと認識しております。

――他のAKB48グループにも組織運営上の問題があるのか。

松村:徹底して改善していくように考えております。

役員2名を無期限の30%減給処分

――一切処分を行わないということか。

松村:私が運営の全責任者ということで、今こちらの席に座らせていただいております。係る事態が発生したということでおよそ30%の減給を無期限でさせていただいております。

――30%の無期限減給が処分ということ。

松村:全責任者としての私の対応とご理解いただければと思います。

――報告書には新潟の地域性について、かなりの文量が割かれている。新潟にギャップを感じたことはあるのか。

松村:そういうことは一切ございません。私共が5番目のグループとして、新潟を私共で選ばせて頂きましたし、それを新潟の県民の皆様、メディアの皆様、地場のクライアントの皆様も大変歓迎もして頂きましたし、ここまでご支援をいただきましたので、われわれとしてはそういう思いを裏切るような、失望させるような結果になってしまったことを大変申し訳なく思っておりますし、今のご指摘のような考えは一切ございません。

――山口真帆への精神的なケアは。

松村:繰り返しになり恐縮ですが、やはり山口以外のメンバーとのコミュニケーションもしっかりと向き合っていかなければいけないですし、引き続きそれは行っていこうと考えております。

――報告書の12ページに役員一覧がある。それぞれの出身母体と主な担当業務は。

松村:代表の吉成(夏子)は社業全般でAKSのオーナー、専務の大村(拓也)は経営・経理・企画全般、私松村は運営に関する全責任を負っております。寺田(明弘)は海外事業を担当しているとご理解いただければと思います。

――出身母体を確認したい。吉成氏は享楽産業。

松村:そうです。

――寺田氏はエイベックスグループで、松村氏はフジテレビ。

松村:はい。大村は現在ヴィジュアルノーツという会社、KRKという会社から、AKS立ち上げの時から担当しています。

――大村氏が役員になったのは最近なのでは。

松村:ちょっと今は資料がないので、平成何年の何月ということはしっかりお答えできませんが、登記簿をご覧になれば開示されているかと思います。

――取締役会が会社の頭脳。この事態に対して、取締役会がどのように機能したのか。

松村:取締役会は月に2回、実施しております。本件に関しては、調査報告書及び、前回の囲み取材の時にもお話したように、係る事態が発生したということに関しての情報の上がり方が非常に不十分だったということは否めないと思います。その話が調査報告書にも反映されて書かれていることを非常に痛感して、激しく最も反省している部分です。

――企業のトップが危機対応に当たるのが定石。吉成氏は公の場に出ないのか。

松村:吉成は本日も諸々の対応、メンバーとのこともやらせていただいております。今日記者会見に私が出席したということでありますと、前回の1月14日に囲み取材をやらせていただいたのは私ですし、運営全般に関する責任は私が負っているということで本日は私が登壇させていただいております。その前に、取締役会の機能のご指摘があったと思いますが、おっしゃるとりごもっともかと思います。それに関しても、まずは取締役会に議題を上げる役目を担っているのは私ですので、私のそういう意識、危機管理に対する認識の甘さ、それがゆえに先ほど自ら申し上げましたけども、私自身の処分ということもそのようになっているということでございます。

――処分は一名のみなのか。

松村:私と、専務の大村です。

――同じく減給30%?

松村:はい。

――吉成氏は具体的にどのような対応を行っているのか。

松村:早川、岡田ももちろんですがメンバーとコミュニケーションを取るという対応をしております。それから、ご父兄の皆様方の対応にも当たっております。

――内々のフォローより、前面に出た方がよいのでは。

松村:それは今も申し上げましたように、私運営の責任者ということなのでそのようにご理解を頂きたく存じます。

  • AKS

    早川麻衣子氏

山口真帆の反応「私が聞いたことが書いていない」

――早川氏、報告書の説明を受けた時の山口の様子は?

早川:山口に説明をした時は、「私が聞いたことがちゃんと書いていない」という不満は持っておりました。それは山口に限らず、ほかにヒアリングを受けたメンバーだったり、記入シートに記入したメンバーも同じような思いを持っていると思います。ただ、事実としてこのような調査報告書が上がって来たことに対しては、みんな真摯に受け止めていると感じました。

――報告書には山口が主張で認められなかったことも記載されている。それでも不満を抱いていたのか。

早川:そうですね。自分が言ったことが書かれていない……どの部分をさしてそれを言っているのかまでは話はしていないんですけども、「これがすべてだよ」と言われて、「あ、そうですか」というふうに納得している感じではありませんでした。

――山口から活動辞退の申し出はあったのか。

早川:今ちょうど、それも含めて運営としては「またNGT48に戻ってみんなで一緒に前を向いてがんばろう」という姿勢は変わっておりませんし、それも山口に伝えておりますので、山口が話し合って判断することだと思います。

――山口からは「辞めたい」という意向は伝えられているのか。

早川:正式にそのような話を私が聞いているということはございません。

――他のメンバーからは?

早川:私のところにそのような話は、今のところ来てはおりません。

――事件発生の12月8日以降、いつどういう形で何がAKSに伝えられたのか。

松村:事件に関しては12月8日に発生して、翌日には報告があったと思います。ただ、その時点では(前劇場支配人)今村の方で対応するということでした。指示もしておりましたし、そのように今村も対応していたと思います。ただ、その後の共有がしっかりなされていなかった。これは今村がというより、私の認識の甘さかなと考えております。

――AKSは、NGT運営(劇場支配人)だけで解決できることと考えていたのか。

松村:解決できるというよりもその認識の甘さということで申しますと、その時点では警察の捜査ということが一点ございました。それとメンバーへの二次的被害が広がっているのですが、メンバーへの二次的被害を阻止しなければならないと今村にも指示はしましたが、警察の捜査の行方を一番重要視しておりました。

――山口が事件を告発して以降、劇場で謝罪をしたことが事態を大きくしたのではないか。その経緯は。

松村:それは報告書にも書かれている通り、私どもAKSのガバナンスの問題に尽きるかなと思います。

――NGTの運営すべてを支配人の今村悦朗氏(現在は契約解除)に委ねてしまったということか。

松村:そこのすべてを委ねるというか、コミュニケーションが不足していたのかなと本当に情けない話ですが、それがすべての原因かなと感じております。

――確か2016年夏頃、中井りかがSHOWROOMを配信中に近くで大声が出された事案があった。その後の安全対策の見直しは。

松村:見直しはしておりますけども、それが不十分だったという誹りは免れないと思います。やはりこういうセキュリティーというのは完璧はないと思いますが、当時もその対応はもちろんさせていただきましたし、本社の方でも対応はしたのですが、それがまだまだ不十分だった。今後はこのセキュリティーというのは、一瞬たりとも気を抜くことなく日々全員が、スタッフやメンバーがそれを意識して向上に努めていかなければならないと考えております。

■NGT48山口真帆 暴行被害事件の経緯

▽2018年12月8日
山口真帆が帰宅時に自宅の部屋の前で男2人から暴行被害を受ける

▽2018年12月9日
新潟県警が男2人を暴行容疑で逮捕

▽2018年12月28日
逮捕された男2人が不起訴処分

▽2019年1月8日
山口真帆が動画配信サービスやSNSを通じて事件を告発

▽2019年1月10日
山口真帆がNGT48劇場公演で謝罪

▽2019年1月11日
NGT劇場支配人の今村悦朗氏が異動、早川麻依子氏が新支配人に就任

▽2019年1月14日
「AKB48グループ成人式」後に運営責任者らが会見を開いて謝罪

▽2019年2月1日
事件を調査する第三者委員会を設置

▽2019年3月7日
前NGT劇場支配人・今村悦朗氏が不適切行動で契約解除

▽2019年3月21日
第三者委員会の報告書を公式サイトで公開「メンバー関与せず不問」