――番組作りにおいて、共通して意識されているのはどんなことですか?
一つは、「面白いものより、見たいもの」です。もちろん面白いものを作るのは大事なんですが、まずは見てもらわないと全く意味がない。僕らの仕事は、見てくれる人がいないと存在価値がありません。もう一つは、人を嫌な気持ちにさせない、「後味の悪いものにしない」ということ。この二つはすごく考えています。
――7月2日には、当連載に前回登場された内田さんと一緒に作っている『1周回って知らない話』のスペシャルがありますが、ゲストが佐々木希さんですね。
「今どきの視聴者が知らない疑問を本人に直接ぶつけて明らかにする」という番組なのですが、佐々木希さんに聞きたいことを普通の番組で考えると、「なんでそんなにキレイなの?」とか「仕事はいつまでやるの?」とか、オブラートに包んだ質問になりますよね。でも、本当に聞きたいことって何だと思いますか?
――それはもう、夫の渡部建さんとの関係ですよね。
そうなりますよね。今回は、「なんで離婚しないの?」という質問をぶつけてるんです。佐々木希さんと打ち合わせをしたら、「今回は覚悟を決めてきたので、全部しゃべります」と言ってくださって、すごい方だなと思いました。
それで実際に視聴者の疑問をぶつけてみたら、「離婚しないとは決めてないです」「まだ考え中です」と言うんです。ただ、お子さんにとって父親であることは変わりないですし、その子が将来、ネットに残っている情報を見て、自分の父親がどういうことをしたのかを知る日がいずれやって来るので、そんなものは隠せない。それは別れたら消えるものでもないというのを考えた時に、一度結婚して家族になると決めた以上、現状の選択をしたんだと聞いて、強い方だなと思いました。
その中でもリアルだなと思ったのは、「私がここで“許しました”とか“夫婦円満を目指します”とか言ったら、“我慢強い女性だ”とか“カッコいい”とか思われるかもしれないですが、それは嫌です」と言うんです。それが世の中の女性がすごく共感できそうで、素晴らしいなと思いました。切り口は下世話な質問ではあるんですけど、先ほど言った後味の悪いものにしたくないという思いがあるので、佐々木さんが本音を打ち明けられて、いい放送になるなと思いました。
本音を引き出す東野幸治の優しさ
――なぜ『1周回って知らない話』で、そこまで本音を語る決意をされたのでしょうか。
それはMCの東野幸治さんの存在が大きいと思います。渡部さんが謹慎になった時に、ご自身のYouTubeに出したりして、一番手を差し伸べているのは東野さん。『行列』では「人の心がない」なんてキャラクターを誇張していたので、これは営業妨害になってしまいますが(笑)、東野さんってめちゃくちゃ優しいんです。その感謝が、佐々木希さんにもあるのではないかと思います。
――『1周回って――』は、ゲストの皆さんが本音を語る番組ですよね。
滝沢秀明さんもそうでした。当時バリバリのアイドルでしたが、東野さんとのトークで「将来の夢は?」と聞かれて、「裏方になりたい」と言ったんですよ。だから引退するというニュースを見た時に、本当だったんだと思って。
杏さんも「女優業をやりながら女手一つで子育てできるの?」という疑問に、「そんなの無理に決まってるじゃないですか。めちゃめちゃシッターさんに任せてますよ」と答えたんです。佐々木希さんと同じように、カッコいいなと思いましたね。
――内田さんは、高嶋ちさ子さんファミリーの密着が、ご自身にとってターニングポイントになったとおっしゃっていました。
あのシリーズはすごいですよね。ダウン症のお姉さんに「この人訳わかんないのよ」と言ったり、90歳のお父さんに「うるさい!」と言ったりして、僕は正直、最初はこれを放送していいのかなと思って、ドキドキしながら放送に臨んだのを覚えています。結果、ものすごい反響で、ダウン症の子を持つ親御さんから「とても感動しました。よく放送してくれました」とか「うちも一緒です。ダウン症だからかわいそうだね、大変だねと言われるのは嫌なんです」といった声が寄せられたんです。
SNSで当事者でない人が何か言ってるかもしれませんが、放送にあたっては制作側の一方的な思いを入れず、本当に客観的に家族のリアルを出したので、それが伝わったのだと思います。先ほど言った「面白いものより、見たいもの」って、まさにこれだと思うんです。面白いものを作ろうとすると、どうしても作り手の気持ちが入り過ぎちゃうので。
