――今後こういう企画をやりたいというものはありますか?
さっき言ったように今スポーツをやっているので、スポーツバラエティでGP帯に数字がとれるレギュラー番組をやるのが次の夢ですね。視聴者を選ぶし、GPで数字をとるのがなかなか難しいジャンルなんですけど、そこを何とか打破してやる方法がないかなと考えています。
あとは地方の番組ですね。先ほど三重テレビの話もしましたが、鳥取と島根でしか流れていないガンバレルーヤの『冠ルーヤ』(日本海テレビ)という番組をやっていて、めちゃくちゃ楽しいんですよ(笑)。今やってる番組で一番と言えるくらい。
――なぜそんなに楽しいのですか?(笑)
いい意味での緩さと、全国放送にはないスタッフのこだわりがあるので。あと、あんまり数字のことを考えなくていいのもあります(笑)
キー局の番組じゃありえないぐらい緩いことが起こっても、そこを使ってちゃんと面白く成立するのは、地方局ならではの魅力だし、東京とはテレビの存在がちょっと違くて、ロケに出て街の人たちの反応を見ると、地方局の持つパワーはまだあるんだと感じるんです。なので、三重とか山陰とかにかかわらず、地方の番組で新しいことをやりたいなという思いもあります。
――コロナを経てリモートが発達して、地方の番組も担当しやすくなった面はありますか?
やっぱりありますね。年に1回は鳥取に行くんですけど、毎週のVチェックは全部リモートで成立しているので。
テレビとサブスク配信コンテンツは「全く別競技」
――近年はサブスクの配信コンテンツを担当される作家さんも多いですが、林田さんもやってらっしゃるのですか?
たまにお声掛けいただけることもあるんですけど、ほぼやってないです。テレビとは全く別競技だと思ってるので。無料でチャンネルを変えたら見られて、そこに引っかかって見てもらわないといけないテレビと、お金を払って自分から見に行くものは、同じ陸上でもマラソンと投てきくらい違うものだと思うので。
もちろん両方やられてる方もいますけど、その両方で金メダル級の活躍をしてる人はたぶんいないと思うんですよね。自分の場合、やるからにはどちらかに専念しないと、ちゃんと結果を残すことはできないと思うし、両方うまくやれる自信もないです。ただ、どっちがいいとか悪いとかではなく、どちらも共存するものだとは思っています。
――先ほどリモートの話もありましたが、テレビの変化によって作家さんのお仕事の変化というのはありますか?
自分の仕事においてはないですね。もちろんコンプラが厳しくなったとか予算が減ってるとかはあると思うのですが、ちょうど僕がこの業界に入った頃ぐらいから、テレビのいい時代が終わってしまったので、あんまり変化は感じてないです。入ったのはリーマンショックの後なので、全然いい思いも華やかな世界の体験もしてないんです(笑)。だからこそ、常にアップデートして、視聴者目線で作らなきゃいけないんだろうなと感じますし、それはテレビマンの皆さんもそうですよね。
――視聴者目線を持ち続けるために、テレビはかなりご覧になるのですか?
毎日送られてくる視聴率表を見て、極端に高かったり、逆に低かったりする番組があったら、まずそれを見ます。あれだけいつも数字とってる番組でも、あのテーマだったりああいう見せ方をしたらとらないんだというデータになるので。
――最近のテレビ局の企画募集にはどのような傾向を感じていますか?
あくまでも個人的な印象ですが、ざっくりした企画募集が増えている印象はあります。どの局も新番組を立ち上げても苦戦することが多いから、編成の方たちも悩んでるんだろうなとは感じます。ただのイチ作家が偉そうにすみません…。
でも、「この局は今こういう番組がないな」とか「他局でこういうのが数字とってるから、これをヒントにどういう企画を出そうか」って考えているときは楽しいです。
――ご自身が影響を受けた番組を1本挙げるとすると、何でしょうか?
作家になったきっかけは『ごっつ(ダウンタウンのごっつええ感じ)』(フジテレビ)ですね。「あんな面白いことがあるんだ!」って衝撃を受けて松本さんにハマってなかったら、今この仕事をやっていないので。
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”を伺いたいのですが…
『1周回って』でお世話になっている内田秀実さんです。3~4年前にいきなり「もともとドラマやりたかったから」と希望出して、異動してすぐGP帯のドラマでメイン監督やって、『1周回って』の特番も年2~3回やって個人視聴率7~8%とって。そんな二刀流をやってる人、この業界に他にいないと思います。さらに、バカリズムさんの『ノンレムの窓』というドラマとお笑いの融合もやっていて、どういうふうに頭を切り替えているのか。
あと『1周回って―』では、ゲストが決まって、その人をどういう角度で掘っていくかというのを内田さんの感覚で決めていくのですが、それがドラマを始めてから鋭くなっていると思うんです。ご自身の中で何か変化があったのか、聞いてみたいです。