『水曜日のダウンタウン』総合演出の藤井健太郎氏

――『水曜日のダウンタウン』も担当されていますが、こちらはどんな雰囲気ですか?

僕なんかが語るのはおこがましいですが、「とにかく面白いことをやる」っていうシンプルな目標なんで、チームのまとまりはある気がします。よく「攻めてる番組」とか言われてますけど、総合演出の藤井(健太郎)さんは、いろんなインタビューに出たりして顔も名前も広まってるから、何かあったら全部藤井さんが批判されちゃうじゃないですか。そういうリスクも背負って矢面に立ってくれる存在がいるからこそ、スタッフは付いて行けるんじゃないですかね。

そういう演出家って実は珍しいと思います。作家に対しても「とにかく面白いアイデア下さい」ってスタンスなので、プレッシャーはありますが、やりがいはあります。

――TBSでは新たにスタートする霜降り明星さん、ミキさん、EXITさんという、いわゆる“お笑い第7世代”のバラエティ『霜降りミキXIT』も担当されますよね。やはり、あの世代の勢いは感じますか?

(霜降り明星の)せいやさんの“お笑い第7世代”という言葉がひとり歩きして、あの年代の人たちが丸ごとムーブメントになったというのはすごいよね。あと、テレビに固執してない芸人さんが多いのも特徴なのかも。「YouTubeのほうが楽しい」とか「テレビのココが納得いかない!」みたいな話も堂々とするじゃないですか(笑)。「テレビのお約束」に縛られないところも、今どきの若い視聴者感覚に近い気がします。「絶対に爪痕残そう!!」って、変に意気込んで空回りすることも少ないので、バラエティになじむスピードが早い印象があります。

『霜降りミキXIT』のスタートはもう少し先ですが、同世代ならではのグルーヴ感が存分に発揮されるんじゃないかと期待してます。

■オードリーとは風呂なしアパート時代から

  • オードリー

――これまでお話ししていただいた番組を含め、いくつものレギュラーを抱えてらっしゃいますが、一番密にお仕事をしている芸人さんは、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)をやっているオードリーさんですか?

今はそうかもしれません。2006年のオードリー初単独ライブのときに、僕が映像編集もちょっとかじっていたので、元々知り合いだったサトミツ(どきどきキャンプ・佐藤満春=『オードリーのオールナイトニッポン』構成)さんの紹介で、オープニングや幕間の映像を作成させてもらったのがお仕事した最初でした。オードリーの2人と打ち合わせするのが、風呂なしアパートの我が家だったので、こんな汚いところで申し訳ないと思ってたんですが、よく考えたらその場にいた全員風呂なしに住んでたんですよね(笑)

(オードリーが準優勝した2008年の)『M-1』後は、『黄金伝説』でオードリーのロケを担当をしたり、『たりないふたり』で若林(正恭)さんと山里(亮太)さんと会議に参加させてもらったりなど、たまたまなんですがいろんなご縁がありました。

――お2人の魅力は、どんなところでしょうか?

「飯塚が語るんじゃないよ」と言われちゃいそうですけど、若林さんは「多様性を重視する番組のMCが多い」って自分でも言っているとおり、ものすごくいろんな視点から人や世の中を見ていて、バランス感覚がすごいと思います。いろんなことに気をつかいすぎて、毎日相当疲れるだろうなと思いますけど(笑)

春日さんは「ミッションに挑戦する達人」で、テレビマンがこだわる「なぜやるのか?」みたいな動機づけを全部ぶっとばせる稀有(けう)な存在だと思います。「東大受験」も「ボディビル」も、「春日だから頑張る」って理由でやれちゃうじゃないですか(笑)

あと、これくらいのキャリアの芸人さんなら、決まった型の漫才をやり続ける人も多いですど、オードリーは漫才も年々進化してるのがスゴいです。『オールナイトニッポン』の武道館ライブで披露した30分漫才がYouTubeにあるので、あれはぜひ見てほしいです。

■大学の落研つながりのナイツ

  • ナイツ

――ナイツさんも、単独ライブをお手伝いしたりと深い関係ですよね。

ナイツさんは2⼈とも⼤学の落研の先輩なんです。僕が作家になるために都⼼の⽅に引っ越そうとしたときも、「ウチの近所に来たら?」って⾔ってくれて、⼤学卒業後しばらくは⼟屋(伸之)さんの実家の近所に住んでました。ライブなどのお手伝いをさせてもらいながら、たまに⼟屋さんのお⺟さんに⼣⾷をごちそうになったりしてました(笑)

塙(宣之)さんは、あんなにクレイジーなのに人格者っていう不思議な人で、いろんな番組のスタッフから「塙さんが『飯塚くんには昔から世話になってる』って言ってたよ」ってよく聞くんです。打ち合わせとかで、僕の名前をわざわざ出してくれるらしくて、めちゃくちゃうれしいですよね。

いまは毎年ある『ナイツ独演会』の⽇替わりネタ(作家が書いたネタをやる企画コーナー)で漫才の台本を書かせていただいたりしていて、シンプルにナイツの漫才のファンなので、ありがたいやら恐れ多いやらという感じです。