――千鳥さんのすごさを感じるのは、どんなところですか?
視野の広さがもうすごいですもん。「そこ見てんの!?」っていうところを見てたりするから。一番最初にびっくりしたのは、岩井さんの回。最後、銭湯に行って、入浴シーンを撮るときに、僕、暑いからトレーナーを脱いだんです。それで、一番目立たないやろうと思って脱衣所のカゴの一番下に入れてたんすよね。
それでお風呂を出て、エンディングのコメントを聞いてる時に、端っこにちらっとトレーナーが映ってたんです。編集で散々見たのに気づかなくて。ほんなら大悟さんが、「お前も風呂入っとるやないか」って(笑)。「そんなとこ見てる!?」と思って衝撃でしたね。
――『相席食堂』で最初に担当された横澤夏子さんの回から、千鳥のお二人に、カラフルな服装と風貌で「カポエイラ」という風にイジられていましたね。
自分が昔、飲食店をやってて、目の前にいる人が喜んでくれるから、服装がどんどん自分の好きな派手な色になっていったんですよね。ただ、テレビに映るって、僕のことを知らない人がご覧になるわけですから、映って良いのかなと思う時があります、本当は(笑)。でも、僕が関わることで笑ってくれる人がいるんやったらうれしいっていうこの両軸が、僕の中ではもう乖離してて。だからあんまり考えないようにしてます(笑)
――それは意外です。
田舎に行った時とかにおばあちゃんが、「きれいな色の服着とんねお兄ちゃん」とかって言われるのはむちゃくちゃうれしいんです。「(今着ている服の柄が)レモンやろ」言うて、「脱いだら中、枝豆や!」とか言うて、ほっこりする時間とかはすごい好きなんですけどね。
テレビのジレンマが解消された飲食業時代
――先ほど、テレビ業界から離れた時期があったとおっしゃっていましたが、何をされていたんですか?
僕は大学を卒業して、関西のバラエティ制作会社に入ったんですけど、3年経ったら辞めようと思ってたんですよ。制作会社って一定のところまでいったら独立するもんや、っていう思い込みがあったので。
でも、3年じゃなんにも分かんなくて、6年でも分かんなくて、ま、9年過ぎたぐらいで、「あ、なんかちょっと、僕の思う面白いってこうやったら作れるのかな」っていうのが実感できてきたんで、じゃあちょっと次のことしようかなと思って。『今ちゃんの「実は…」』っていう番組で自由にやらせてもらえたから、ひと段落したみたいなとこもあったかもしれないですね。
――「次のこと」とは?
学校法人で働こうと思ったり、タイでテレビ番組作ろうとしたりしていたんですけど、うまくいかず、嫁から「いい加減働いてくれる?」って言われたタイミングで飲食店をやらないかと誘われて、牡蠣の食べ放題の店を始めたんです。テレビって視聴率でしかリアクションが返ってこないじゃないですか。でも、自分が牡蠣のことを説明して、お客さんがどんな顔をしてそれを聞いて、食べた時にどうなるのかっていうのが、直接リアクションが返ってくるのがむちゃくちゃ楽しくて。盛り上げれば盛り上げるほどいっぱい食べてくれるわけですよ。
ただ、フランチャイズなんで本部からむちゃくちゃ怒られる。「盛り上げるな」「原価率が上がる、利益率が下がる」って。それでも僕は、もう楽しんで帰ってもらいたい。味が60点でも、40点楽しかったら100点の印象で帰るじゃないですか。テレビのジレンマがこんな形で解消されるのかと、すごい発見でしたね。
――そこからどうしてテレビに戻ってきたんですか?
テレビ業も飲食業の傍ら細々と続けてはいたんです。で、3店舗まで増やした店も赤字になってきて売却して、「飲食落ち着くんやったら、ちょっと帰ってきませんか」って誘ってもらったんです。『今ちゃんの「実は…」』のスタッフが新しい番組を立ち上げるからって紹介してもらったのが『相席食堂』。レギュラー化したときから参加しました。
