注目を集めるテレビ番組のディレクター、プロデューサー、放送作家、脚本家たちを、プロフェッショナルとしての尊敬の念を込めて“テレビ屋”と呼び、作り手の素顔を通して、番組の面白さを探っていく連載インタビュー「テレビ屋の声」。今回の“テレビ屋”は、フジテレビ系バラエティ番組『千鳥の鬼レンチャン』で演出、『新しいカギ』でディレクターを担当する千葉悠矢氏だ。
独特の言い回しのナレーションが特徴的なVTRで挑戦者の魅力を引き出す『千鳥の鬼レンチャン』だが、その原点は格闘技番組で作ってきた“煽りV”にあるという。そんなVTR作りのこだわりや愛すべき挑戦者たちへの思い、その面白さを何倍にも増幅させるという千鳥&かまいたちの「天才的」な空気作りなどを語ってくれた――。
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千葉悠矢
1993年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学卒業後、16年にフジテレビジョン入社。以来、『超ハマる!爆笑キャラパレード』『FUJIYAMA FIGHT CLUB』『RIZIN』『久保みねヒャダこじらせナイト』『ネタパレ』でADを担当。17年に『白昼夢』でディレクターデビューし、同年に社内のプレゼン大会で優勝して番組化された『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』を企画・演出。現在は『千鳥の鬼レンチャン』で演出、『新しいカギ』でディレクターを務める。
入社2年目で立ち上げた『99人の壁』の思い出
――前回登場した日本テレビの廣瀬隆太郎さんが、千葉さんについて、「フジテレビの入社面接で一緒になってから今でもずっと仲が良くて、意見交換もするんです。僕とは全然タイプが違うんですけど、お互い切磋琢磨してやっています」とおっしゃっていました。
月1くらいで一緒にご飯を食べに行く関係で、「今フジテレビに入ったらある意味一番面白いよ」とずっと勧誘しています(笑)。日テレさんですごく企画を通している印象があるので、廣瀬がやってる番組を見ると「こっちも頑張らないとな」と思うことが多いですね。
――テレビの業界を目指すきっかけは何だったのですか?
シンプルにテレビ好きな学生で、さまぁ~ずさんが特に好きだったんです。キー局全部でレギュラーを持ってる時期があったんですけど、それをずっと見ていて、「楽しそうに作ってるなあ。その輪に入りたいな」と思って、漠然と目指し始めた感じですね。
――そしてフジテレビに入社されて、志望通りバラエティ制作に配属され、最初にご担当された番組は何ですか?
レギュラーでは『超ハマる!爆笑キャラパレード』という南原(清隆)さんMCの番組だったんですが、いろんな番組を掛け持ったほうがいいという方針で『RIZIN』のチームに入って『FUJIYAMA FIGHT CLUB』という格闘技の情報番組と、『久保みねヒャダこじらせナイト』の3つの番組を担当していました。
――そうした中で、入社2年目に社内の企画プレゼン大会で優勝して、『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』を立ち上げるわけですね。
ありがたいことだったのですが、企画が通った時に普段のAD業務もあるし、誰かが代わりに演出に立ってやってくれるのかと思ったら「やってみたら?」と言われて。やり方も全く分からなかったんですけど、とりあえず「はい」って言ってやってみた感じですね。
――これは忘れられない仕事ですよね。
そうですね。初回収録はめっちゃ楽しみだったんです。今だったら収録前日なんて「あれウケるかな…」「事故ったらどうしよう…」なんてことばかり考えるんですけど、「早く明日になって収録を迎えたい」と思ってたんですよ。シミュレーションはやってますけど、1人対99人のクイズが成立するか分からないし、(佐藤)二朗さんがどれくらいMCができるのかも分からないし、不確定要素が多い状況だったのに。今考えると、あの感覚が最近はないなと思ったりします。
――1回目が放送されると、またたく間に評判になりました。
大みそかの朝10時で、当時の全タイムテーブルで一番暗いスタジオセットでやってたんですよ。午前中だから明るいセットがいいとか、テレビのセオリーをマジで知らないで作っていたので、今見返すと超恥ずかしいです(笑)
――でもそれは、自由に作らせてくれたということですよね。
そうですね。当時の上司の皆さんに「これは自分で決めていいよ」と言っていただいた記憶があります。
「これ事故るぞ!」で臨んだ『27時間テレビ』生放送
――ほかにも忘れられない仕事を挙げると、何ですか?
最近では、『新しいカギ』メインでやった去年の『FNS27時間テレビ』もすごかったなと思います。総合演出で(田中)良樹さんと杉野(幹典)さんがやっていましたけど、あの中高生の皆さんの熱気を作るのは僕にはできないなと。最後の「カギダンススタジアム」は鳥肌が立って、身震いする感じがあったんです。「歓喜」とか「涙」とか、あんなに人の感情があふれまくっていた現場は一生忘れられないですね。
――千葉さんはどのコーナーをメインで担当されていたのですか?
「高校生クイズ何問目?」をやっていたのですが、『99人の壁』の初回とは真逆で、9年目になって超不安だったんです(笑)。生放送で早押しクイズをやるなんて聞いたことなくて、でも良樹さんの「高校生たちが白熱する姿を映したい。そのためには早押しクイズを生でやりたい」という熱い想いがあって実現したんですけど、なめ出し(※クイズの出題文を読み上げるスピードに合わせて出す)テロップって生で出せるのかとか、出題中の大きく出した写真を早押しボタンが押された瞬間に小さくしなければいけないとか、オペレーションがめちゃくちゃ多くて。早押しボタンが調子悪かったら終わりですし、ミスジャッジが起きたらどうしようというのもありましたし、事故る要素が大量に詰まってた企画なんです。
実際リハーサルでは超ボロボロで「これ事故るぞ!」という感じだったのですが、技術チームや他のカギスタッフの皆さんにめちゃめちゃ助けてもらいながら、なんだかんだ本番はトラブルなく終わりました。あれは久々にめっちゃ怖かった本番で、超興奮しましたね。スタートから『27時間テレビ』がだいぶうまくいって盛り上がっていて、僕の担当のタイミングで数字(視聴率)が一気に落ちたらどうしようって思っていたので、かなりしびれました。
参加してくれた高校生の皆さんはもちろん、皆さんほぼ不眠不休のなか、ガッチリ進行してくれたチョコプラさん、あの早稲田高校と互角に戦ってくれた粗品さん、せいやさん、岡部(大)さん、応援席から盛り上げてくれた秋山(寛貴)さん、菊田(竜大)さんには感謝しかないです。
