テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第264回は、24日に放送されたテレビ朝日系バラエティ特番『テレ朝人気クイズに全部出ちゃいますスペシャル』(18:50~)をピックアップする。

テレ朝が2月24日~26日の週末ゴールデン帯に8番組をコラボさせた3夜連続企画『コラボしまくり!ザワつく金土日!』を放送した。その第1弾が『ザワつく!金曜日』『くりぃむクイズ ミラクル9』『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』がコラボしたこの特番。

「各番組のMCとレギュラーが互いの名物クイズに挑む」という対抗戦が行われたが、3夜連続コラボそのものも含め、掘り下げていく。

  • (左から)長嶋一茂、石原良純、高嶋ちさ子

    (左から)長嶋一茂、石原良純、高嶋ちさ子

■身内クイズで約36分はアリなのか

番組は『ザワつく!金曜日』のセットに集まった出演者たちのスタジオトークからスタート。3番組のMCが一堂に会すると、やはり豪華に見えて特番らしさを感じさせられる。

進行は高橋茂雄が務め、『ザワつく!金曜日』から石原良純、長嶋一茂、高嶋ちさ子、『ミラクル9』から有田哲平、具志堅用高、吉村崇、『Qさま』から三村マサカズ、大竹一樹、優香、高山一実が参加。いずれも各番組の誇るクイズ巧者ではないだけに、「難問を次々に答えて盛り上がる」という構成・演出は考えづらい。

ただ、石原が「(『ザワつく!金曜日』は)クイズ番組じゃない」「『Qさま』チームって言ったって、いつもは答えていない人たち」と自虐的にツッコんでいたように、ちょっと無理のある設定なのは間違いないだろう。それをごまかそうとせず、番組の冒頭で自ら指摘した点は正直で好感が持てた。

1、2問目は早押し問題の「工場で作られているモノは何?」で、正解はワッフルとジーマーミ豆腐。長年さまざまな番組で採用されてきたド定番のクイズ形式であり、その分かりやすさから大型特番のトップに据えたのだろう。

3問目は、「1位を当てるな!選手権 ザワつく!好感度調査」。「スタジオの10人で一番ケチそうなのは誰?」というアンケートクイズが出題され、1位は吉村崇だったのだが、何とこの1問で約36分もの時間を費やすほどの長さだった。出演者が盛り上がる、言わば“身内クイズ”だけに、よほど彼らのことが好きな視聴者でなければつらかったのではないか。

4問目も同様のアンケートクイズで、20代の高山を除いた9人で「自分の親だとうれしいのは誰?」。結果は1位が有田哲平で、下から3人は7位:石原、8位:高嶋、9位:一茂と「『ザワつく!金曜日』が若年層の好感度が低い」という事実が露呈されてしまった。ちなみにこのクイズも約23分もの時間をかけており、やはりテンポの悪さが気になってしまう。

■最後は一茂とカズレーザーの一騎打ち

1時間あまりが過ぎたところで、『ミラクル9』ステージに突入。進行役に上田晋也と田原萌々アナが登場し、早速クイズ「トップ9を当てろ&ビンゴを作れ」が始まった。よく見ると、『ミラクル9』のメンバーに王林、宮崎美子、斎藤司、大家志津香、『Qさま』のメンバーに宇治原史規、伊集院光が加わっている。

こちらも1問目はアンケートクイズで、「フルーツ狩りが楽しみな果物は?」。1位から9位を当ててビンゴの数を競い合うという形式のクイズだった。続く2問目は「グルメ&絶景!! トラベルQ」で、都道府県を沖縄から順に北上していくクイズ。不正解者が脱落していく形式で最後に『Qさま』の宇治原と『ミラクル9』の宮崎が残ったが、宮崎が勝ち残った。『ミラクル9』ステージに入って「ようやくクイズ番組らしくなった」と感じた視聴者は多かったのではないか。

残り1時間となって『Qさま』ステージがスタート。『Qさま』に山崎弘也、村井美樹、『ミラクル9』にえなりかずきが加わっている。クイズは「1つだけあるウソを見破れ!」という3択形式。1問目は実際になかった雲を当てるクイズで、「A:真っ白なウニ、B:真っ赤なバラ、C:虹色のドーナツ」。正解はAで、ちなみに気象予報士の石原は正解だった。

2問目は「A:ふわふわした虫、B:金ピカに輝く虫、C:赤い鉄骨のような虫」の中から実際にいない虫を当てるクイズで、正解はC。3問目は「A:海底にすっぽり隠れる、B:クネクネ泳いで逃げる、C:一瞬で巨大化して威嚇」の中からイソギンチャクが身を守る習性ではないものを当てるクイズで、正解はCだった。

この時点で『ザワつく』が15点、『ミラクル9』が30点、『Qさま』が0点。しかもこのタイミングで、裏番組の『沸騰ワード10』(日本テレビ系)が終わったクイズ界のエースタレント・カズレーザーがトップの『ミラクル9』チームに加わり、圧勝ムードが漂っていた。

その後、海の生き物を表す漢字、生き物の名前、野菜の和訳のクイズを出題。最後は「小中学校の教科書から出題 昭和映像早押しクイズ」が6問出題され、最後の1問のみ30ポイントという逆転劇を生み出せそうな設定が用意された。

その問題は、「昭和34年 この建造物は?」で答えは黒部ダム、「昭和40年 日本の美術館にきたこれは何?」で正解はツタンカーメン、「この人物は誰?」で正解はエジソン、「昭和38年 この人物は誰?」で正解はジョン・F・ケネディ、「昭和44年 この世界遺産はどこ?」で正解は高野山。

すでに『Qさま』の脱落が決定し、最後の1問は『ザワつく!金曜日』の一茂と『ミラクル9』のカズレーザーが一騎打ちになった。ある意味、テレビ朝日のバラエティを対照的なキャラでけん引する2人のバトルはクライマックスにふさわしい。