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こうして「音楽業界の壁」を相手に初のファイナルステージ進出者になれたのだが、最後は早押しクイズ3本勝負で、あっさり2本先取され、敗退してしまった。内訳を書かせてもらうと、1問目は「このカラオケ採点映像の曲のタイトルは何?」という問題で思考回路が停止。本音を言うと、「カラオケの音程?」「ドラマ名じゃなくて曲名当て?」という戸惑いから、音程のバーすらほとんど見ていなかった。

2問目は「この円グラフが表しているドラマソングは何?」で、正解は筆者が2日前に劇伴を聴き込んで対策していた『北の国から』だったが、1問目の戸惑いを引きずってしまい、反応できなかった。もともとひらめき問題が苦手な上に精神的な乱れも加わって、当然の敗退だったと感じている。

ただ1つ気になったのは、このファイナルについてツイッター上に「ドラマ関係なさすぎる」「100万円獲らせる気ない」「ちゃんとした真剣勝負が見たかった」などの声が8割前後を占め、「この問題はすごい」「クイズが秀逸すぎる」という声の2割前後をかなり上回っていたこと。筆者としては敗因も見い出せて納得しているのだが、番組のクライマックスであり100万円がかかったクイズだけに、視聴者が見たかったのは「プロ対プロの真っ向勝負だった」ということなのかもしれない。

このようなファイナルステージのクイズについては、2年前あたりから最近まで「それはないだろう」という不満の声がつきものであり、それに対応すべく制作サイドの工夫も見て取れる。たとえば、今回ツイッター上に「ファイナルになって急に『東大王』(TBS系)みたいな問題になった」という声が上がっていたが、「クイズのトレンドを採り入れてみた」という可能性もあるだろう。

当番組のクイズ構成は、矢野了平氏、日高大介氏、長戸勇人氏らを筆頭に業界のレジェンドらが手がけているだけに、そのスキルに疑いの余地はない。番組の変化に合わせて試行錯誤を続けながら、近いうちに賛否両論が同数くらいのファイナルステージにふさわしいクイズに仕上げてくるのではないか。

■ツイートにつなげる数々の仕掛け

放送当日、松本人志が民放20年ぶりの新作コントに挑む『キングオブコントの会』(TBS系)を筆頭に強力な裏番組がそろう中、ツイッターのトレンドランキングでは『99人の壁』が圧倒していた。

これは制作サイドが、平成・令和のヒット曲、若手ジャニーズグループ、アニメソング、ドラマソングなど、ネット反響の大きいクイズをそろえていたからだろう。さらに、「ウマ娘」「畑亜貴」などの思わずつぶやきたくなるキーワードをクイズに散りばめていた点も巧みだった。また、出演者サイドにも、AKB48、櫻坂46、豆柴の大群、純烈と熱心なファンの多いグループを“壁”にそろえてツイートを活性化させるなど、「やれることはすべてやった」という感覚ではないか。

それでいてマニア的になりすぎず、全世代対応型のクイズにまとめたバランス感覚は見事であり、ネット反響の得られる番組にきっちり仕上がっていた。しかし、ネット上の動きが活発だった半面、視聴率は民放主要5局で最下位に終わってしまったのも事実。ようやくネット上の反響も評価指標に入りつつあるが、まだまだ現場のスタッフたちは視聴率という結果を求めなければいけないのも確かだ。

だからこそ1st~3rdステージは、チャレンジャーにはイージーである一方、一般視聴者が答えやすく楽しめるレベルのクイズを続けて、4thステージで急にクイズの内容と「99人vs1人の早押し」というダブルで難易度を上げるという構成を採用しているのではないか。

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■フジの逆境をはね返す象徴的な番組に

実際に参加してみて、リニューアル前は「チャレンジャーが愛するジャンルの問題で豊富な知識を披露し、生き生きとした姿を見せる」というチャレンジャーに寄り添うタイプの番組だったが、現在は「家で盛り上がりながら楽しく見られる」という視聴者に寄り添うタイプの番組に変わっていることが分かった。

それは、クイズジャンルから固有名詞やマニアックなものが消え、平成・令和ヒットソング、男性グループ、アニメソング、ドラマソングという「多くの人々が楽しみやすい幅広いものになっている」ことからも分かるだろう。もちろんこれは決して悪いことではなく、むしろ「出る人より見る人のほうが圧倒的に多く、見てもらえなければ番組は続いていかない」のだから当然の変化なのかもしれない。

ちなみに、筆者は月9ドラマ『イチケイのカラス』にちなんで裁判官風の服装で出演したのだが、それにまつわるトークはカットされていた。本来、自局番組のPR(しかも翌々日に最終話を迎える)につながるトークであるにもかかわらず、「過剰な宣伝を避けよう」というスタッフの真摯(しんし)な姿勢と言っていいのではないか。

フジテレビは依然、「何かと叩かれやすい」という状況が続いているが、現場のスタッフたちは、そうならないようにこのような配慮や工夫を心がけているのだ。以前より数を減らしたとは言え、ゴールデンタイムほぼ唯一の視聴者参加型番組であり続ける『99人の壁』には、フジテレビの象徴的な番組として逆境をはね返してほしいと願っている。

今回のようにスタッフたちの努力で、最高のネット反響を獲得し続けていけば、それも夢ではないだろう。

■次の“贔屓”は…山田孝之参戦で衝撃必至の「イケメンタル」『まっちゃんねる』

『まっちゃんねる』に出演する松本人志 (C)フジテレビ

今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、19日に放送されるフジテレビ系バラエティ特番『まっちゃんねる』(21:00~23:10)。

「松本人志が地上波でとにかく面白いことを探ってみる実験的バラエティ」というコンセプトの特番で、昨年10月に続く第2弾となる。今回は昨秋の第1弾で驚きと爆笑をもたらした「女子メンタル」と、新たな試みとなる「イケメンタル」の2本立て。

それぞれ、「女子メンタル」には、井上咲楽、神田愛花、菊地亜美、鈴木奈々、野呂佳代、浜口京子、ファーストサマーウイカ、丸山桂里奈。「イケメンタル」には、木村昴、島太星(NORD)、JOY、高橋克典、武田真治、山田孝之が出演する(※五十音順)。山田孝之や高橋克典がどんなボケを繰り出すのか……それだけでもネット上の話題を独占しそうな可能性を感じてしまう。