こんにちは、鍼灸師の片山愛子です。今回は、夏バテ予防にセルフケアしていただきたい胃腸を元気にするツボをご紹介します。

梅雨の終わりごろから始まる「暑気あたり」「夏バテ」とも言われる心身の不調。「体が重だるい」「便秘」「下痢」「胃もたれ」「消化不良」「眠りが浅い」「疲れやすい」「疲れが取れない」「イライラ」などの症状は、「脱水」「栄養不足」「自律神経失調症」が関係して起こります。

水分不足から起きる便秘や、汗と一緒に体内のミネラル分が失われてしまうことによる疲労感。冷たいものばかり摂取して胃が疲れてしまうことによる胃腸の冷えや下痢、それによる食欲減退。外気温とクーラーの効いた室内の温度差などで体温をコントロールする自律神経が乱れることによる胃腸障害など……。不調は蓄積されて夏の終わりごろにピークとなり、そのまま秋までひきずってしまう方が増えています。

整腸で代謝アップ! 夏前ダイエットでもご紹介しましたが、副交感神経が低下することによる自律神経失調は、腸の機能低下を招き免疫力を低下させます。また、腸は「第2の脳」であり「最大の免疫組織」です。免疫を担当するリンパ球の半分以上が腸に存在し、外部からくる細菌やウイルスなどから体を防御し続けています。

猛暑を前に腸を元気にすることで自律神経を整えましょう。免疫力の低下を防ぐことができれば、夏バテも予防できますよ。

胃腸を元気にして夏バテ予防! セルフケアしたいツボ

ツボの刺激効果を得るポイントは、強く押しすぎないこと。心地よい刺激を感じることで、効果が増幅されます。

陰陵泉(いんりょうせん)

むくみ、食欲不振、泌尿器・生殖器の機能低下、膝痛などに効果があるとされています。

■場所: すねの上部内側、すねの骨の内側ラインを足首側からなで上げていき、膝の下の骨のでっぱり部分でとまるところ。

陰陵泉(いんりょうせん)の場所

足三里(あしさんり)

胃腸と免疫の万能養生ツボと考えられています。

■場所: すねの上部、膝のお皿のすぐ下にあるくぼみから指の幅4本分下で、すねの外側にある筋肉の上。

足三里(あしさんり)の場所

中かん(ちゅうかん)

消化器の機能低下、精神不安のときに効果があるとされています。

■場所: 腹、おへそと鼻を結ぶ線上で、バストのアンダーラインとおへその真ん中。

中かん(ちゅうかん)の場所

脾兪(ひゆ)

消化器の機能低下、消化不良、食欲不振などに効果があるとされています。

■場所: 腰の上部、背骨の両側の筋肉の盛り上がりで、胃の裏に当たるところ。

脾兪(ひゆ)の場所

これらのツボのセルフケアに加えて、気を付けていただきたいのは食事や生活習慣の改善です。

食事と水分

食欲がなくても1日3食をきちんと摂(と)りましょう。冷たいものは控えめにして、消化の良い良質のたんぱく質、ビタミンCやビタミンDを含む夏野菜や緑黄色野菜、ビタミンB1が豊富な豚肉や大豆、海藻やキノコといったミネラルが多い食品を少しずつでも良いのでバランスよく食べることが大切です。また、しょうがやこしょうなどの香辛料は食欲を増進させます。

喉が渇く前にこまめに水分を補給することで脱水症状を予防できますが、冷たい飲み物は吸収されにくく胃に負担をかけるため、ぬるめの飲み物をお勧めします。

生活習慣の改善

早寝早起きを心がけ、適度な運動をしましょう。運動は自律神経を整えますし、食欲増進やストレス解消にも有効です。早朝や夕方など涼しい時間帯の軽い運動を習慣づけましょう。

また、入浴はシャワーで済まさずにぬるめのお湯にゆったりつかるようにしてください。クーラーや汗で冷えた体を温めるとリラックスできますし、質の良い睡眠がとれます。

エアコンは外気温との温度差5度以内で使用すると、冷房病を防ぐとともに熱中症対策にもなります。



記事監修: 片山愛子(かたやま あいこ)

鍼灸師。人間総合科学大学鍼灸医療専門学校東洋医療鍼灸学科(旧早稲田医療)卒業。同校臨床実習施設にて卒後研修修了。医学博士町田雅秀先生に師事。メディコ八千代院長。あおぞら鍼灸治療室勤務。メディコ新宿勤務。在学中より現在まで東京医科大学にて年数回の解剖実習、中国での中医学研修、薬膳研修修了。予防医学・介護予防運動・美容健康などについて研修。疾病治療と予防医学を東西医学の両面からアプローチした治療を実践。