エビフライなどの名古屋メシは愛知県のデータにどう出ている?

独特の生活文化を持つと言われる愛知県。データをひもといてみると、その特徴的な風土がうかがえます。

トヨタの力もあって工業生産額は全国1位

まずは気候から見てみましょう。「愛知県は暑い」と言われますが、年間平均気温の平年値は15.8度で23位(1980~2010年の平年値・以下同じ)とそれほど高くありません。夏の暑さに絞ってみても年間真夏日数は64.3日で11位、年間猛暑日数は11.5日で7位と、大阪府や京都府、埼玉県に比べると取りたてて暑いとは言えません。愛知県の暑さは緑地や建物の割合など、その他の要因による心理的なものなのかもしれません。

経済面を見ると、トヨタに代表される自動車工業が盛んなだけあって、1人あたり工業生産額は645万円で全国1位(2007年 全国平均264万円)、1人あたり県内総生産は427万円で東京都に次いで2位(2010年 全国平均387万円)と全国でもトップクラス。製造業従業者数も人口100人あたり17.86人で3位(2007年 全国平均10.26人)と製造業の県と言えるでしょう。

製造業のラインに外国人が多いせいか、人口100人あたり在日外国人は2.71人で2位(2011年 全国平均1.63人)と、多くの外国人が住んでいるのも愛知県の特徴です。一方、日本人に目を向けると、働く場を求めて男性が多く集まるためか、20~30代に占める男性の比率が52.35%と全国で2番目に男性が多くなっています(2012年 全国平均50.86%)。

"派手婚"は過去の話?

男性が多く女性が少ない状況では日本人同士の結婚が難しくなるようで、日本人男性国際結婚率が3.86%で2位(2012年 全国平均2.57%)と外国人女性と結婚する日本人男性が多いのも愛知県の特徴です。そして愛知県の結婚と言えば"派手婚"。しかし、結婚式費用の平均は285万円で29位と全国平均以下(2010年 全国平均289万円)。派手婚は過去の話になったのでしょうか。

続いて、愛知県の食文化に目を向けてみましょう。味噌煮込みうどんや味噌カツに代表される味噌消費量は、1世帯あたり年間6.7kgの27位と全国平均を下回っています(2008年 全国平均7.3kg)。名古屋コーチンが有名な鶏肉消費量は1世帯あたり年間11.6kgで31位と、これも全国平均以下(2008年 全国平均12.3kg)。評判を裏切るようなデータばかりの中、光ったのがエビ消費量。こちらは1世帯あたり年間2.5kgで8位と(2008年 全国平均2.0kg)とエビフライで有名な愛知県らしいデータでした。

喫茶費用は全国平均の2.5倍にも

こうして見ると、愛知県には突き抜けたデータが見当たらないようですが、ご安心ください! とっておきのデータがあります。それは喫茶費用。1世帯が喫茶店で消費する金額は年間1万2,833円で1位(2012年)。全国平均5,136円の2.5倍もの金額で、モーニングサービスで有名な愛知喫茶文化を象徴するデータとなっています。

愛知県と他都道府県の相関図。"太平洋ベルト地帯"と似た傾向があるよう

700以上のランキングから、愛知県の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県、黄色はどちらでもない県。いわゆる"太平洋ベルト地帯"が真っ赤で、それ以外が青いというコントラストがはっきりした結果になりました。愛知県は典型的な都市型社会で、地方型社会とは正反対と言えそうです。

※本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)

統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。