日本一パンが好きなのは京都人!?

古い町並みと伝統文化の薫り高い京都府。京都府の人は、さぞ日本風な生活をしているのかと統計をひもといてみると、そう単純な話でもないようです。

「革新と伝統」で京都府を分析

例えば革新生活の代名詞でもあるパン。このパンの消費量1位は、何と京都府で年間6.2kg(全国平均4.5kg。家計調査 2007~2009平均値)。ギョウザ消費量やコロッケ消費量も2位と、伝統的とは少しイメージが違う食べ物の消費量が少なくありません。もちろん伝統的なものも、緑茶消費量は3位、うどん・そば消費量は7位と絶妙なバランス感覚!

もうひとつ、京料理と言えば薄味で知られています。これを裏付けるように、食塩消費量は年間1.8kgで40位(全国平均2.7kg)、醤油消費量は年間6.4リットルで41位(全国平均7.9リットル)、味噌消費量は5.1kgで41位(全国平均7.3kg)と調味料の消費量は少なめです。

伝統と革新を感じさせる統計には宗教施設数もあります。2009年の宗教年間によると、人口10万人当たり神社数は67社で30位(全国平均64社)、同じく寺院数は117寺で13位(全国平均61寺)なのに対し、キリスト教系教会数は人口10万人当たり7.4教会で7位(全国平均5.6教会)。神社や寺院に比べて教会が多くなっています。

学生の街は若手医師の街?

京都府のもうひとつのイメージは学生の街。京都大学や同志社大学、立命館大学をはじめとして多くの大学があります。データを見ると、人口100人あたり大学生数は5.29人で全国トップ(全国平均2.01人)。大学院生数も0.68人で1位(全国平均0.21人。以上、学校基本調査 2011)、34歳以下の若手医師数は人口10万人あたり69.3人で2位(全国平均46.2人。医師・歯科医師・薬剤師調査 2011)と、若き研究者たちが活躍しています!

若者が多い京都府はSNSの利用も盛んで、twitterユーザー数は人口1万人あたり215人で2位(まちツイ 2013年)、Facebookユーザー数は人口1万人あたり803人で3位(Facebook 2013)です。

葬儀費用が結婚式費用の上を行く

京都府の伝統と革新を象徴するのが、結婚式費用と葬儀費用の統計です。ともに人生の大事な節目ながら、結婚式費用は168万円で全国42位(全国平均289万円)なのに対し、葬儀費用は182万円で3位(全国平均130万円)。葬儀費用が結婚式費用を上回っているのは全国で京都府だけです。

控えめな結婚式を開く革新的な心と、葬儀の費用を惜しまない伝統的な心。このふたつを併せ持つのが京都人の心なのかもしれません。

京都府と他都道府県の相関図。東京都や神奈川県などと相関性が見られる

最後に、一般に公開されている700以上の調査を元に、都道府県の相関を計算してみました。赤は似ている県、青は正反対の県。黄色はどちらでもない県です。伝統文化が息づく街ながら、東京都や神奈川県などの大都市に似ているのが京都府らしいと言えるでしょう。

筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)

統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。