元国税職員さんきゅう倉田です。好きな発電は「バイオマス」です。

SDGsの普及もあって、持続可能な社会への関心が高まりました。今や「SDGs」という言葉を知らない大人はほとんどいないし、多くの会社が番号を掲げて何かしらの取り組みを行っています。

ぼくは、日常的に高校地理を学習しています。だから、エネルギーや資源、貧困、食糧問題、民族紛争、環境破壊などについて地理好きの高校生と同じくらいには把握しているつもりです。年末に発売された『データブック・オブ・ザ・ワールド2022』(二宮書店)も買いました。

CO2を多く排出している国はアメリカと中国だなとか、日本は火力発電でたくさん石炭を使っているなとか、カナダやノルウェーは水力発電が多いなとか、ブラジルはさとうきびで車を走らせているんだななどと、この本から情報を得ています。

(高校地理の勉強をすると、世界のお金の流れがよく分かるのでお勧めします。)

地理を勉強していると、環境への意識がとても高まります。だからといって、普段から特別なことをするわけではありません。

「おいおい君たち、環境を大切にしなければいけないよ」と他人に対して思うこともありません。でも、日本のとある自治体の太陽光発電パネルに課税するという報道を見た時は動揺しました。

◯◯市が発電パネル税案を可決 23年度施行
「事業用発電パネル税」条例案を可決した。税収は発電施設周辺の環境保全や防災費用に充てる。
(政治に関心がない、かつ、政治的な批判を好まないので自治体名は割愛)

2015年のパリ協定によって、世界的に温室効果ガスを減らす流れになっています。日本も国をあげて努めなければならない。でも、クリーンな発電である原子力発電は再稼働できない。

仕方がないから、石炭などの火力発電を増やして賄っています。すると、たくさんの温室効果ガスが発生します。

温室効果ガスを減らすことになった。どうしよう。
炭素固定も間に合わない。
もっと再生可能エネルギーに傾斜するしかない。

地熱はどうだ? 日本は環太平洋造山帯に属し、火山がたくさんある。地熱から発電すればエコロジーなエネルギーを得られるじゃないか。だめだ、火山の周辺は国立公園に指定されていたり地元住民の反対があったりするから、新たに発電設備を設けることができない。

では、水力はどうだ? 日本は年間1,500mmほどの雨が降るから水は十分だ。だめだ、急峻な山が多くて、川の勾配が急だから降雨はすぐに海に流れてしまう。新たに発電設備が設けることができない。

では、風力はどうだ? 平野が少ないから新たな設備を設けることができないし、海上に設置する計画もあるが普及の目処は立っていない。

では、太陽光はどうだ? 発電した電気を買い取ったり補助金を出したりして、個人が自宅にソーラーパネルを設置するようにしよう。東京都なんて、これから建てる1戸建てに太陽光発電設備の設置を義務付けようとしているぞ。やっぱりこれからは太陽光だな!

各家庭が太陽光で発電すれば温室効果ガスを大幅に減らせるかもしれない、という流れの中で、太陽光発電設備に課税するというのはどういうことなのでしょうか。

その自治体がどれくらい発電について調べ、温室効果ガスについて調べ、パリ協定について調べたのか分かりません。

もしかしたら、太陽光発電設備に課税している国が他にあるのかもしれない。

でも、地理を学んでいると、この自治体の決定について疑問を持つし、もう少しメディアで扱って議論してほしいと思っています。

もしかしたら、環境のことは何も考えずに、太陽光発電設備によって生活環境が悪化したからとか防災対策のためとか、そういう理由で導入したけれど、地球環境全体や日本の発電の未来については検討していないかもしれない。

日本の太陽光発電が衰えないことを願っています。

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