元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな調査は「反面調査」です。

ビジネス書を読んで「売上は、この要素とあの要素とその要素で構成されているんだな」「人間は将来のリターンをこう割り引くんだな」「支払う1万円の価値ともらえる1万円の価値は異なるんだな」などと学ぶことがありますが、社内文書を読んで感銘を受けたのは初めてです。

今回は、ネットフリックスが公開しているカルチャーガイドを紹介します。

シリコンバレーから生まれた最高の文書

FacebookのCOOが絶賛したというネットフリックスの雇用文化について書かれた文書には、イノベーションを起こすための要素が詰まっています。

文書の「まとめ」の部分にはこうあります。

・従業員による独立した意思決定を奨励している
・率直に、広範囲に、かつ慎重に情報を共有している
・お互いが並外れて公平である
・非常に効果的な人員のみ雇用し続けている
・規則を避ける

儒教の教えが根付いた日本とは文化が異なるといっても、アメリカにも社内における上下関係はあるのではないでしょうか。

しかし、はっきりと「並外れて公平である」とあります。不公平さや上下関係による遠慮は、意思決定や創造性に悪い影響があると考えているのかもしれません。カルチャーガイドには、日本の企業や個人事業者が活用できる考え方が、きっとあると思います。

ネットフリックスは、自身の考えを面と向かって伝えることを重要視しているようです。遠慮のない意志の伝達は周囲から孤立を招くと理解を示していますが、社員相互の建設的なフィードバックを積極的に実践しています。 さらに、非常に率直な人、特により権力のある人に対して率直である人は称賛されます。

カルチャーガイドはいくつかの章に分かれていて、その中の「ドリームチーム」が特に興味深いと感じました。

ネットフリックスの「ドリームチーム」

ネットフリックスは素晴らしい能力を持った同僚とチームを組むことの価値と満足感は計り知れないと考えています。カリフォルニアで流行り、日本の一部ベンチャー企業が行っているような革新的な福利厚生はもう古いのかもしれません。

「素晴らしい職場とは、昼食で寿司を食べることができ、広いジムがあり、豪華なオフィスを備え、頻繁にパーティが開かれることではない。野心的な共通の目的を追求するドリームチームがあることである」と言っています。

ベンチャー企業ではありませんが、インターネット関連事業を展開する大手企業の本社に遊びに行った時、その設備に驚きました。靴を脱いで寝転ぶスペースがあって、棚にはボードゲームが無数に置かれ、ゲームセンターにあるゲームの筐体が設置されていて、社内規則は柔軟、慣習に縛られず、朱子学の大義名分を源流とする厳しい上下関係も存在しないのではないかと想像しました。

既存の企業やぼくがいた行政施設と比較すると画期的・前衛的ですが、常にイノベーションが求められる企業からすると、職場内の遊び場や無料の食事は、前時代的かもしれません。

また、ネットフリックスは、社員は家族ではなくチームであると考えています。兄弟の普通でない行動は無条件の愛で支持するかもしれませんが、チームであれば、最高のチームになろうとする努力が必要です。チームメイトの欠点や誤りを支持することはないし、チームメイトを入れ替えることもあります。 家族的な企業も良いと思います。ぼくの所属する事務所も家族的な側面があり、能力ではなく関係の親疎で得られる仕事が存在し、ぼくも恩恵を受けたことがあります。

ネットフリックスの報酬

ネットフリックスは、市場価値の最大限を社員に支払います。そのために、同業他社で社員が受け取るであろう金額を見積もり、その最高額を支払っています。

評価に対して、年収2%アップ、4%アップのようなモデルは採用しておらず、市場価値に合わせて調整を行っているそうです。 また、素晴らしい能力を持たない、まあまあの社員がいた場合は、手厚い解雇手当を与えます。

続きます。

  • 参照【翻訳】「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたNetflixのカルチャーガイド全文 - BppLOG (hatenablog.com)

    参照【翻訳】「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたNetflixのカルチャーガイド全文 - BppLOG (hatenablog.com)

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