「電話応対は苦手……」そう感じている新社会人や就活生は多いのではないでしょうか? 近年、SNSやチャットツールが普及し、電話を使う機会が減っているため、苦手意識を感じるのは当然かもしれません。しかし、ビジネスシーンにおいて電話はまだまだ重要なコミュニケーションツールです。

本連載では、電話への抵抗感をなくし、社会人の基礎スキルを磨く機会となるような電話応対のコツやテクニックを紹介します。初回は、ビジネスコミュニケーションにおける電話の役割や、電話対応とビジネススキルの関係についてです。

ビジネスコミュニケーションにおける電話の役割

テレワークやリモートワークが普及し、ビジネスにおけるコミュニケーション手段は多様化しています。電話、オンライン会議、対面での商談など、状況に応じて使い分ける必要があります。プライベートではLINEやチャットツールでのテキストコミュニケーションが増え、お店や病院でもネット予約が普及し、電話を使う機会は少なくなっているかもしれません。

しかし、ビジネスにおいては、電話が持つ「即時性」「説得力」「信頼構築の力」が仕事を進めるうえでの強みになります。

電話はリアルタイムで会話ができるため、メールやチャットのように返信を待つ必要がなく、顧客の疑問をその場で解決できたり、迅速な意思決定が可能です。特に商談のクロージングや緊急対応では、スピーディーなコミュニケーションが成果につながります。また、テキストでは伝わりにくいニュアンスや感情も、声のトーンや抑揚を通じてより明確に伝えられるため、相手の本音を引き出したり、自身のパーソナリティを伝えて信頼関係を築く上でも有効です。

さらに近年では、AIを活用した音声解析や通話データの自動記録ツールが登場し、電話における話し方や話している内容をデータで可視化できるようになりました。営業やカスタマーサポートの現場では、成功パターンを分析し、より効果的な電話応対に活かすことも可能です。アナログなイメージのある電話ですが、デジタルツールを組み合わせることで、より効果的に活用できるようになりました。

電話対応で培ったスキルはビジネスの武器になる!

電話対応で身につけたスキルは、今後ビジネスのさまざまなシーンで活用できます。

顔が見えないからこそ、伝える力が試される

電話では、相手の表情が見えません。そのため、声のトーンや話し方、言葉遣いなど、声だけで相手に情報を伝え、理解してもらう必要があり、対面でのコミュニケーション以上に高度なスキルが求められます。

言葉遣いや臨機応変な判断力が身につく

電話では、相手の状況や要望を瞬時に把握し、適切な言葉遣いで対応する必要があります。また、予期せぬ質問や要望にも、臨機応変に対応しなければなりません。これらの経験を通して、社会人として欠かせないスキルが向上します。

商談やプレゼンにも応用できる

電話で培ったコミュニケーションスキルは、商談やプレゼンテーションにも活かせます。例えば、オンラインの会議や商談の場合も、画面越しに相手の反応や感情を瞬時に察知するのは難しいものです。相手の反応を見ながら話す、的確な質問をする、分かりやすく説明するなど、電話応対で磨いたスキルは、対面やオンラインのコミュニケーションの場でも役に立ちます。

近年注目されている「インサイドセールス」とは?

近年、営業職のあり方が大きく変わり、「インサイドセールス」という職種が注目されています。特にITやSaaS企業を中心に、この役割の需要が増しています。

インサイドセールスは、電話やオンラインで顧客と接点を持ち、商談の機会を創出する内勤型の営業スタイルです。従来の飛び込み営業や訪問営業とは異なり、マーケティングと連携しながら効率的に見込み客を育成し、商談の実施が決まったら、フィールドセールス(訪問営業)にバトンタッチする役割を担います。

インサイドセールス業務は、顧客との最初の接点が電話である場合が多く、その際の印象がその後の商談や顧客満足度にも大きく影響します。

当社で実施した調査では、実際にインサイドセールスを経験した先輩社員の85.8%は「経験してよかった」と回答がありました。経験してよかった理由として、「ヒアリング力が身についた」「商談を通して相手から信頼してもらえるようなスキルが身についた」「仮説構築力が身についた」という理由をあげています。

  • レブコム実施「インサイドセールスのスキル・キャリアに関する意識調査」より引用、「あなたは、インサイドセールスを経験してよかったと思いますか。」

電話対応の経験が少ないと、仕事で顧客に電話をかけることに苦手意識を持つ人もいるかもしれませんが、ポイントを押さえて練習すれば必ず上達します。次回は、電話における効果的な対話の3つの基本ステップをテーマに紹介します。