本連載の第234回では「その論理、飛躍していませんか?」という話をお伝えしました。今回は、すぐできることを後回しにしない方がよい理由についてお話します。
ちょっとしたメールの返信や他部署からの相談対応など、元々予定していなかった仕事が突発的に発生すること、よくありますよね。その中には、さほど時間をかけずに対応できるものもきっとあるはずです。このような仕事が発生したとき、あなたは先に対応しますか、後回しにしますか。
すぐにできるけど、すぐにやらなくてもいい仕事、後回しにしたくなる人もいるでしょう。
「このメールの返信はすぐにできるけど、夜にやればいいや」
「電話に留守電が残っているけど、今は忙しいから後で聴こう」
こんな風に後回しにするケース、以前は私もよくやりました。
しかしある時に、これは百害あって一利なしということに気づき、今では即刻対応するようにしています。その理由は以下3つです。
1. 忘れるから。もしくは思い出すのにかかる時間がムダだから。
暇であればそもそも後回しにする必要はないので、突発的に発生する些末な仕事を後回しにするということは、自身が忙しい状況に置かれているはずです。
そんな多忙な状況において、些末な仕事が幾つも発生するたびに「後でやろう」と判断し、メモもせずにその仕事を覚えておき、漏れなく対応するのは難しいのではないでしょうか。きっと私なら対応が漏れてしまいます。
また、対応しないまま時間が経つにつれて記憶が曖昧になっていき、「何かやらなきゃいけなかったような気がする」というところまでいってしまうと、思い出すのにも時間がかかってしまいます。そんなところに時間をかけるのはムダ以外の何物でもありません。
2. 忘れないようにToDo管理するのが手間だから。
では、忘れないようにツールや手帳などでToDo管理の項目として登録/記入して管理すればいいじゃないか、と思いますよね。しかし、そうした仕事の発生都度、記録を残していくこと自体にも手間がかかりますし、管理対象のToDoが増えすぎてしまうと、今度は優先度の高いToDoが埋もれてしまう恐れが出てきてしまいます。
また、ToDoが増えすぎてしまうと、今度はそれに振り回されてしまい、忙しい状況が常態化します。また、些末なToDoが常にたくさんある状況では、それだけ管理の負荷が高くなってしまいます。
すぐにやれば5分で終わる仕事でも、後回しにしてToDo管理することで余分な負荷がかかるため、トータルで10分かかってしまうということは十分にあり得ます。もし、そのような仕事が1日に5件発生するとしたら、それだけで余分に25分もロスしてしまう計算になります。当然、それがさらに積み重なると管理の負荷も比例して増えてしまいます。
3. 精神的な負担感がじわじわ増すから。
これは人によって感じ方が異なるかもしれませんが、「そういえば、あのメールに返信しなきゃなあ」「隣の部署の人が何か相談したがってたから、対応しなきゃなあ」と気になる場合には、自覚的ではないかもしれませんが精神的な負荷がかかっているのではないでしょうか。
そして「やらなきゃいけないこと」がどんどん積み重なっていくのに従って、「やらなきゃいけないことができていない」ことによるプレッシャーにさらされていくことになります。誰が悪い、というわけでもありませんが精神的な負荷が過剰に高い状態が続けば、心を病んでしまったり、そこまではいかなくてもパフォーマンスが低下したりする恐れもあるでしょう。
ここまでで、すぐにできる些末な仕事ほど、突発的に発生したら即刻対応した方がよい理由をお伝えしました。たとえると、野球の球が飛んできたらキャッチするのではなくバットを振って打ち返すようなイメージです。球が飛んでくるたびにキャッチすれば自分の周囲がボールだらけになってしまいますが、都度打ち返してしまえば周囲は綺麗なままに保つことができますね。ご自身の仕事でも、ぜひ「些末な仕事はすぐにやる」のを試してみてください。