2017年12月15日、原宿クエストホールで、「第6回 手帳甲子園」が開催されました。今回はその様子をレポートします。

  • 原宿クエストホールの入り口案内板

    原宿クエストホールの入り口案内板

高校生の手帳活用優秀者を選ぶ大会

手帳甲子園は、学生向けの手帳「NOLTYスコラ」とその手帳活用教材「NOLTYスコラ プログラム」を導入している高校による手帳活用の優秀者を選ぶ大会です。

  • 審査員と最優秀者そろっての記念撮影

    審査員と最優秀者そろっての記念撮影

主催のNOLTYプランナーズは、「NOLTY」ブランドの手帳で知られるJMAMの関連の会社です。2011年版に生まれた時点で2校だった「NOLTYスコラ プログラム」の導入校は、2017年度には1,023校(約30万人)にまで広がっています。

イベントの冒頭挨拶で同社の代表取締役高梨文明氏が「今の日本の状況はかつてとは異なり、グローバル化やICT化、そして人口減少が進んでいる。そして、それに対応する人材の像も変化している」と述べました。

具体的には、自己管理力があり、自ら学び考え行動する力が求められていることを、各種業界の求人案内のWebページ文言などをあげながら説明されていました。例えば、「無印良品」で知られる良品計画のサイトには、求める人材として、「自ら考え行動する」ことが書かれているそうです。

  • NOLTYプランナーズ 代表取締役 髙梨文明氏の挨拶

    NOLTYプランナーズ 代表取締役 髙梨文明氏の挨拶

その上で、自ら学び考えるために手帳が役立つと説明し、手帳甲子園の優秀者は、ユーザー30万人の代表であること、また客席の来場している生徒には「まずは真似をしてください」と呼びかけていました。

各部門で生徒がプレゼンテーション

第6回となる今回からは、東京、大阪、仙台の3カ所で地方大会を実施。表紙デザイン部門714名 手帳活用部門736名からそれぞれ優秀者5名ずつが選ばれ、プレゼンをしました。これがこのイベントの第一部です。イベント自体は四部にわかれており、構成は以下のようになっていました。

■手帳甲子園 プログラム
第一部:生徒のプレゼンテーション
第二部:アスリート室伏由佳氏の講演
第三部:「美篶堂」(神田錦町)による和綴じ製本ワークショップ
第四部:各部門の最優秀賞発表

このイベントのメインはやはり第一部です。

まず「表紙デザイン部門」。これは、手帳の表紙のイラストを競うものです。1年を通じて利用する手帳というものの性格にあったデザインであることが基準の一つです。

  • 表紙デザイン部門優秀賞の作品。手帳の表紙として望ましいデザインかどうかが審査される

    表紙デザイン部門優秀賞の作品。手帳の表紙として望ましいデザインかどうかが審査される

「手帳活用部門」は、生徒たちが利用しているNOLTYスコラを使い、主に勉学の面でどのように生活を改善できたのかを競う部門です。各部門の優秀者たちが、舞台に大きく投影された自らの手帳の表紙、記入面をバックに白熱のプレゼンを繰り広げました。

  • 手帳活用部門のプレゼンの様子。優秀者に選出された生徒が直接壇上でプレゼンする

    手帳活用部門のプレゼンの様子。優秀者に選出された生徒が直接壇上でプレゼンする

  • プレゼンの前にはクラスメートによる応援動画メッセージが流れる

    プレゼンの前にはクラスメートによる応援動画メッセージが流れる

特に手帳活用部門は、手帳活用の直後(Before)と最近の記入面(After)を舞台のスクリーンに投入して生徒自らがプレゼン合戦を繰り広げました。熱のこもった直球勝負の人、ユーモアを交えたスタイルなど、人によって方法は様々でした。共通しているのは、手帳を活用することで自らの生活を見直してその質を上げ、規則正しい生活を身につけたり勉強時間を確保したりといった、学生生活上の成果を上げていることです。

  • 「手帳活用部門」の利用例(創価高等学校)

「1日5回手帳を見る」「スコラ(手帳)は自分を映す鏡」「成長をはかる道具」「相棒」など、プレゼン中には様々な名言が飛び出しました。

  • 投票用紙(実際には個人名あり)

    投票用紙(実際には個人名あり)

続く第二部では、アスリート生活におけるPDCAの重要性を室伏由佳氏が自らの体験に基づいて講演を行い、更に第三部の和綴じ製本体験ワークショップが実施されました。

  • 製本体験のキット

    製本体験のキット

  • 書画カメラを使った製本ワークショップ

    書画カメラを使った製本ワークショップ

  • 和綴じ製本をしたところ。これで糸を切れば完成

    和綴じ製本をしたところ。これで糸を切れば完成

そして最後に表彰式が行われ、「表紙デザイン部門」では桜の聖母学院高等学校の生徒が、「手帳活用部門」では創価高等学校の生徒がそれぞれ最優秀賞を受賞しました。

  • 優秀者の表彰

    優秀者の表彰

NOLTYプランナーズがプログラムを提供する意義

JMAMの関連会社であるNOLTYプランナーズが中高生向けの手帳とその活用のためのプログラムを提供する意味は次の点にあると思われます。

一つは、市場の創造です。既に中高生向けの手帳事業は7年目であり、また手帳甲子園も開催6回を数えています。そして現在の市販の手帳とは異なる市場として、学業向上、スポーツ(部活)の上達などの明確な目標を持つ彼らに手帳を利用してもらい、そこでの成果と言う形でユーザーに貢献すると同時に、商品開発にも生かそうという意図もあるのでしょう。ちなみに中高生向けのこの市場には、現在複数のメーカー、出版社などが参入しています。

  • NOLTYスコラ 月間ブロックは見開き2カ月

    NOLTYスコラ 月間ブロックは見開き2カ月

  • NOLTYスコラ 週間ページはバーチカル。右ページに週の目標や振り返りなどの各種記入欄が配置されている。しおりは2本

    NOLTYスコラ 週間ページはバーチカル。右ページに週の目標や振り返りなどの各種記入欄が配置されている。しおりは2本

もう一つは、ブランディングです。中高生の時点からNOLTYブランドに親しんだ人は、社会人になってもきっとNOLTYブランドの手帳を選ぶであろうことは想像に難くありません。

ともあれ、手帳活用部門で優秀賞を受賞した生徒のプレゼンはどれも興味深く、純粋に勉強になりました。またどの生徒も手帳が大好きなことが伝わってきましたが、それは手帳オフに来られる方のようなマニアックな熱とはちょっと違い、目的と直結した純粋さを感じました。 手帳甲子園は、手帳をうまく使いたいと思う大人でも一度は見る価値があるイベントではないかと思われます。開催時には同社のWebページで観覧者のための案内があるはずです。

舘神龍彦

舘神龍彦

手帳評論家、ふせん大王。最新刊は『iPhone手帳術』(エイ出版社)。主な著書に『ふせんの技100』(エイ出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)など。また「マツコの知らない世界」(TBS)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)などテレビ出演多数。手帳の種類を問わずにユーザーが集まって活用方法をシェアするリアルイベント「手帳オフ」を2007年から開催するなど、トレンドセッターでもある。手帳活用の基本をまとめた歌「手帳音頭」を作詞作曲、YouTubeで発表するなど意外と幅広い活動をしている。

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facebook :「手帳オフ」
Blog :「舘神Blog」