本連載では、まだFXや先物取引を始めて間もない方や、現在勉強中だという方を対象に、毎回、ある1つのテクニカル指標をピックアップし、知識編・実践編の2回に分けてご紹介していきます。知識編では、その指標の概要を解説し、値の求め方や一般的な使用方法をお伝えします。実践編では、システムトレードで活用できるよう、知識編でご紹介したテクニカル指標を用いたシステムトレードのプログラミングに挑戦していきます。

今回は、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するオシレーター系(逆張り)テクニカル指標の代表格、「ストキャスティクス」をご紹介します。

日経平均(2010年日足データ)にストキャスティクス指標

■指標解説

「ストキャスティクス(Stochastics)」は、アメリカのGeorge Lane氏により考案されたオシレーター系の分析指標です。第1回でご紹介したRSI指標の仲間で、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するために、ある期間における価格の高値から安値までの範囲において、現在の価格がどの位置にあるのかを示します。

ストキャスティクスの特徴は、%K、%D、SD という3つのラインから2種類の指標を作成する点です。3つのラインは、短期(%K)、中期(%D)、長期(SD)と考えてもよいでしょう。この内、短期・中期の2本のラインで構成された先行型の指標が『ファスト・ストキャスティクス』で、中期・長期の2本のラインで構成された遅行型の指標が『スロー・ストキャスティクス』となります。

■ラインの算出方法

%K(短期)=
(当日終値-直近n日間の最安値)÷(直近n日間の最高値-直近n日間の最安値)×100
%D(中期) = aのn’日間の総和 ÷ bのn’日間の総和 × 100

a:当日終値 - 直近n日間の最安値(←%Kの分子)
b:直近n日間の最高値 - 直近n日間の最安値(←%Kの分母)
SD(長期) = %Dのn’’日移動平均

■売買への使用例

ストキャスティクスは、0~100%の値を示し、通常30%以下が売られ過ぎ、70%以上が買われ過ぎの水準として判断されます。一般的な手法としては、この水準の中で短期線が長期線を上から下にクロスしたら売り、短期線が長期線を下から上にクロスしたら買いとなります。

買いシグナル …30%以下に達した後、ゴールデンクロス(短期線が長期線を上抜けたとき)
売りシグナル …70%以上に達した後、デッドクロス(短期線が長期線を下抜けたとき)

日経平均(日足) : ファスト・ストキャスティクス戦略を適用

■「トレードシグナル」に用意されたストキャスティクス指標

ひまわり証券で提供しているシステムトレード用チャートツール「トレードシグナル」には、200を超えるテクニカル指標が搭載されています。上記でご紹介したストキャスティクス指標のほか、「トレードシグナル」にはさらに4種類のストキャスティクス指標が用意されています。

  1. ストキャスティクス スロー … スロー・ストキャスティクスを描画します。
  2. ストキャスティクス ファスト … ファスト・ストキャスティクスを描画します。
  3. ストキャスティクス … ファストとスローをまとめて同じ領域で描画します。
  4. ストキャスティクス S&C … スムース化したデータで%Kを計算します。
  5. ストキャスティクス モメンタム … 高値と安値の影響を小さくしています。

日経平均(2010年日足データ) : ストキャスティクス指標チャート

次回「ストキャスティクス 実践編」では、今回ご紹介した指標を用いて、システムトレードのプログラミングに挑戦していきます。


参考書籍・参考URL

・『テクニカル分析全集』(田中勝博/著:1998年6月)
ひまわり証券「FXテクニカル指標 活用と応用」
ひまわり証券「トレードシグナル 基本情報」

-「実践編」へ続く-