いまなお昭和の雰囲気を残す中央線沿線の穴場スポットを、ご自身も中央線人間である作家・書評家の印南敦史さんがご紹介。喫茶店から食堂まで、沿線ならではの個性的なお店が続々と登場します。

新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令され、店舗営業をするお店が限られているため、しばらくはテイクアウト特集。今回は、三鷹の喫茶店「リスボン」です。

  • 愛され続けて62年"当たり前のこと"を大切に「リスボン」(三鷹)(写真:マイナビニュース)

    「リスボン」(三鷹)


テイクアウトも安い62年愛される喫茶へ

三鷹駅を南口に出ると、中央通りというベタな名前の商店街があります。毎年、夏には阿波踊り大会が開催されることでも有名。日常生活に関するほぼすべてのニーズを叶えることができる、三鷹でいちばん大きな商店街です。

昔、三鷹には11年ほど住んでいたので、足を運べばいまでもいろいろなことを思い出します。

今回ご紹介する「リスボン」は、そんな中央通りとさくら通りの交差点、マクドナルドの向かい側のビル地下1階。ラーメン好きにはおなじみの「中華そば みたか」と同じフロアです。

  • "SINVE 1958"の文字が

  • 有名な「中華そば みたか」と同じフロア

1958年創業の老舗。(記憶が間違っていなければ)サイフォンでコーヒーを淹れてくれる、いたってオーソドックスな喫茶店です。奇をてらわず、"当たり前のこと"を大切にしてきたからこそ、62年も続けてこられたのでしょうね。

事実、お昼どきに訪ねたこの日も、迷いなく店内へ入っていくお客さんを何人か見ました。本来なら僕も同じようにお邪魔して、340円と破格の「ランチバスケット」を頼むところなのですが、今回の目的はテイクアウトメニュー。

というわけで、1階の入り口で、日光が当たらないように気を使って並べられたそれらをチェックです。

  • できたてをたっぷりと用意

メニューは、「タマゴ レタス」「トマト キュウリ」「ハム レタス」「チーム キュウリ」と4種が揃ったサンドウィッチと、ホットドッグ。まず驚かされるのは、やはり値段の安さです。なにしろサンドウィッチが300円で、ホットドッグは200円だというのですから。

  • どれにしようか迷ってしまうことに

見たところきちんとつくられているし、これは期待できますなあ。というわけで、ホットドッグと「トマト キュウリ」のサンドウィッチを購入。これで500円ですぜ。

  • 家に着くのが楽しみ

きちんとつくられたホットドッグとサンドウィッチをおうちで

ワクワクしながら帰宅したあとは、まずはハンドドリップでコーヒーを。ちなみに我が家では20年くらい前から、同じ三鷹にある「はちや珈琲」というスペシャルティコーヒー専門店でコーヒーを買っています。ここの豆の深みを知ったら他では満足できなくなるはずなので、ぜひ検索。

話がそれましたが、コーヒーがはいったところで、肝心のホットドッグとサンドウィッチをいただいてみましょう。

  • コーヒーと一緒に

まずホットドッグは、ていねいに切り込みの入ったソーセージとレタス。そしてキュウリというオーソドックスなスタイル。レタスとキュウリはシャキッと新鮮で、しかもドレッシングもかかっているから、味もしっかりしています。

小さめではあるけれどボリューム感はあるので、充分に満足できるのではないでしょうか。

  • 見るからにおいしそうなホットドッグ

  • ていねいにつくられているのがわかります

そして、お次は「トマト キュウリ」のサンドウィッチ。爽やかなトマトの水気とキュウリの鮮度、たっぷり塗られたバターの風味、そしてふんわりとしたパンの食感と、すべてがバランスよく引き立て合っているような印象があります。

  • 見た目も鮮やか

  • バターもたっぷりでおいしい

幼いころ食べたサンドウィッチの味(と新鮮さ)を思い出させてくれるような感じ。いつの間にかコンビニのサンドウィッチを食べ慣れてしまっていたけれど、本来こういうものだったよなぁと改めて実感させてくれるのです。

しかもですね、ホットドッグにもサンドウィッチにも、それぞれ苺が2粒入っているんですよ。これがまた、甘くておいしい。

  • 苺も鮮度抜群

詳しいことはわからないけど、いま、苺って安くないんじゃないですか? だからというわけではないけれど、こういう小さな配慮には頭が下がります。

正直なところ、ここまで満足できるとは思ってもいませんでした。ホットドッグもサンドウィッチも、シンプルだからこそ、手を抜こうと思えばいくらでも抜けるじゃないですか。ましてやこの値段だし。

にもかかわらず、まったく手を抜かず、妥協せず、しっかり誠実につくられていることがわかるのです。だから、非常に納得できたわけです。

いい店の、いいテイクアウトだなぁ。長く続くことには、ちゃんと理由があるんですね。


●リスボン
住所:東京都三鷹市下連雀3-27-9 ニューエミネンスB1
営業時間:月~土7:30~20:00、祝日7:30~19:00
定休日:日曜

印南敦史

作家、書評家。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家として月間50本以上の書評を執筆。ベストセラー『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)を筆頭に、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新)ほか著書多数。最新刊は、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)。6月8日、「書評執筆本数日本一」に認定。