働き方改革の必要性がかまびすしく叫ばれていながらも、その変化を感じにくかった昨今の日本社会。だが、突如として降ってわいたコロナ禍により、皮肉な形ではあるがその姿は一変した。大手企業をはじめとする多数の会社でテレワーク(在宅勤務)が推奨・励行されたり、フレックス勤務が取り入れられたりするなど、私たちが働く環境は大きく変わった。

その一方で、緊急事態宣言で外出が制限された影響もあり、人々の経済活動は停滞し、国内の景気は一気に冷え込んだ。その経済的ダメージは国内企業にも暗い影を落とし、いわゆる「コロナ倒産」も相次いだ。ビジネスパーソンは襟を正して仕事をする必要があるだろう。

そこで本特集では、新型コロナウイルスがまん延している「アフターコロナ時代」における課題や、求められる働き方などを紹介していく。

今回のテーマは、アフターコロナ時代の働き方の選択肢の一つとして重要視されている「テレワーク」だ。

テレワークには新型コロナウイルスの感染リスク低減や通勤時間の削減などのメリットがある。その一方で、ちょっとした雑談レベルの打ち合わせ一つとっても、チャットや電話などを使用しないといけないなどのデメリットがあり、上司と部下の間でのコミュニケーションや報連相に影響を及ぼす可能性がある。

では実際、テレワークで働いてみたことで、仕事上のコミュニケーションにどのような変化があったのだろうか。テレワークを経験したマイナビニュース会員344人に聞いてみたので、テレワーク導入における課題の参考として役立ててみてほしい。

  • テレワークで仕事に関するコミュニケーションが取りにくくなったと回答した人は6割にのぼった

Q. テレワーク中の仕事におけるコミュニケーションは、通常出社時と比べてどうですか

1位 : 取りにくい(61.3%)

2位 : 取りやすい(19.5%)

3位 : 変わらない(19.2%)

取りにくい派の意見

・「相手の表情が電話だとわかりにくいが、テレビ会議をするには大袈裟すぎる」(55歳男性/輸送用機器/営業関連)
・「ある程度明確になっている事柄についての調整は問題ないが、どうしても白板等で図解しながら議論して仕様決めする必要がある場合に非効率になる」(59歳男性/ソフトウェア・情報処理/専門職関連)
・「テレビ電話の通信環境が悪く画面が固まってしまうことがある」(30歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
・「込み入った話がしにくく、ニュアンスが伝わりにくい」(56歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「機器を使わないとコミュニケーションが取れないことが煩わしい」(56歳男性/教育/事務・企画・経営関連)
・「ちょっとしたことで連絡したくても、相手の今の状態がわからないので、『いま連絡したら迷惑がかかるのではないか』と考えてしまうから」(45歳女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「判断を上長がするのでいちいち確認を取るのが面倒。職場なら一瞬で終わる」(36歳男性/重電・産業用電気機器/技能工・運輸・設備関連)
・「普段だったら何気無く話せることでも、テレワークだったら『こんなこと話していいのか』と遠慮してしまう」(35歳男性/窯業・セラミック/事務・企画・経営関連)
・「職務上の情報をチャットに流すのはセキュリティ上問題があるので、情報の伝達が滞ることが多い」(39歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「以前は他の人の上司との会話や社内外との電話の内容が聞こえて、それをきっかけに、情報交換やアイデアの出し合いができたが、テレワークではできない」(58歳男性/ガラス・化学・石油/営業関連)
・「わからないことがあったら、電話をかけて聞かなくてはいけない。だが、電話だけでは伝わらない内容が多く、結局事務所に集うことになった」(51歳男性/ビル管理・メンテナンス/その他技術職)

取りやすい派の意見

・「必要最低限の要件のみしか話さなくなり、無駄な雑談がなくなったためコミュニケーションの効率が上がった」(44歳男性/その他/その他)
・「チャットで盛り上がれるから、なんか楽しいと思いました」(43歳女性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「在宅だから少し気が緩んで本音で話せるかも」(36歳女性/専門店/その他技術職)
・「無駄話がなくなり簡潔に話せるので楽になりました」(47歳男性/不動産/販売・サービス関連)
・「普段からメール、ショートメール、ラインなどを使用しているので」(44歳男性/不動産/営業関連)
・「普段は他の人と話していて会話には入れないことが多い上司にも必然的に会話をするようになったので、伝えたいことが的確に伝わります。そのおかげでコミュニケーションは効率よく取れるようになりました」(52歳男性/技能工・運輸・設備関連/販売・サービス関連)
・「面と向かってではなく、間接的な方が話しやすい」(42歳女性/その他/その他技術職)
・「好きな時間に好きなだけ質問できたりするので良くなったと思います 」(42歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)

総評

アンケート調査の結果、テレワークによるコミュニケーションが「取りにくい」という回答が6割を超え、多くの人がテレワークで何かしらのコミュニケーションの不都合を感じていることがわかった。機器を使用しなければならないことへの煩わしさや、設備上のトラブルなどのほか、「表情が見えない」「話しかけるタイミングがわからない」など、相手の様子をうかがうことができないことへのストレスの声があがっていた。

「取りやすい」(19.5%)と「変わらない」(19.2%)は僅差で、ともに2割ほど。合わせて4割程度がテレワークでも大きな支障はなかったと言える。「余計な気を遣わずにすむ」「むしろ本音が出る」など、直接会ってないからこそ気楽にコミュニケーションができるという声が多かった。

調査時期: 2020年6月6日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 344名
調査方法: インターネットログイン式アンケート