マイナビニュース・エンタメチャンネルの新たな定番記事を目指すお試し企画「日曜トライアル」。今回は、テレビ改編期の宿命・最終回の特徴的な事例をピックアップする【最終回新時代】をお送りする。

バラエティ番組の最終回といえば、過去の名シーンを振り返り、思い出に浸りながら幕を下ろすのが定石。しかしこの3月に放送された『人間研究所 ~かわいいホモサピ大集合!!~』(中京テレビ・日本テレビ系)と、『呼び出し先生タナカ』(フジテレビ系)は、リアルと本音が飛び交う異例の最終回となった。

  • (左から)秋山竜次、村重杏奈、田中卓志

    (左から)秋山竜次、村重杏奈、田中卓志

「事務所の人見てるよ!?」「自暴自棄なりすぎ!」

『人間研究所』は、ニホンザル(声:ロバート・秋山竜次)とブルドッグ(声:伊集院光)が、人間をゲストに迎え、動物には全く理解できない「ホモ・サピエンスの謎の生態」に迫るという内容で、昨年4月にスタート。この設定自体がぶっ飛んでいるが、最終回の発表もクイズ企画で「今から2週間後、3月11日に『人間研究所』に起こる衝撃の出来事とは一体何?」という出題がされ、「終わる」という正解で伝えるという予想外すぎるものだった。

さらに、4日・11日と2週にわたる最終回SPは、どのように“番組終了”が決まるのかを、スタッフの証言をもとに研究するという前代未聞の企画。制作陣と編成部の間の摩擦や、番組を続けるためのキャスティング方針の変更、制作者が陥りがちな罠など、“捨て身の本音暴露VTR”が流された。

多少の演出もあるはずだが、番組終了の判断が下されるタイミングや、寝かせていた終了情報をプロデューサーが関係各所に入れる際に“急に伝えられた感”を出すなど、生々しいやり口が明かされたVTRに、村重杏奈は「いいの? これ言って。事務所の人見てるよ!?」、さや香・新山も「大丈夫? 自暴自棄なりすぎ!」とあ然とするほどだった。

番組終了というセンシティブな話題を、2週にわたりたっぷり時間をかけ、真正面どころかあらゆる角度からつまびらかにしようとした制作陣。企画・総合演出の鳥居大雅氏は『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』で「せっちゃんうどん」の店主に孫のようにかわいがられたことで知られるが、そうした無垢な人たちとの交流が、制作者として嘘偽りのない番組を作る後押しになっているのかは、定かではない。

「思ってる方向とは違うかなと言ったりもした」

16日に放送された『呼び出し先生タナカ』の最終回は、村重杏奈、猪狩蒼弥ら“おば科”生徒の卒業試験を実施し、最後は“学校”らしく、卒業式が行われた。「仰げば尊し」の合唱に乗せて名場面の映像が流れ、“タナカ先生最後の授業”としてアンガールズ・田中卓志から生徒たちに言葉が贈られる…というのは最終回あるあるかもしれないが、その内容が異例だった。

「何を話すかっていうくらい、いろいろあった」と切り出した田中がまず言及したのは、番組スタート直後の“ゴタゴタ”。『めちゃ×2イケてるッ!』の名企画「抜き打ちテスト」と比べられ、「パクリ」などと批判的な声が集まったことにあえて触れ、「あれ本当に嫌でね! 嫌だったんですよ」と当時の心境を打ち明けた。

さらに、自らナインティナインに直接連絡したことや、週刊誌の記者に直撃されたことも告白。「こういう番組は長く続かないだろう」「もう終わっちゃったほうがいいんじゃないか」とまで思ったそうだが、そんな番組にも収録現場にチャンスだと思ってやってくる生徒たちの一生懸命な姿に「やるしかない」と心を入れ替えたという。

しかし、「さまざまなゲストが生徒としてタナカ先生に呼び出され、学校にまつわる“一斉テスト”に挑戦させられる」という当初の企画からリニューアルされたことで、「なかなかみんなの良さを引き出す番組とはちょっと違ってきたり、思ってる方向とは違うかなと言ったりもした」と、涙で告白。

それでも、「みんなが(この番組を)きっかけに売れましたとか、仕事が入ってきましたという話を聞けることが、僕は非常にうれしかったし、それがここまでやってこれた原動力にもなったと思ってます」と、生徒たちの成長がモチベーションになっていたことを明かした。嘘偽りのない田中の本音はスタジオの全員に伝わり、副担任のシソンヌ・長谷川忍も含め、皆が涙を流しながら受け止めた。

MCが番組のテコ入れに対して思っていたことを率直に打ち明ける最終回は、これまで見た記憶がない。長年“いじられキャラ”だった田中にとって、この番組は初めてのゴールデン帯MCであり、生徒たちに最後に贈った「頑張っていれば誰か見てくれる世界。そこを信じてそれぞれの個性を発揮して頑張っていれば、何かしらチャンスがくるのが間違いない業界だと思ってる」という言葉も、間違いなく本音だろう。

“令和のバラエティ女王”村重杏奈が見せた振れ幅

両番組の最終回に居合わせたのは、村重杏奈。『人間研究所』では、暴露VTRに随所でツッコミを入れるなど“令和のバラエティ女王”としての仕事を全うしていたのに対し、ブレイクのきっかけになったと感謝する『呼び出し先生タナカ』では“いち生徒”として言葉を失い、涙が止まらない姿を見せていた。その振れ幅こそが、今のバラエティにおける村重の強さであることを裏付けているように感じた。

番組は終わるときに本性が出る――今回の2本は、それを隠さずにさらけ出した。4月からまた新たな番組が各局で立ち上がるが、建前だけでは視聴者の心をつかめない時代において、笑いも涙も本音やリアルが伝わってくる番組に期待したい。