良い物件が見つかったら、いよいよ実際に物件を見に行きます。
物件を見に行くことを「内見(ないけん)」や「内覧(ないらん)」などといいます。物件の内見はとても楽しいことですが、ただ単にお部屋の広さや眺望だけではなく、他にもチェックしなければならないポイントがたくさんあります。
今回は「中古物件」の内見をする時に、チェックすべきポイントについて解説していきます。
【1】駅からのルート
車を持っている方は、物件の内見に車でことも多いと思いますが、普段、通勤や通学で電車を利用する方は、内見に電車で行くことをおすすめします。最寄駅からマンションまで、実際にかかる所要時間を確認したり、ルートの質を確認することができるからです。
物件の資料には最寄駅まで徒歩10分と記載があっても、実際に歩いてみたら13~14分かかるというようなことも多々あります。
また、駅からのルートに階段や踏切、歩道橋を通らないといけないところがあったり、想像以上に車通りの激しい道路だったり、人通りが少なく、夜道が危険な道だったりすることもあります。
駅からのルートは必ず実際に歩いて、チェックするようにしましょう。また、小学校や中学校、スーパーなどのルートも合わせて確認すると良いでしょう。
【2】駐輪場・ゴミ捨て場(マンションの場合)
マンションに到着したら、内見の前でも後でも良いですが、駐輪場とゴミ捨て場をチェックしましょう。駐輪場とゴミ捨て場には、そのマンションの管理の状態がよく表れます。駐輪場に自転車が乱雑に停められていないか、ホコリを被った自転車がずっと放置され続けていないかなどを確認しましょう。
また、停めてある自転車の種類を確認すれば、そのマンションに住んでいる居住者さんの世代感をある程度把握することができます。
【3】他のお部屋の玄関前(マンションの場合)
マンションの他のお部屋の玄関の前のスペースに自転車や車のタイヤ、子供の遊び道具などがたくさん置かれてしまっているようなマンションもあります。管理規約では、玄関の前の共用部にモノを置くことは禁止されている場合が多いのですが、一部のマンションでは、ルールが守られていない物件もあります。
自転車置き場が不足していて、仕方なくそのようになってしまっているようなマンションもありますが、自転車以外のモノもたくさん置かれているようなマンションは、他のルールも守られていない可能性もあるため、注意が必要です。
【4】契約電気容量(マンションの場合)
マンションによって、使用できる電気容量が決まっています。30A(アンペア)以上あれば、基本的にはご家族でも十分に暮らしていただくことはできますが、物件によっては20Aまでしか使用できないような物件もあるので、内見時には念の為、ブレーカーに表記されているアンペア数を確認するようにしましょう。
また、築年数の古い物件の場合は稀に「単相2線式」という配電方式の物件があり、使用できる家電製品に制約が出てしまう場合もあるので、注意が必要です。単相2線式の場合はブレーカーにも「単2」と記載されていることが多いので、確認するようにしましょう。
【5】エアコンの設置可否(マンションの場合)
どんなマンションでもLDKにはエアコンが設置できますが、築年数がやや古い物件の場合、廊下側にあるお部屋にエアコンが設置できないような物件もあります。内見時には各お部屋にエアコンが設置されているかどうかを確認するようにしましょう。
また、売主さんが退去済みの物件で、エアコンが設置されていない場合は、壁にエアコンの配管を通すための穴(スリーブ)が空いているかどうか、エアコンの室外機置き場が確保されているかどうかなどを確認するようにしましょう。
【6】給湯器の年式
給湯器の交換には数十万円単位のお金がかかってきます。給湯器の寿命は一般的に10~15年程度と言われていますので、売主さんがいつ交換されたのか、確認すると良いでしょう。 売主さんが居住中の物件でなければ、給湯器の本体に製造年が記載されているので、確認すると良いでしょう。
もし、築15年や20年の物件で、今まで一度も交換したことが無い場合は入居のタイミングで新しいものに交換してしまっても良いかもしれません。
【7】壊せない壁の有無
建物の構造によっては、リノベーションでも壊せない壁が存在する可能性があります。マンションの場合は4階や5階建以下の低層マンション、戸建の場合はツーバイフォー工法や軽量鉄骨造などの物件は要注意です。
もし、リビングとリビングの横のお部屋を繋げて一体化したいというような希望がある場合は、間仕切り壁が壊せそうかどうかを確認する必要があります。不動産会社の担当者さんによっては、その判別ができない場合も多いので、不安な場合は、リフォーム会社や設計士さんにしっかりと確認するようにしましょう。
【8】故障・破損箇所
築年数がある程度経過している中古物件の場合は、設備類が故障してしまっていたり、壁や床、扉などが破損してしまっている可能性もあります。物件の契約後に発覚した場合、売主さんとトラブルになってしまうリスクもあるので、内見時に確認するようにしましょう。
特に戸建の場合は「雨漏り」してしまっているような物件も多いので、2階や3階の天井や壁を見て、雨漏りのシミなどが無いか確認できると良いでしょう。
売主さんがお住まい中の物件であれば、「故障しているところや破損しているところはありますか?」と直接確認することもできますし、売主さんがお引越し済みの物件の場合は、不動産会社の担当者経由で確認するようにしましょう。もし故障・破損箇所があった場合には、価格交渉の材料として使える場合もあります。
【9】残置物の有無
基本的には室内にある"動かせるもの"については売主さん側で撤去することになりますが、売主さん、買主さんが同意すれば、エアコンや照明、カーテン等を残置しておいていただける場合もあります。
内見して物件が気に入った場合は、売主さんが残置を希望されているものや、逆に残しておいて欲しいものなどを双方で確認するようにしましょう。
【10】ご近所の住人の情報
万が一、お引越し後に近隣トラブルになってしまうと、日々、大きなストレスを抱えて生活することになってしまいます。マンションであれば上下左右のお部屋、戸建物件であれば隣接するお家に、どんな家族構成の方がお住まいなのか、過去にトラブルがなかったなどを確認するようにしましょう。
特にお子さんがいらっしゃるご家族の場合は、同じくらいの世代の方が多いと安心かと思います。マンションの場合は、過去にマンション内で大きなトラブルや事件がなかったかどうかを、管理人さんが教えてくれることもあります。
【11】ゴミ捨てのルール
マンションの場合は24時間いつでもゴミが捨てられる物件が多いですが、戸建物件の場合はゴミ捨てのルールが細かく決まっていることがあります。 ゴミの分別方法やゴミ捨て場の場所、ゴミを捨てても良い時間帯、清掃が当番制かどうかなども確認するようにしましょう。
【12】ガスの種類(戸建の場合)
やや郊外の物件や駅から距離がある物件、坂道の多いエリアの物件の場合、ガスが都市ガスではなく、「プロパンガス」の場合があります。家の外に大きなガスボンベを設置するタイプのものです。
プロパンガスは都市ガスに比べて、利用料金が高くなることが多いので、ガスの種類も確認するようにしましょう。現状がプロパンガスの物件であっても、家の近くまで都市ガスの配管が来ていれば、都市ガスへの切り替えができることがあります。
気に入った物件がプロパンガスの物件だった場合は、都市ガスへの切り替えができそうかどうか、念の為に確認するようにしましょう。
■まとめ
内見時は楽しくて、ついつい物件の全体的な雰囲気ばかりに目がいってしまって、重要なチェックポイントを見落としてしまうこともあります。 あらかじめ確認すべきポイントをスマホなどでリスト化しておいて、内見時に一つずつ確認すると抜け漏れなく確認することができると思います。
もちろん、内見時にわからないことがあったら、売主さんや不動産会社の担当者さんにも遠慮せずに積極的に質問するようにしましょう。