やってきました、芸術の秋。猛暑も去り、ようやく(?)肌寒くなってくると、なんだか劇場が恋しくなってきませんか? 今回は国も、時代も違うけれど、21世紀のいまなおわたしたちを魅了する名作の舞台版を紹介。時空を超えて愛される佳作の魅力を、現代の舞台で体感したい。
シェイクスピアが描く、国を揺るがす大人の愛とは!?
現在、上演中の『アントニーとクレオパトラ』は、蜷川幸雄がウィリアム・シェイクスピアの戯曲37作をすべて上演するという、彩の国シェイクスピア・シリーズ第24弾。カリスマ的なローマの武将アントニーが巨大な権力と名声を犠牲にしてまで、エジプトの女王クレオパトラに愛をささげる悲劇だ。政治と情熱に突き動かされる悲劇の主人公、アントニー役を演じるのは、吉田鋼太郎。クレオパトラ役には元宝塚トップスターの安蘭けいが、初の蜷川演出&シェイクスピアに挑む。埼玉、福岡、大阪の公演終了後は、韓国での上演も決まっている同作。シーザー暗殺後の古代ローマとエジプトという壮大な空間を、蜷川がどのように演出するのか興味律々!
鬼才・蜷川が大人の「灼熱の恋」を描く。
『アントニーとクレオパトラ』 | |
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日程 | 2011年10月1日(土)~10月15日(土) |
会場 | 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉・さいたま市) ※福岡公演(10月21日~23日 キャナルシティ劇場)、大阪公演(10月28日~31日 イオン化粧品 シアターBRAVA!)、韓国公演(11月24日~27日 LGアートセンター)あり |
演出 | 蜷川幸雄 |
作 | W.シェイクスピア |
翻訳 | 松岡和子 |
キャスト | 吉田鋼太郎、安蘭けい、池内博之、橋本じゅん、中川安奈、熊谷真実 ほか |
料金 | S席 9,000円、A席 7,000円、B席 5,000円 |
文豪井上靖の恋愛小説をカナダ人演出家が演出
アカデミー賞受賞歴を持つ映画監督であり、シルク・ドゥ・ソレイユ『ZED』やNYメトロポリタンオペラも手がける演出家フランソワ・ジラールが、日本が誇る文豪井上靖の名作『猟銃』を、同作が初舞台となる中谷美紀を起用して完全舞台化。ある男の13年間にわたる不倫の恋を通して、男の妻、愛人、そして愛人の娘を描き、「女性」のもつ愛憎の深さを浮き彫りにした作品で、男に宛てられた三人の女性の手紙で構成される。ジラールから、直々に、3役のなかで好きな役をと打診された中谷は、その原作の魅力にとりつかれ、「全て演じたい」と答え、その結果、3役を演じ分けることに。すでにカナダで上演。全日程チケットは完売&スタンディングオベーションの好評を得て、日本に凱旋中だ。
中谷美紀が3人の女の愛憎を演じ分ける
『猟銃』 | |
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日程 | 2011年10月3日(月)~10月23日(日) |
会場 | パルコ劇場(東京・渋谷) ※兵庫公演(10月29、30日 県立芸術文化センター阪急中ホール)、新潟公演(11月6日 りゅーとぴあ)、名古屋公演(11月23~24日 名鉄ホール)、京都公演(11月27日 京都芸術劇場春秋座)、福岡公演(11月18日 キャナルシティ劇場)あり |
原作 | 井上靖 |
日本語台本・監修 | 鴨下信一 |
演出 | フランソワ・ジラール |
キャスト | 中谷美紀、ロドリーグ・プロトー |
料金 | 7,350円(全席指定) |
児童文学の傑作を、人気劇団が舞台化
キャラメルボックスの「世界名作劇場」シリーズ第3弾。同シリーズは、キャラメルボックスの主宰で、座付き脚本家である成井豊がほれ込んだ戯曲を上演するというもの。今回は、30カ国語以上に翻訳されたドイツの名作、エーリッヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』を舞台化。上演にあたり、あらためて上演許可を取り、成井が新たに脚色・演出を手掛ける。同作は、寄宿学校を舞台に、高等科1年に在籍する個性豊かな5人の子どもたちと、子どもたちを見守る先生──それぞれが、それぞれが悩みや悲しみを胸に秘め、精一杯生きる日々を描いた児童文学。子どもの頃、夢中で読んだ名作がどのように舞台化されるか、確認しに出かけてみては? 秋の夜長、子どもの頃の気持ちを思い出し、ちょっぴりおセンチになってみるのも一興。
描かれているのは、「人が人を思う気持ち」。子ども時代を思い出したい。
成井豊の世界名作劇場vol.3『飛ぶ教室』 | |
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日程 | 2011年10月13日(木)~2011年10月23日(日) |
会場 | あうるすぽっと(東京・池袋) ※東京・亀有公演(10月29、30日 かめありリリオホール)、福岡・北九州公演(11月5、6日 北九州芸術劇場 中劇場)あり |
構成・演出 | 成井 豊 |
原作 | エーリッヒ・ケストナー |
翻訳 | 山口四郎 |
キャスト | 多田直人、筒井俊作、左東広之、大家仁志(青年座) ほか |
料金 | 5,000円(全席指定) |
長谷川あや
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大学時代から舞台にはまり、小劇団のストレートプレイから大型ミュージカルまでジャンルを問わず観劇。卒業後は出版社に入社し、編集者として活躍。1996年に退社し、現在はフリーライターとして、演劇専門誌や女性誌、情報誌などで読みものページを中心に執筆している
イラスト:gnk