今日も電車を乗り継いで立ち食いそば巡り。たどり着いたのは、東京メトロ銀座線「赤坂見附」駅。私事だが、会社員時代には、この駅をよく利用した。赤坂見附駅から千代田線の赤坂駅にかけての数百メートル、チェーン店から高級店まで多くの飲食店がひしめき合っているのだが、意外にも立ち食いそば店が多くない(2~3軒? )ことに気づいたのはここ最近である。その一因はやはり、A番出口降りてすぐの広場に「蓼科」が大きく目立っているからだろう。

「かつそば」(税込490円)

行列店でも2店舗分の座席で対応

白い提灯に挟まれた「うどん・そば」ののれんと、写真入りのメニュー看板。ビジネスマン御用達の駅そばとして申し分ない佇まいをしている。いわゆる「そば屋のカレー」も出すようで、手書きでは「揚げたて天丼」の文字も見えた。

間口は狭く、入るとすぐ活気にあふれたL字カウンターと厨房の前へ。右手側に食券機がある。何を食べるかあまり決めずにふらりと入ったので、しばし悩む。かき揚げ天で何種類かと、たぬきやとろろそば、もちろんカレーそばもある。目に留まったのは「かつそば」(税込490円)。よし、これにしよう。

食券を渡して「そばで」と伝える。見渡すと、店内は随分手狭だ。カウンターでは4~5人が並んだらぎゅうぎゅう。お昼どきもあって、後ろに続々と客が並んでおり、どうしようかなと思っていると、お隣の居酒屋「千成」という店舗と中でつながっていた。こちらの座席も利用できるらしい。こちらには着席できるスペースもあり、キャパは十分。できあがったそばと水を持って、隣に移って食す。

淡白なカツもツユで味わいが増す

立ち食いそばとしては高額な方だが、とは言え、ワンコインでお釣りがくる値段。カツ自体にはさほど期待はしていなかったが、5つ切りにされたカツは十分なサイズだ。

揚げたてではなく、むしろカツの上からツユをかけているのか、すでに衣はヒタヒタである。甘みの強いツユの味がよく染み込んでいる。ソースで食べないカツはわりと淡白なので、これくらいが適度においしい。麺は細めだが、少しねっとりとした舌触り。繊細でお高い、近所のそば屋では出せないジャンクなおいしさがある。

「蓼科」へは東京メトロ銀座線・赤坂見附駅からすぐ

地下鉄のハブになっている駅の目の前なので、足も運びやすいだろう。小腹が空いた時、忙しい仕事の合間にもぜひオススメしたい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。