今回は激戦区のひとつ、秋葉原の「みのがさ」を紹介する。立ち食いそばが特に多いのは、JR「秋葉原」駅の昭和通り側の方。連載でもいくつか既に取り上げていると思う。中でも今回の「みのがさ」は、岩本町側の本店と今回の神田和泉町店、少し離れたところに蔵前橋通り店と3つも店舗を持っている人気店のひとつだ。黒に赤で六文銭が描かれた庇には「信州戸隠生蕎麦 みのがさ」と書かれている。

「げそ天そば」(税込470円)

信州戸隠産のプレミアムそば粉を使用

引き戸を開けて中に入ると、右手に揚げ物が並んだカウンターと厨房、左に座れるカウンターと、食券機がある。14時前、客の入りは4~5人。店員のおばさんは笑顔で元気がよく、雰囲気もいい。早速メニューを選ぼう。

ラインナップに大きな特徴はなく、そば類に丼、カレーライスなどが名前を連ねる。玄関の文字の通り、そばに自信のある店のようで、うどんはなかった。「げそ天そば」(税込470円)を注文。

食券を渡し、テレビを眺めながらぼうっと待つ。麺のゆで上がりには多少時間がかかり、3~4分は待ったか。退屈なので、壁の張り紙を読む。信州戸隠産のプレミアムそば粉を使用したこだわりの麺だ、ということが書かれていた。そうこうしている内にそばが到着。

出会うべくして出会ったのかも!?

白くて細い麺が何よりも印象的。一口すすると、そばの香りがしっかり、まろやかであっさりしたつゆとの相性もピッタリだ。そば通でも何でもない筆者が食べても、いいそばだ、ということだけは分かる味である。

その上に鎮座している、ゲソ天。この上品なそばには似つかわしくない、ジャンクの王さまのような天ぷら。プレミアムそば粉の手打ちそばとはまた違った意味の歯ごたえがあり、味も濃い。食感も味も全くベクトルは違うのだが、それなのに何となく成立してしまっているところがすごい。

「みのがさ」はJR・東京メトロ「秋葉原駅」から徒歩3分

後で調べると、ゲソ天は当店の大人気メニューのひとつだとか。立ち食いそばを食べるなら、その一杯の中であれもこれも味わいたい。そんな欲張り気分を満たしてくれる一杯であった。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。