新宿通りが好きだ。繁華街の新宿から新宿御苑を通り、四ツ谷や麹町の方に向けて少しずつ表情が変わるのが面白い。新宿から四ツ谷まで、徒歩40分。ちょうどいい散歩コースだ。今回紹介するのは、その新宿通り沿い、津之守坂入口交差点の角地にある「つぼみ家」だ。

「野菜天そば」(税込390円)

「大海老そば」でも580円とお手頃価格

大きく蕎麦の写真や天ぷらがプリントしてあったりするのを見ると大規模チェーンのようにも見えなくはないが、知る限りだと店舗はこちらと神田にあるのみだと思う。写真にあるように「7周年ありがとう! 」の張り紙が見える。平日は24時間営業なんだとか。

入るとまず右手に券売機。写真入りのメニューを見ると、オススメは「大海老そば」という特大の海老天がついたもりそばのようだ。こちらのつぼみ家は「挽きたて・打ちたて・茹でたて」の自家製麺、天ぷらも一切揚げ置きなしのこだわりっぷり。それでいてこのもりそば、税込580円というのだから食べたくなる気持ちも分かる。しかし申し訳ない、ここは温かいそばが食べたい気分だった。「野菜天そば」(税込390円)を注文。

揚げたて天ぷらには選べる塩を

店内突き当りが厨房で、こちらで食券を渡す。その両側に着席カウンター、スタンド席、テーブル席が並んでいる。20人弱は入りそうな中型店だ。セルフの水のほかに温かいほうじ茶もある。

待つこと3分。呼ばれて、完成。野菜天はいんげん天となす天のふたつ。少し物足りなく見えるかもしれないが、揚げたてサクサクで見た目よりおいしい。麺は細めでやや柔らかめ、つゆは甘く、角のないやさしいそばだ。卓上には抹茶塩や岩塩、カレー塩が置かれている。揚げたての天ぷらをよりおいしくいただくことができる(といっても温そばでは使わないが)。

「つぼみ家」へは東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」から徒歩4分

ちなみにこちら、もり・ひや・かけそばがどれも税込280円。四ツ谷という一等地、そして蕎麦へのこだわりを考えると破格中の破格だ。ぜひこれから8年、9年とこの地に残ってほしい一店である。

※記事中の情報は2016年10月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。