晩婚化が進み男女ともに30歳前後が平均結婚年齢になりました。生涯独身の男女もこれからますます増えるでしょう。健康な時は何も問題はないでしょうが、重篤な病気やケガとなれば、独身はやはり不利です。病気の際の対策を考えておくことは結婚しても、まったく無駄にはならず大いに役立つはずです。
一人暮らしの医療保険の考え方
一人暮らしは病気の時は、なかなか大変です。ちょっと風邪で熱が出ただけの場合も、食事をしなければ風邪も回復できません。「消化が良くて栄養もある療養食は誰が作るの? 」ということになります。身内が近くにいなければ友人や家政婦派遣などに応援を頼むことになります。
入院が必要となった場合はさらに大変です。入院に保証人が必要なケースもあり、親はいずれいなくなります。一人っ子などはいつか全く保証人のあてがなくなるケースも考えられます。また、完全介護とは限りませんので、洗濯などの身の回りのこともお金を支払って、人を雇う必要があります。
民間の医療保険は不必要とするファイナンシャルプランナーもいますが、健康保険で賄えない自費で行う治療もありますので、やはり必要だと思っています。入院当日から保障されるものよりも、長期入院に手厚いものがお勧めです。がん保障等の特約を付けるか、その分入院保障を手厚くするかはよく検討してみてください。
短期入院のケースは重篤な傷病ではないことであり、費用も預貯金で賄えるでしょう。退院すれば職場に復帰するのが普通です。なにも入院当日から補償してもらう必要はありません。その分保険料も高くなります。それよりも入院が長期になって、職を失ったり、再び働くまで時間がかかったりする場合に対処すべきです。医療は日々進歩しています。高額な費用を必要とする治療方法も少なくありません。保険料は高くありませんので、高度先進医療保険の特約もお勧めます。今までは一般の医療保険の特約だけでしたが、単独で加入できる高度先進医療保険も登場しました。すべてをカバーできるわけではありませんが、加入しておくと助かるケースもあるはずです。
最大のリスクに備えよう
最大のリスクは、働けないが障害者には該当しない状況だと思います。一定の障害を負ったと認定されれば、住宅ローンの返済は団体信用生命保険により免除されますし、所定の障害年金も受給できるかもしれません。下記は公的年金の障害年金の受給者要件と等級の目安です。赤字で示したように、国民年金の被保険者が受給できる障害基礎年金には3級の等級がありません。3級の目安となる「労働が著しい制限を受けるか、労働に著しい制限を加えることを必要とする」部分は、ほとんど働けないが障害年金ももらえない状況で、一人暮らしには大きなリスクです。
公的年金の保険料はもれなく支払う
厚生年金は給与から自動的に引き落とされ、会社が手続きしますが、もし国民年金の第1号の被保険者あるならば、もれなく支払っていかなくては、いざというときに補償を受けられないこともあります。第3号の被保険者であったケースでも配偶者の年齢などによっては、第1号の被保険者に変更になっている場合があります。
医療保険に介護保障も加える
介護保険の対象はは40歳になってからです。それまでは上記の障害3等級レベルになっても支援はありません。民間の保険を活用するなどの対策が必要です。
誰でも万国共通に人生の一番の心配事は健康だと思います。健康であれば大概の問題は何とかなるものです。独身の場合は病気やケガの対策が特に重要です。独身貴族と言って優雅に生活していると、年齢とともに病気に対するリスクも高まり、困った事態にもなりかねません。
■ 筆者プロフィール: 佐藤章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。