スーパー戦隊シリーズ50周年を記念した大規模展示イベント「全スーパー戦隊展」がいよいよ2025年8月8日から開催されます。マイナビニュースでは「全スーパー戦隊展」開催に合わせ、第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』から第49作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』まで、50年のあゆみを6つの「時代」に分け、ご紹介してまいります。

連載第4回は、スーパー戦隊の系譜を受け継ぎつつ、斬新な設定を盛り込んでスケールの拡大を狙った「挑戦の時代」10作品、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年)から『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)までの解説をお届けします。

第35作 海賊戦隊ゴーカイジャー

2011年2月13日~2012年2月19日放送 全51話

スーパー戦隊シリーズ35作目を記念した『海賊戦隊ゴーカイジャー』は、全宇宙の支配を目論む強大な宇宙帝国ザンギャックに反旗をひるがえし「宇宙最大のお宝」を求めて旅をする若き海賊たちの冒険物語となりました。ゴーカイジャー最大の特徴は、ゴレンジャーからゴセイジャーまで34スーパー戦隊の力が秘められたレンジャーキーを使い、さまざまなヒーローに「豪快チェンジ」して戦うことです。

ゴーカイレッド=マーベラスたちは海賊を名乗りながらも正義感が強く、お宝のためにザンギャックと戦っていると言いつつ、結果的に地球の人々を救うヒーローとなっています。中盤からはスーパー戦隊に限りない愛情とリスペクトを捧げる青年・伊狩鎧が「歴代追加戦士」の力を備えるゴーカイシルバーとなり、海賊の仲間入りを果たして大活躍します。

第36作 特命戦隊ゴーバスターズ

2012年2月26日~2013年2月10日放送 全50話

『特命戦隊ゴーバスターズ』では、ヒーローアクションやメカニックの描写に従来以上のリアリティを求め、シリアスなSFスパイアクションドラマが志向されました。ゴーバスターズのアクションは確実に相手を仕留めるという凄みを感じさせるものとなり、3機のバスターマシンの出動シーンではオープン(野外)でのミニチュア撮影を多用することで、リアルな空気感を打ち出しています。

人々の暮らしを支える新エネルギー「エネトロン」を狙う「ヴァグラス」に挑む特命戦隊のヒロム、リュウジ、ヨーコにはそれぞれニック、ゴリサキ、ウサダという3体の相棒=バディロイドがおり、日常面から戦闘時まで幅広くサポートしているのも大きな特徴です。中盤より、天才エンジニアの陣マサトがビートバスター、そしてバディロイド「ビート・J・スタッグ」がスタッグバスターとなり、ヒロムたちの力強い仲間として活躍しました。

第37作 獣電戦隊キョウリュウジャー

2013年2月17日~2014年2月9日放送 全48話

『獣電戦隊キョウリュウジャー』では「恐竜」の持つ野性的な魅力を前面に出し、戦隊ヒーローの“強さ”をストレートに表現した作品となりました。単独でも十分な強さを備えた「強き竜の者」であることを強調しつつ、5人が力を合わせればどんな敵でも打ち破れるという「戦隊」の基本たるチームワークも兼ね備えた、まさに最強のヒーロー像が志向されています。

恐竜の魂を備えた電池型アイテム「獣電池」を変身銃ガブリボルバーにセットし、陽気なサンバのメロディーに合わせて変身者が軽快なステップを踏むというインパクト抜群の変身(キョウリュウチェンジ)シーンも、大いに話題を集めました。戦国時代からデーボス軍と戦っていたウッチーこと空蝉丸が変身するキョウリュウゴールドが6人目の戦士となったほか、シアン、グレー、バイオレット、シルバーとダイゴたちを支える仲間が結集し、10人の戦士たちがデーボス軍を迎え撃ちました。

第38作 烈車戦隊トッキュウジャー

2014年2月16日~2015年2月15日放送 全47話

『烈車戦隊トッキュウジャー』は「鉄道/列車」がモチーフに選ばれ、変身アイテムや武器、巨大メカなどあらゆる部分に活かされることでユニークなヒーロー像が描かれました。トッキュウジャーの5人は全員幼なじみである以外の記憶を失っており、互いの本名すらもわかりません。彼らはレインボーラインの「烈車」に乗って各地を旅しながら、世界を闇に包もうとする邪悪なシャドーラインの陰謀を粉砕します。

本作ではトッキュウジャーの力の源として「想像する力=イマジネーション」が設定されました。シャドーラインの陰謀を食い止めるための「烈車」の旅を描きつつ、ライトたちの故郷への思いや仲間たちとの友情、そしてシャドーライン側でうごめく複雑な人間模様など、見ごたえのあるドラマが創造されました。中盤からは、元シャドー怪人(ザラム)で現在はレインボーラインの保線作業員を務める虹野明がトッキュウ6号となり、ライトたちを助ける頼もしい仲間になっています。

第39作 手裏剣戦隊ニンニンジャー

2015年2月22日~2016年2月7日放送 全47話

『手裏剣戦隊ニンニンジャー』は「ラストニンジャ」と呼ばれる伝説の忍者・伊賀崎好天の5人の孫たちが、忍者一番刀と忍シュリケンを用いてニンニンジャーになり、君主・牙鬼幻月の復活を企む邪悪な「牙鬼軍団」に立ち向かう物語です。ニンニンジャーのモットーは「忍びなれども忍ばない」であり、派手な「シュリケン忍法」が注目を集めました。やがてアメリカから好天への弟子入りを志願する青年キンジ・タキガワ=スターニンジャーが登場。天晴たちを巻き込んで数々の騒動を起こした末、共に戦う仲間として認められるようになりました。

『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)の放送から40年を迎えたことを記念し、本作ではニンジャレッド、ハリケンレッド、アカレンジャー、マジイエロー、シュリケンジャーといった歴代スーパー戦隊の先輩や『世界忍者戦ジライヤ』(1988年)から磁雷矢(ジライヤ)=山地闘破が登場し、熱いドラマを生み出しました。

第40作 動物戦隊ジュウオウジャー

2016年2月14日~2017年2月5日放送 全48話

『動物戦隊ジュウオウジャー』は、異世界ジューランドに住む4人の「ジューマン」たちと出会った動物学者の風切大和が、宇宙の無法者と呼ばれるデスガリアンの魔手からすべての生命を守るため、戦士となって戦う物語です。ジューマンのセラ、レオ、タスク、アムはアクシデントによりジューランドに戻ることができなくなったため、やむなく人間界で共同生活をすることに。考え方も性格もバラバラな5人が共に力を合わせて戦ううちにお互いの良さを認め合い、チームとしてまとまっていくようすが丁寧に描かれていきます。

3体のジューマンパワーを備えるデスガリアン最強の刺客として現れた門藤操は、大和たちの努力によって洗脳が解けたのち「ジュウオウザワールド」と名乗って共に戦う仲間になりました。ちょっとしたことですぐに落ち込んでしまうメンタル面の弱さがある一方で、ひとたびポジティブになれば無敵の強さを発揮するという、操の極端なキャラクターが人気を集めました。

第41作 宇宙戦隊キュウレンジャー

2017年2月12日~2018年2月4日放送 全48話

『宇宙戦隊キュウレンジャー』では、大宇宙を縦横無尽に駆け巡るパワフルなヒーロー像が打ち出されました。宇宙を形成する88の星座系が「宇宙幕府ジャークマター」に支配され、善良な人々が苦しめられている中、星座の力を宿した「キュータマ」に選ばれた救世主が結集し、宇宙に平和を取り戻すための戦いを繰り広げます。

宇宙一ラッキーな男・ラッキーを筆頭に、9人の究極の救世主はみな濃密すぎる個性の持ち主ばかり。人数の多さを活かし、本作では2、3のグループに分かれてそれぞれ別な惑星に赴いたり、作戦行動に適した数名を選抜したりと、毎回さまざまなチームを編成するのが大きな特徴です。キュウレンジャーを束ねるショウ司令がリュウコマンダーに、惑星チキュウ出身の少年・小太郎がコグマスカイブルーに、そして300年の眠りより目覚めた「初代宇宙連邦大統領」鳳ツルギがホウオウソルジャーとなって仲間に加わり、総勢12人ものヒーローが宇宙を駆けめぐりました。

第42作 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー

2018年2月11日~2019年2月10日放送 全51話

『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』は、立ち位置のまったく異なる2つの「戦隊」がぶつかりあい、シリーズに新風を吹き込んだ作品です。人間社会で暴威をふるう異世界犯罪者ギャングラーは、かつて大快盗アルセーヌ・ルパンが集めた「お宝」=ルパンコレクションを強奪していました。失った「大切な人」を取り戻すためギャングラーからすべてのルパンコレクションを奪おうとする快盗3人と、人々を守るためギャングラー殲滅を第一に考える国際警察・戦力部隊の3人は、目的の違いから決して交わることがありません。対照的な2つの戦隊がそれぞれの持ち味を最大限に発揮し、争うだけでなく時には互いに協力し合うなど、毎回のように魅力的なキャラクタードラマが生み出されていきました。

中盤からは快盗と警察、どちらともつながっている高尾ノエルが登場し、ルパンエックス、パトレンエックスと2つの姿を使い分けて強烈な存在感を発揮しています。

第43作 騎士竜戦隊リュウソウジャー

2019年3月17日~2020年3月1日

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は、ヒーローの強さを象徴する「恐竜」に、正しさの象徴である「騎士」の要素を加え、ファンタジックかつパワフルなヒーロー像を目指した作品です。6500万年前から地球を守ってきた古代人類「リュウソウ族」の末裔である5人の騎士たちは、凶悪な戦闘民族ドルイドンが送り込む「マイナソー」から人々を守るため、ティラミーゴをはじめとする騎士竜(鎧で武装した恐竜)たちと力を合わせて戦うのです。

第14話からは、リュウソウレッド=コウたち5人とは出身が異なる「海のリュウソウ族」のカナロがリュウソウゴールドとなって登場。ふだんはクールにふるまっているものの、海のリュウソウ族の子孫を残すため日々「婚活」に励んでいるというキャラクター設定が、観る者に強烈なインパクトを与えました。

第44作 魔進戦隊キラメイジャー

2020年3月8日~2021年2月28日放送 全45話

『魔進戦隊キラメイジャー』は「人が輝くこと」をテーマに、光輝く宝石をデザインに組み込んだヒーローが邪悪な敵と戦う物語が描かれました。宝石の国「クリスタリア」を崩壊させたヨドン軍は、次に地球を闇に陥れようと侵攻を開始。クリスタリアの姫マブシーナは5つのキラメイストーンと共鳴する「キラメンタル」を持った5人の若者を探し出し、キラメイジャーとなってヨドン軍と戦ってくれるよう依頼します。

イエローはeスポーツ、グリーンは陸上選手、ブルーはイケメンアクション俳優、ピンクは天才外科医と各分野で才能を輝かせ、戦いにおいてもそれぞれの特性を活かしたスマートなアクションが持ち味となっています。レッドの充瑠は絵を描くことの好きな平凡な高校生ですが、空想する心、想像力が誰よりも強く、彼のひらめきによって仲間の危機が何度も救われました。エピソード12からは、人間的度量が大きいキラメイシルバー=クリスタリア宝路が仲間に加わり、ワンダーな大活躍を見せました。

「スーパー戦隊ヒストリー」次回は、「躍進の時代」2021年から2025年の5作品(機界戦隊ゼンカイジャーからナンバーワン戦隊ゴジュウジャーまで)をご紹介します。お楽しみに!

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