スーパー戦隊シリーズ50周年を記念した大規模展示イベント「全スーパー戦隊展」がいよいよ2025年8月8日から開催されます。マイナビニュースでは「全スーパー戦隊展」開催に合わせ、第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』から第49作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』まで、50年のあゆみを6つの「時代」に分け、ご紹介してまいります。
連載第3回は、映像技術のレベルアップを果たし、キャラクタードラマとしての魅力を高めた「発展の時代」10作品、『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)から『天装戦隊ゴセイジャー』(2010年)までの解説をお届けします。
第25作 百獣戦隊ガオレンジャー
2001年2月18日~2002年2月10日放送 全51話
21世紀初のスーパー戦隊『百獣戦隊ガオレンジャー』は、大自然の精霊「パワーアニマル」と力を合わせ、地球を守る戦士たちの活躍を描く物語です。野生動物のようなワイルドな戦い方を得意とするガオレンジャーの5人は元の名前も過去の職業もすべて捨て、邪悪な“鬼”=オルグたちとの戦いに命を懸けるのです。本作の特徴としては、パワーアニマルを表現するため「フルCG」を導入したことが挙げられます。かつてないスピード感、躍動感を備えたパワーアニマルは精霊王ガオキングに百獣合体する上に、両腕、両足を形成するパワーアニマルを組み換えてさまざまな強化形態になることができました。
千年前の先代ガオレンジャーであるガオシルバーは当初、狼鬼(ロウキ)という強敵として現れましたが、紆余曲折を経て元の姿を取り戻すことに成功。ガオレンジャーの頼もしい味方として活躍し、人気を集めました。
第26作 忍風戦隊ハリケンジャー
2002年2月17日~2003年2月9日放送 全51話
『忍風戦隊ハリケンジャー』は、疾風流忍者を養成する忍術学校「忍風館」の若者3人が、宇宙忍群ジャカンジャと戦うため伝説の後継者=ハリケンジャーとなって戦う物語です。本作の特色は、迅雷流忍者の霞一甲、一鍬兄弟が「電光石火ゴウライジャー」と名乗ってハリケンジャーと別行動を取っているところ。発展途上のハリケンジャーと、厳しい修行を積んだクールなゴウライジャーは、対立を経て「流派を超えた友情」で結ばれていきます。
中盤からは宇宙統一忍者流・天空忍者シュリケンジャーがさっそうと登場。仲間にすら正体を明かさない主義のシュリケンジャーはいくつもの顔を使い分けて隠密活動を行いますが、仮の姿を演じるのが歴代「スーパー戦隊シリーズ」にゆかりの深い俳優たちという、ファンサービスが好評でした。ハリケンジャー、ゴウライジャー、シュリケンジャーが幾多の試練を乗り越え、時には辛い犠牲を出しながらも戦い続けるといった熱いドラマが描かれました。
第27作 爆竜戦隊アバレンジャー
2003年2月16日~2004年2月8日放送 全50話
『爆竜戦隊アバレンジャー』は、別次元の地球(ダイノアース)で独自の進化を遂げた「爆竜」と力を合わせて、われわれの住む地球(アナザーアース)を守るため邪命体エヴォリアンに戦いを挑む若者たちの物語。凌駕、幸人、らんるは非常に強い「ダイノガッツ」を備えており、アバレスーツを装着してアバレンジャーになることができます。彼らをサポートして戦うアバレブラックに変身するのは、滅亡したダイノアースから生き残った「竜人」アスカでした。
スーパー戦隊シリーズの定番的展開からの「逸脱」をはかった本作では、底抜けな明るさを備えたエピソードから、シリアスなキャラクタードラマまで、ストーリーのふり幅が非常に大きいのが特徴となりました。中盤からその存在が明らかとなったアバレキラー=仲代壬琴には、エヴォリアンをも手玉にとる最強の「敵」という設定が与えられ、アバレンジャー4人がギリギリまで苦しめられるスリリングな展開が幾度も見られました。
第28作 特捜戦隊デカレンジャー
2004年2月15日~2005年2月6日放送 全50話
『特捜戦隊デカレンジャー』は宇宙の各惑星間の交流が活発になった近未来の世界を舞台に、地球の警察では手に負えない不可思議犯罪を巻き起こす宇宙人犯罪者=アリエナイザーに挑む「宇宙警察地球署」の若き刑事(デカ)たちの活躍を描いた作品です。「特定の敵組織」を設定せず、毎回さまざまな動機で犯罪を起こすユニークなアリエナイザーが登場。難事件に対してデカレンジャーが地道な捜査や推理を行い、犯人を割り出していく過程が本格刑事ドラマさながらのリアルさで描き出されました。
怪事件の裏でエージェント・アブレラという武器商品が暗躍し、彼がアリエナイザーに戦闘工作用ロボットや怪重機を提供しますが、5台のデカマシンが合体して完成するデカレンジャーロボがこれを迎え撃ちます。5人の刑事を束ね、時にはデカマスターとして共に戦うボス=ドギーの頼もしい存在感や、中盤からバンたちの仲間になる若きエリート刑事デカブレイク=テツのクールなファイトぶりにも注目が集まりました。
第29作 魔法戦隊マジレンジャー
2005年2月13日~2006年2月12日放送 全49話
『魔法戦隊マジレンジャー』は「魔法」をモチーフにしたファンタジックな世界観が持ち味となりました。かつて天空聖者たちに封印された地底冥府インフェルシアがふたたび地上へと侵攻を始め、魔法使いの母(マジマザー)深雪の子供5人は魔法戦隊マジレンジャーに「魔法変身」し、力を合わせてインフェルシアと戦う運命を受け入れます。
本作では可能性に満ちた高校生の末っ子・魁がマジレッドとなり、先陣を切って敵に向かっていく熱さを打ち出しています。兄妹の「勇気」に魔法が応えることにより、変身アイテムでもあるマージフォンに新しい呪文が降臨。戦いを重ねるたび、魔法使いとして、人間として深みを増していく小津兄妹の成長ドラマが丁寧に描かれました。5人の魔法使いの「先生」として登場したマジシャイン=ヒカル先生のスマートな立ち振る舞いも人気となり、ファミリー感の強いチームにさらなる彩りを加えています。
第30作 轟轟戦隊ボウケンジャー
2006年2月19日~2007年2月11日放送 全49話
『轟轟戦隊ボウケンジャー』は「冒険」をテーマに、力強いヒーロー像が描かれました。人類にとって危険な宝=プレシャスを探し出し、悪に利用されないよう守り抜く使命を帯びた「冒険者」たち、それがボウケンジャーです。彼らは世界の宝を保護する民間団体「サージェス財団」に属し、ゴーゴービークルで出動します。
ボウケンジャーより先にプレシャスを狙おうとするのは「ネガティブシンジケート」と総称される複数の犯罪組織。劇中ではゴードム文明、ダークシャドウ、ジャリュウ一族、クエスターといった強敵がボウケンジャーの前に立ちはだかりました。中盤からは戦闘能力に長けた高丘映士が、ボウケンシルバーとして仲間に加わります。誰よりも冒険を愛し、勇気と判断力を備えるチーフことボウケンレッド=明石暁がリーダーシップをとり、いかなる困難なミッションをもクリアしていくボウケンジャーの活躍が、子供たちを興奮させました。
第31作 獣拳戦隊ゲキレンジャー
2007年2月18日~2008年2月10日放送 全49話
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』は、獣の力を手にする拳法「獣拳」の2流派=激獣拳ビーストアーツと臨獣拳アクガタとの「宿命の対決」をメインにおいた作品です。ヒーローデザインは歴代スーパー戦隊の中で初めて「ベルト」をなくし、ネコ科動物(虎、ジャガー、チーター)のしなやかさを打ち出しています。旧来の「努力・根性」から脱却し、最新「スポーツサイエンス」の要素を採り入れているのも大きな特徴です。
毎回のエピソードをジャンたちの「修行」ととらえ、彼らが戦いを通じて着実に何かを学び、成長していくようすが描かれています。途中からレツの兄ゴウがゲキバイオレット、天才肌で陽気なケンがゲキチョッパーとなって仲間に加わり、臨獣殿の強敵たちに立ち向かっていきます。自身の“強さ”を高めるために決して妥協を許さない理央、そして理央への激しい愛のためだけに生きるメレという2人のライバルキャラも、高い人気を誇りました。
第32作 炎神戦隊ゴーオンジャー
2008年2月17日~2009年2月8日放送 全50話
異次元世界「マシンワールド」から「ヒューマンワールド」へやってきた「炎神」と力を合わせ、蛮機族ガイアークと戦う使命を帯びた若者たちの物語、それが『炎神戦隊ゴーオンジャー』です。ヒーローモチーフには「自動車」に「動物」が組み込まれ、独自の魅力を発揮しています。ゴーオンジャーの5人と炎神たちの交流、または炎神同士の友情描写など、ユニークなドラマがいくつも創造されました。
ヒューマンワールドを汚染させる野望を持ち、蛮機獣を送り込むガイアークの三大臣(ヨゴシュタイン、キタネイダス、ケガレシア)はゴーオンジャーにとって倒すべき邪悪な敵ではありますが、どこか憎みきれないユーモアと哀愁を漂わせており、印象的なキャラクターになりました。中盤からは「空」の炎神を相棒に持つ須塔兄妹がゴーオンゴールド、ゴーオンシルバーの「ゴーオンウイングス」として登場。優れた戦闘能力を持つ兄妹は、やがてゴーオンジャーとも固い絆で結ばれていきました。
第33作 侍戦隊シンケンジャー
2009年2月15日~2010年2月7日放送 全49話
三途の川に棲む化け物「外道衆」と戦う「侍」たちの活躍を描いた『侍戦隊シンケンジャー』では、ヒーローキャラクターに「和」のテイストが与えられました。5人の侍をバックアップし、ショドウフォンによる変身の下準備や段取りなどを手際よく進める「黒子」の存在が本作の独自性を強めています。
シンケンレッド=丈瑠は志葉家十八代目当主で、他の4人は彼に仕える「家臣」であるという侍社会の「主従関係」が、ユニークな物語をいくつも生み出しました。シンケンジャーは文字に宿る力=モヂカラを用いてさまざまな技を繰り出すほか、万能刀シンケンマルによる迫力満点の立ち回りを披露。中盤からは、丈瑠の幼なじみ・梅盛源太がシンケンゴールドとなって仲間に加わります。優れた科学知識と戦闘能力を持ちながら、侍ではなく「寿司屋」だという源太の濃厚な個性にも、強いインパクトがありました。終盤ではあっと驚く「どんでん返し」も見られ、最後まで目が離せないスリリングなストーリーが展開しました。
第34作 天装戦隊ゴセイジャー
2010年2月14日~2011年2月6日放送 全50話
『天装戦隊ゴセイジャー』は、異空間にある「護星界」から地上にやってきた見習い護星天使たちが、地球を襲う邪悪な軍団から人々を守る物語です。「天使」というモチーフによってファンタジックな世界観を打ち出した本作では、楽天的なスカイック族のアラタとエリ、熱い心を備えるランディック族のアグリとモネ兄妹、知的でクールなシーイック族のハイドというように、それぞれの出身環境から来る性格の違いを強調。それぞれがぶつかりあい、互いに理解しあうことで結束力が生まれ、より強いチームになっていく様子が描かれました。中盤からはゴセイヘッダーから超進化を果たした騎士・ゴセイナイトが登場し、やがてゴセイジャーの頼もしい味方となります。
本作では、宇宙虐滅軍団ウォースター、幽魔獣、マトリンティス帝国と、悪の軍団が次々に交代していくのも大きな見どころ。何度も倒されながら復活し、軍団を渡り歩くブレドラン(武レドラン、ブレドRUN、ブラジラ)のしぶとさも、特筆すべき事項です。
「スーパー戦隊ヒストリー」次回は、「挑戦の時代」2011年から2020年の10作品(海賊戦隊ゴーカイジャーから魔進戦隊キラメイジャーまで)をご紹介します。お楽しみに!
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