スーパー戦隊シリーズ50周年を記念した大規模展示イベント「全スーパー戦隊展」がいよいよ2025年8月8日から開催されます。マイナビニュースでは「全スーパー戦隊展」開催に合わせ、第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』から第49作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』まで、50年のあゆみを6つの「時代」に分け、ご紹介してまいります。

連載第2回は、スーパー戦隊のフォーマットを守りつつ、大胆な設定や世界観を導入してシリーズの可能性を広げる役割を担った「転換の時代」10作品、『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)から『未来戦隊タイムレンジャー』(2000年)までの解説をお届けします。

第15作 鳥人戦隊ジェットマン

1991年2月15日~1992年2月14日放送 全51話

『鳥人戦隊ジェットマン』は、スーパー戦隊シリーズに新風を吹き込むべく、ストーリー面、映像面の両方で意欲的な試みが行なわれました。次元戦団バイラムから地球を守る鳥人戦隊。しかし戦士として訓練を受けたのはレッドホーク=天堂竜だけで、他のメンバーはみな偶然バードニックウエーブを浴びただけの一般人でした。5人はバイラムとの激しい戦いの中で少しずつ心を通わせ、やがて本当の戦士となって団結していきます。

本作では「ヒーローの人間味」にスポットをあて、生真面目な戦士である竜と孤独を愛するアウトローの凱が対立を繰り返した末、強い友情で結ばれていくまでを1年近いエピソードを費やして描いています。竜を慕う香、香に惚れた凱、そしてラディゲに洗脳されてバイラム幹部マリアとなった竜の恋人リエというように、敵・味方をも巻き込む複雑な恋愛感情が渦巻くドラマ展開にも注目が集まりました。

第16作 恐竜戦隊ジュウレンジャー

1992年2月21日~1993年2月12日放送 全50話

『恐竜戦隊ジュウレンジャー』は、大ヒット小説『ジュラシック・パーク』(1993年に映画化)で話題の「恐竜」をモチーフに、冒険ファンタジーの要素をふんだんに盛り込んだ作品です。1憶数千万年前の恐竜時代から現代に甦った超古代戦士たちは、魔女バンドーラ一味の陰謀を阻止するべく、守護獣たちと力を合わせてドーラモンスターに挑みます。

従来の巨大ロボットにあたる大獣神は、その名のとおり「神」と設定され、ジュウレンジャーたちが数々の困難を乗り越えた末に新アイテム(伝説の武器)を手に入れるなど、全編にファンタジーRPGの楽しさが詰め込まれています。そして本作では、シリーズ初の本格的な「追加戦士」としてドラゴンレンジャー=ブライが登場。ゲキの兄でありながら最初はジュウレンジャーの敵として現れ、紆余曲折を経て仲間になる劇的な演出が施されたブライは、大人気キャラクターとなりました。

第17作 五星戦隊ダイレンジャー

1993年2月19日~1994年2月11日放送 全50話

『五星戦隊ダイレンジャー』は前作『恐竜戦隊ジュウレンジャー』で好評だったファンタジー風味を継承しつつ、格闘ゲームの迫力をも盛り込んだ作品です。キャラクターのモチーフは龍や獅子、天馬、麒麟、鳳凰といった東洋の伝説獣で、メンバーはみな中国拳法、武術を得意としています。6000年の時を経て邪悪なゴーマ一族が復活し、道士・嘉挧(かく)は神秘のパワー「気力」を備える若者を選び出しました。ダイレンジャーに転身した5人は得意の気力技を使い、クセ者ぞろいのゴーマ怪人と戦います。

本作では5人の戦士それぞれに運命的なキャラクター(ライバル、友人、恋人など)が設定され、メンバーの個性が従来以上に濃く描かれているのが大きな特徴です。前作のドラゴンレンジャーにあたる「追加戦士」として、小学生のコウが転身する吼新星キバレンジャーが中盤より登場。ゴーマの少年・阿古丸とコウをめぐる因縁のドラマも視聴者の興味をひきました。

第18作 忍者戦隊カクレンジャー

1994年2月18日~1995年2月24日放送 全53話

『忍者戦隊カクレンジャー』は日本におけるアクションヒーローの原点というべき“忍者”をモチーフとして、さまざまな忍法を用いて悪い妖怪どもを倒す「現代忍者」の活躍が描かれました。ドロンチェンジャーでカクレンジャーに「スーパー変化」する5人はみな500年前に活躍した忍者の子孫。スーパー戦隊史上初となる女性リーダーの鶴姫、戦闘時に仲間を引っ張る熱血漢のサスケ、アメリカ育ちで格闘術に優れたジライヤ、大食いのセイカイ、軽薄そうに見えて実は人の好いサイゾウと、陽気で都会的なヒーローキャラクターに注目が集まりました。

アメリカンテイストでハジケたデザインの妖怪たちや、全国の妖怪を束ねる「妖怪大魔王」の威圧感、そして大魔王の息子「貴公子ジュニア」の強烈なビジュアル、悪の女戦隊というべき「花のくノ一組」の暗躍など、敵側の個性も魅力的に描かれていました。

第19作 超力戦隊オーレンジャー

1995年3月3日~1996年2月23日放送 全48話

『五星戦隊ダイレンジャー』の放送途中より、石ノ森章太郎原作の『秘密戦隊ゴレンジャー』『ジャッカー電撃隊』と八手三郎原作の『バトルフィーバーJ』以降とをまとめてひとつのシリーズと定められ、『超力戦隊オーレンジャー』は「戦隊シリーズ20年」の記念作品と銘打たれました。

国際空軍(U・A)所属の隊員たちは6億年前の超古代文明が残した「超力」を身に着けた戦士たちであり、パワーブレスでオーレンジャーに超力変身します。マシン帝国バラノイアは血も涙もないマシンの冷酷さを打ち出しながら、皇帝バッカスフンド、皇妃ヒステリア、皇子ブルドントといった「家族」構成になっているのがユニークなところ。5台の超力モビルが合体して完成するオーレンジャーロボをはじめ、レッドパンチャー、オーブロッカー、タックルボーイ、キングピラミッダーといった巨大戦力や、超古代の魔神ガンマジン、6億年前の戦士キングレンジャーなど、続々とキャラクターが登場する展開も本作の大きな特徴です。

第20作 激走戦隊カーレンジャー

1996年3月1日~1997年2月7日放送 全48話

『激走戦隊カーレンジャー』のヒーローモチーフは、RV(レクリエーション・ビークル)車です。小さな自動車会社ペガサスで働く5人の若者が、ハザード星人の少年ダップから「クルマジックパワー」を授かり、宇宙暴走族ボーゾックと戦う使命を与えられました。本作は『美少女仮面ポワトリン』や『不思議少女ナイルなトトメス』などでも活躍した脚本家・浦沢義雄がメインライターを務め、歴代スーパー戦隊の中でもひときわコメディー色の強い作品となっています。

ボーゾックの宇宙人はみな和菓子屋「芋長」のご主人が作るイモヨーカンを食べると(なぜか)巨大化し、RVロボがこれを迎え撃ちます。突拍子もないストーリー展開や奇抜な世界観がある一方で、キャラクターたちがやけに現実的な会話や行動を見せるのが本作の魅力。ボーゾックの美女ゾンネットがレッドレーサーに恋してしまうものの、変身前の恭介に対しては「サル顔の一般市民」と言って邪険に扱うなど、コミカルな恋愛模様も組み込まれました。

第21作 電磁戦隊メガレンジャー

1997年2月14日~1998年2月15日放送 全51話

『電磁戦隊メガレンジャー』は、この数年前から次第に人々の生活に馴染んできたパソコン、デジタルカメラ、携帯電話といったデジタル機器がモチーフ。劇中でのメガレンジャーは格闘ゲームのキャラクターであり、高校3年生の伊達健太はこのゲームの腕前を見込まれて本当の戦士にスカウトされました。

「等身大の正義」をテーマにした本作は、健太たち「デジ研(デジタル研究会)」の青春模様を丁寧に描いているのが特徴です。メガレンジャーをバックアップするのはI.N.E.T.の久保田博士が中心となって開発された超メカニック。宇宙ステーション・メガシップとメガシャトルが電磁合体して完成するギャラクシーメガが、邪電王国ネジレジアのネジレ獣を迎え撃ちます。中盤からは健太たちの兄貴分というべき科学者の早川裕作がメガシルバーとなり、より激化するメガレンジャーの戦いをサポートしました。

第22作 星獣戦隊ギンガマン

1998年2月22日~1999年2月14日放送 全50話

『星獣戦隊ギンガマン』で志向されたのは、本格的な「ヒロイックファンタジー」の世界です。銀河の平和を守る神秘の動物「星獣」とともに戦う伝説の戦士ギンガマンの名を受け継いだ5人の若者が大自然のパワー「アース」を駆使し、宇宙海賊バルバンに戦いを挑みます。

前作『電磁戦隊メガレンジャー』から積極的に導入されたデジタル合成技術が本作でも効果的に使用され、迫力のある特撮映像が生み出されました。ギンガレオンをはじめとする5体の星獣は硬質な「銀星獣」へと変化し、合体して巨大戦士ギンガイオーとなって戦います。バルバンの襲撃によって死んだと思われたヒュウガ(リョウマの兄)が、復讐の戦士ブルブラックとの出会いを経て「黒騎士」となり復活を果たすまでの熱いドラマ展開や、魔獣ダイタニクス復活を目論むバルバンの行動隊長たちが仕掛ける大胆な作戦の数々など、連続性を持たせたストーリー展開が話題となりました。

第23作 救急戦隊ゴーゴーファイブ

1999年2月21日~2000年2月6日放送 全50話

『救急戦隊ゴーゴーファイブ』が放送された1999年は「人類滅亡の予言」や「惑星直列現象(グランドクロス)」など、何か大きな災いが起きるのではないかという不安が高まっていたころでした。そんな不安や恐怖を払拭するような力強く頼もしいヒーロー像として、災害から人命を救助する「救急戦隊」が誕生したのです。

人類に災厄をもたらす「災魔一族」の襲来を予期した巽モンド博士は、レスキューのプロフェッショナルである5人の子供を緊急招集。凶悪な災魔獣に立ち向かうと同時に、大規模災害に巻き込まれた尊い人命を守るゴーゴーファイブの使命を与えたのでした。どんな困難をも「気合い」で乗り切る熱いレスキュー魂を持つマトイを長男とする巽5兄弟は、抜群のチームワークで災害現場に乗り込み、人命救助に全力をそそぎます。5台の99マシンが「ビクトリーロボ」に緊急合体する際には、マシンの変形や連結のプロセスが丁寧に描写され、メカニック特撮ファンにはたまらない映像に仕上がっています。

第24作 未来戦隊タイムレンジャー

2000年2月13日~2001年2月11日放送 全51話

20世紀の最後の年・2000年を迎え、果てしない未来を見据えたスーパー戦隊『未来戦隊タイムレンジャー』が作られました。本作では「西暦3000年」からやってきた時間保護局の若者4人と、現代に生きる1人の青年が出会い、定められた「運命」を変えていこうとするSFドラマが志向されています。タイムレンジャーの使命は、30世紀の悪党ドン・ドルネロ率いるロンダーズファミリーの凶悪な囚人を圧縮冷凍し、再逮捕することです。

30世紀から時空を超えてやってくる5機のタイムジェットはタイムロボα、タイムロボβ、タイムジェットγの3タイプに変形合体し、縦横無尽に活躍します。中盤からは、タイムレッド=竜也のライバル的存在である滝沢直人がタイムファイヤーとなって登場。正統派のヒーローではなく、力を求めて這い上がるハングリーさを備えた直人の存在が物語をかきまわし、視聴者の興味を引き付けました。

「スーパー戦隊ヒストリー」次回は、「発展の時代」2001年から2010年の10作品(百獣戦隊ガオレンジャーから天装戦隊ゴセイジャーまで)をご紹介します。お楽しみに!

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