慢性化した肩こりや頭痛、めまいなどに悩まされている方は多くいらっしゃいます。その肩こりも「ネックストレス」に原因があるかもしれません。第3回では、ネックストレスが引き起こす症状と、首の疲れを解消する「タオル枕」の作り方を紹介します。
「首」「手首」「足首」のズレが体の痛みや不調の原因に
私が施術を行う上で大切にしている部位が「首」「手首」「足首」の3つの“首"です。この3つの首のゆがみやズレが、体の痛みや不調の原因になっていることが多くあります。
足首や手首が正常に機能しなくなると、3つの首の他の2箇所が体のバランスを調整しようとします。その結果、体に痛みや癖などを引き起こしてしまうのです。足首や手首がゆがんだために発症した肩こりを、足首と手首どちらが引き起こしたかを確認する簡単なチェック方法もご紹介しました。
ネックストレスが肩こりや首の痛みを引き起こす
首が原因で起こる痛みの中で最も多いのは、肩こりや首の痛みなどの首周りの症状、そしてその結果引き起こされる頭痛やめまいです。肩こりや首の痛みは、筋肉の緊張が生み出しています。その緊張が脳への血流を圧迫するので、頭痛やめまいが起こってしまうんですね。こう聞くと、結構怖い感じがしませんか?
実際、これらの症状を持って来院される方は非常に多くいらっしゃいます。そして多くの患者さんに姿勢の悪さを指摘すると、「悪い姿勢をするから、体がゆがんでしまうんですね。よい姿勢を保てるように頑張ります」とおっしゃいますが、私は少し異なる考え方をしています。
初回でも申し上げましたが、わざと「姿勢を悪くしよう」と思って生活をしている人はいません。つまり、わざわざ悪い姿勢を取っているわけではなく、そうせざるを得ない状態なのです。日常生活だけで疲れがたまってしまい、しんどくて、つい悪い姿勢を取ってしまう。すると、余計痛みが出て、どんどんつらくなってしまう、という悪循環に陥ってしまってるんですね。
ご来院された患者さんに施す施術は、まさにこうした疲れを取り、ゆがみを直すことを目的にしています。しかし、施術で一時的に改善しても、次回の来院までに同様の状態に戻ってしまう方も少なくありません。なぜなら、日常生活でまた疲れがたまり、姿勢が悪くなってしまうからです。根本的な原因を取り除けていないということですね。
そこで有効なのが、日々の生活に治療の要素を取り入れることです。まず、首の痛みを引き起こしがちで、すぐ改善できるのが「枕」です。
枕もネックストレスの原因になりうる
1日24時間のうち、睡眠時間である6~8時間、つまり3分の1から4分の1もの時間、首を載せているのが枕です。そのため、就寝中に首を圧迫するような枕を使っていると、筋肉がこわばり、余計に疲れがたまってしまいます。こうした枕は絶対にNGです。
具体的なNG枕の特徴は、以下のようなものです。
1.立った姿勢のまま作るオーダーメイド枕
2.頚椎(首)のカーブに合わせた枕
3.好みの固さで作るオーダーメイド枕
なぜこのような枕がよくないのかについては、また別の機会にご説明させていただきますが、首の疲れに関しては、トレーニングよりも、タオル枕などを使って姿勢を改善することが効果的です。施術者である私が言うのもなんですが、毎晩寝る前にタオル枕でリラックスしてから寝るのが、整体に通いつめるよりもネックストレス解消に有効だと考えています。まずは、簡単に事前検査を行ってみましょう。
ゆがみの事前検査
仰向けに横になった状態で、膝を立てます。そして、そのまま左右それぞれに倒してください。左右どちらかに倒れにくさや背中の突っ張りを感じたら、それが体のゆがみです。
ゆがみの事前検査を行ったら、タオル枕に横になってみましょう。タオル枕の作り方をご紹介します。
タオル枕の作り方
まず、60センチ×120センチのタオル3枚を用意してください。次に、タオルを縦に半分、次に横に半分に折って、端からクルクル丸めます。丸めたものは、輪ゴムなどで崩れないように留めてください。同じものを2本作りましょう。
残りのタオル1枚は、縦に半分に折り、3分の1を横に折ります。タオルの重なっていない3分の2の部分を先ほど作った2本のタオルの上にかけます。
以上で、「タオル枕」の完成です。この枕でまずは10分間、寝てみてください。正しく作られていれば、第一頚椎への負担がなくなり、首が理想的な状態に整います。
10分間横になったら、再度ゆがみの検査を行ってみましょう。倒れにくさや背中の突っ張りが改善されていませんか?
「効果があるかピンとこない」という方は、試しに、それまで使っていた枕に再度取り換えてみてください。「なんだか首筋が突っ張る」「眠りが浅い」「肩こりが復活してしまった」という方は、それまでに使っていた枕が適切ではなかった可能性があります。
毎晩10分、まずは続けてみてくださいね。