こんにちは、保健師の山本です。年末の足音が近づき、忙しい日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか。冬といえば、さまざまな楽しいイベントがありますね。クリスマス、お正月、忘年会や新年会。新型コロナウイルスの影響で、オンラインの飲み会を行うことも増えました。そんな楽しいイベントで連想するのが、お酒です。美味しいお酒は気分を高揚させ、楽しい雰囲気を盛り上げてくれます。

お酒が飲めない方も、お酒が好きな方も必見。上手にお酒と付き合う方法について、お伝えしたいと思います。

■そもそもお酒とは?

お酒とは、アルコールの一種であるエタノールが含まれた飲み物のことをいいます。日本では今年4月に成人年齢が18歳に引き下げられましたが、飲酒は引き続き20歳からとなっています。

神道が身近である日本では、昔から「お神酒」を神様に捧げたり、体を清めるためにお酒に口をつけたりする文化がありますね。料理酒やみりんなど、お酒を飲まない人でも調味料として使用していることも多く、お酒は私たちにとって身近なものです。血行を良くしたり気持ちをリラックスさせたりといった良い効果もあるアルコールですが、反面、飲みすぎると酔っぱらったり、記憶をなくすのはどうしてでしょうか。

■お酒を飲むと酔っぱらうのはどうして?

お酒を飲むと、血液中のアルコール濃度が上がり、脳の一部分が麻痺します。手術や歯の治療で使う麻酔を想像してみてください。麻酔が効いてくると、麻酔をした部分がしびれて感覚がなくなったり、眠くなったり、意識がなくなったりすると思います。似たような状況が、アルコールを飲んだ方の脳の中で起こっていると考えましょう。

どんどんお酒を飲むと、脳の麻痺する部分が広がっていきます。すると記憶をつかさどる海馬という部分が機能しなくなるため、一次的に記憶ができなくなることがあります。「飲み会の後半の記憶がない…」という方は、このような状況から起こっています。また脳は記憶や感情だけでなく体の動きもつかさどっているので、しらふではしないような行動をしたり、千鳥足になったり、吐き気が出てきたりするのです。

お酒を飲むと、肝臓でアルコールを分解する酵素が現れますが、日本人は酵素を持たない、または欧米人と比較して酵素の働きが弱い人が多く、お酒に弱い人種といえます。女性の場合、女性ホルモンの影響により酵素の働きがもともと弱いため、男性よりもお酒に弱いといわれています。

それでも楽しくお酒を飲んで、冬のイベントを目一杯楽しみたい!という方に、上手にお酒を飲むためのコツをお伝えします。

■上手にお酒を飲むコツ

空腹時に一気にお酒を飲むと、アルコールの血中濃度が急激に上がるため、悪酔いすることが多くなります。アルコールの血中濃度の上昇をゆるやかにするためには、お酒を飲む前に軽く食事をしたり、食事をしながらお酒を飲んだりすることがおすすめです。水やソフトドリンクを手元に置いておきお酒と交互に飲む、会話を楽しみながらゆっくりとお酒を飲む、なども一気飲みの防止につながります。

お酒が体の中で分解されるときは、脱水に傾くことが多いので、飲む前にあらかじめ水分を補ってあげることも体に優しい方法です。ウイスキーや焼酎などの濃いお酒は、薄めて飲むと、体に入るアルコールの量を減らすことができます。

お酒に弱い体質の方、お酒が飲めない方、普段はお酒が好きでも体調が悪いときやお酒を飲みたくない気分のときは、無理をせずソフトドリンクに切り替えましょう。周りの方々も、飲酒を強要しない雰囲気づくりが大切です。

■最近よく見るノンアルコール飲料

最後に、ノンアルコール飲料についてお伝えします。日本の法律においてノンアルコール飲料の定義は「アルコール度数1%未満のもの」を指します。ものによっては、ごく微量のアルコールを含むものもありますので、缶や瓶の表示をよくチェックしましょう。現在は、アルコール度数0.00%と表示された、全くアルコールを含まない飲み物も増えています。「飲み会の雰囲気だけ楽しみたい」「運転・妊娠・授乳などでアルコールが飲めない」といったときは、上手に活用してみるとよいでしょう。

「酒は飲んでも飲まれるな」。今年の冬はこの記事を参考に、お酒と上手に付き合って楽しくお過ごしくださいね。