日本の企業も続々参加中の「RE100」とは?

「RE(アールイー)100」とは、2014年に発足した国際的な企業連合。REは「Renewable Energy」(再生可能エネルギー)の頭文字を取った名称です。

加盟企業は再生可能エネルギー100%で自社事業を運営していくことを宣言し、具体的な目標年とともに目標達成への活動と達成状況を示す報告書を毎年提出します。

再生可能エネルギーとは、自然界から半永久的に得られ、継続して利用できるエネルギーのこと。

具体的には、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(動植物由来の再生可能な有機性資源のうち化石資源を除いたもの)などです。

RE100加盟企業は自社だけでなく、部品や物流などの供給事業者にも再エネ普及を働きかけ、より広範囲での自然エネルギー供給を実現しようという試みです。

  • 日本企業も注視する「再生可能エネルギー」

仕事場の味方「アスクル」に注目!

事業所向け通販大手の「アスクル」も、RE100に加盟する企業の一つ。ビジネスパーソンに文具や用品を届けるだけでなく、供給や回収までの商品ライフサイクルを視野に入れ、環境問題に取り組んでいます。

同社コーポレート本部サステナビリティ(環境)部長 東俊一郎さんに聞きました。

――御社ではRE100加盟だけでなく、幅広く環境問題に取り組んでいるようですね。

東さん: 地球温暖化による気候変動は、事業活動への大きなリスクと考えています。大きな転機は、2016年に、「2030年CO2ゼロチャレンジ」を宣言したことです。「2030年までに事業所・物流センターからのCO2排出量をゼロに、また物流センターからお客様にお届けする車両からのCO2排出量をゼロにすること」を目標としました。

――日本で「脱炭素」「RE100」などが話題になるのに先駆けて、さまざまな取り組みを行ってきたのですね。

東さん: 2017年に「RE100」にも加盟し、現在はグループ全体の電力使用量のおよそ38%が再生可能エネルギーに切り替わりました。2030年までにアスクルグループの事業所・物流センターすべてで再生可能エネルギーの100%導入を目指しています。

  • 図版提供:アスクル

クリアホルダーリサイクルで廃プラ問題を解決!?

筆者が注目しているのは、プラスチックごみの問題です。

私たちが捨てたプラスチックは、流通の過程で海に流れ出すものがあり、波や太陽光などによって崩壊し、微粒子へと変わります。これが、マイクロプラスチック。微粒子化することで表面積が大きくなり、さまざまな物質が付着しやすくなり海洋生物などへの悪影響が指摘されています。

身近なプラスチック製品といえは、クリアホルダー。資料や書類の受け渡しに伴って、いつの間にか山積みに。これにつき、アスクルが画期的な回収プロジェクトを始めたのです。

  • いつの間にかクリアホルダーの山が! 写真:筆者

東さん: オフィスからの使用済みプラスチック製品の多くは産業廃棄物として処理され、再資源化や再商品化につながるケースが少ないのが現状です。

そこでアスクルでは、単一素材、同一形状であるクリアホルダーに注目しました。回収・再資源化して商品化することを目的とした実証事業を始めました。これは環境省の「令和2年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択されています。

具体的な手順は、不要になったクリアホルダーを段ボール等に集め、宅配便で共同実施事業者の白井エコセンター株式会社に送付するだけ。そこで手作業による選別を行い、再生ペレット製造工場で再生ペレットに再資源化。リサイクルプラスチック製品をアスクルがメーカーから仕入れ販売を行うという流れです。

「送料は事業者にご負担いただきますが、廃棄費用分ぐらいと想定しています。月に一度、回収量とリサイクル率の結果を報告しています」と東さん。

今後は、事業所単位でなく、駅や図書館などの公共施設などでも回収してもらえるようになるといいな! と期待しています。

取材協力:アスクル株式会社