リモートワークは場所を選ばずに仕事ができるので、たまにはホテルに泊まって仕事をしてみるのもいい気分転換になります。しかし、オフィスや自宅ではないので、部屋に着いてから「あれを持ってくれば良かった」と思うことも少なくありません。そこで今回は、筆者がホテルで仕事をする際に必ず持っていくようにしているちょっと便利なアイテムを紹介します。

なお、ここで取り上げるのは「なくても何とかなるけどあると便利」というもので、ノートPCやスマートフォンのような仕事に必ず必要になるようなものは含んでいません。

  • 筆者が宿泊の際に必ず持っていく道具一式。

    筆者が宿泊の際に必ず持っていく道具一式。

電源タップ・延長コード

ありがちなのが、机周りやベッドの枕元など、欲しい場所に十分な数のコンセントがないケースです。筆者の経験したひどい場合は、机の近くに空きコンセントがひとつもなく、ノートPCを充電しながら使えないということもありました。あるいは、コンセント部分のスペースが狭くて電源アダプタが入らないということもあります。そんな時、50センチから1メートルほどの延長コードや、差込み部分の角度が変えられる電源タップなどがあると便利です。

電源周りのアイテムとしては、USB電源アダプタのポート数にも余裕を持たせておいたほうがいいでしょう。最近は、スマートフォンやタブレットだけでなく、多くの機器がUSB充電に対応していて便利なのですが、それゆえにポート数が少ないと一度に全部の機器を充電できないため不便を感じてしまいます。USB電源アダプタは、机周りで使うものとは別に、ベッドサイド用にもう1つあると便利です。ついでにUSB延長ケーブルも持っていると、枕元にコンセントがない場合などでも困りません。

マウスパッド

ホテルの部屋にありがちなのが、机の天板がガラス張りになっているケースです。このタイプの机は、マウスが効かないという大きな問題を抱えています。そんな時のために、筆者がホテルを利用する際は必ず薄手のマウスパッドを1枚持参するようにしています。マウスパッドがない場合は紙などを置くだけでもある程度は改善できますが、やはり使いにくいことは否めません。

  • 天板がガラス張りなのでマウスが効かない。このときはマウスパッドを忘れたため、部屋にあったラミネートされた案内の紙で代用した。

    天板がガラス張りなのでマウスが効かない。この時はマウスパッドを忘れたため、部屋にあったラミネートされた案内の紙で代用した

モバイルディスプレイ

本連載の第4回でモバイルディスプレイの便利さを紹介しましたが、通常のディスプレイと違ってカバンに入れて持ち運ぶことができるので、ホテルでのリモートワークにも大いに活用できます。

持ち運んで外出先で使うことも考えるのであれば、重さや厚みなどの収納サイズを重視して選ぶのがいいでしょう。また、専用のACアダプタが必要だと荷物が増えてしまうので、USB電源で動作するものがお勧めです。ケースやカバーの有無も大事な確認ポイントです。

  • このモバイルディスプレイは、スタンドにもなるハードケースが付属しているので持ち運びに便利。

    このモバイルディスプレイは、スタンドにもなるハードケースが付属しているので持ち運びに便利

HDMIケーブル

最近のテレビはHDMI入力端子を備えていることが多いので、わざわざ自分でモバイルディスプレイを持っていなかくても、HDMIケーブルが1本あれば備え付けのテレビをディスプレイ代わりに利用できます。ただし、ホテルによってはテレビの配置が変えられなかったり、勝手にケーブルを抜き差しできない構造になっていたりすることもあるので過信は禁物です。やはり自前でディスプレイを持っていくのが確実でしょう。

有線LAN用のアダプタとケーブル

最近は、ホテルでWi-Fiが提供されていることがほとんどですが、部屋の配置などによっては電波が弱く、十分な速度が出ないこともあります。もし有線LANが使える部屋であれば、Wi-Fiよりも安定した通信を確保できので、使っているPCが有線LANポートを備えていない場合は別途LANアダプタを持参することをお勧めします。当然LANケーブルも必要ですが、有線LANを提供しているホテルの場合、大抵は部屋に備えられているか貸し出しを行っているので、フロントに聞いてみるといいでしょう。

小型Wi-Fiルータ

上記のように有線LANでしか十分な通信速度が確保できない場合でも、やっぱりWi-Fiが使いたい。そんな人は小型のWi-Fiルータを持っていきましょう。通販サイトでは、「ホテル用」や「トラベルルーター」などの名称で売られており、5cm四方以下の極小サイズのものもあるのでかさばりません。小さいだけに電波は強くないですが、ホテルの部屋くらいであれば十分にカバーできます。

  • 手の平サイズのWi-Fiルーターと、100円ショップで買った巻取式のLANケーブル。

    手の平サイズのWi-Fiルーターと、100円ショップで買った巻取式のLANケーブル

テザリングできるモバイル端末やモバイルルータなど

Wi-Fiの電波が弱く、有線LANもない。そんな時の最後の砦はやはり自前の回線です。いざという時のために、スマートフォンはテザリングできる契約にしておいたほうがいいでしょう。データ通信量の上限が心配な場合は、比較的料金が安いデータ専用のSIMカードを別に持っておくとよいです。その場合、普段使っているスマホに挿してしまうと通常の電話が受けられなくなってしまうため、2台目のスマホやモバイルルータなどを活用しましょう。

  • 1日単位で買える使い放題プランがある、チャージタイプのプリペイド式SIMカード。このサービスは海外でも使えるので海外出張でも重宝した。

    1日単位で買える使い放題プランがある、チャージタイプのプリペイド式SIMカード。このサービスは海外でも使えるので海外出張でも重宝した

前回のホテルを選ぶ際のポイントでも触れましたが、インターネット回線については特に注意を払いましょう。リモートワークにおいてインターネット回線は生命線です。十分な通信速度が確保できない場合、作業の効率が著しく低下しますし、ビデオ会議も満足にできません。満足な通信が確保できるよう、2重3重の手段を準備しておくことをお勧めします。

VPNサービス

ホテルが提供するWi-Fiを使用する際にセキュリティが気になるなら、個人向けのVPNサービスを利用するといいでしょう。VPNはVirtual Private Networkの略で、通信回線を用いる際に、データを暗号化することで通信内容が盗聴されることを防ぐ技術です。

VPNは別な機会に詳しく紹介する予定ですが、ここでいっているVPNサービスというのは、「パーソナルVPN」や「商業用VPN」などと呼ばれる種類のサービスです。この手のサービスでは、自分のPCとVPNプロバイダーが提供する中継サーバとの間の通信を暗号化し、さらに中継サーバで接続元のIPなどの情報を隠蔽することによって、ユーザーのプライバシーを保護します。企業で使われる拠点間のVPNのように完全なセキュリティが確保できるわけではありませんが、Wi-Fiの盗聴や中間者攻撃などといった攻撃を阻止することができます。

VPNはホテルだけでなく、レストランやカフェなどの公衆Wi-Fiを使う場合にも有効なので、信頼できるサービスを契約しておくと、外出先でインターネットを利用する際に便利ですよ。

快適さを犠牲にしないことが大事

ホテルでのリモートワークで作業効率を上げるためのポイントは、オフィスや自宅とは違う場所でいかに快適な環境を作り上げるかということです。「ここはオフィス(自宅)ではないんだから」と自分に言い聞かせて我慢するようでは、ホテルを利用する価値が薄れてしまいます。「荷物は少なめに、しかし快適さを失わない程度に」というくらいの匙加減で荷造りをするのがいいでしょう。