さらに何よりも強調したいのが、世界でいま「日本の魅力」への関心と日本の存在感がかつてなく高まっており、そのことが日本経済を支える大きな要因となることです。その一例が前述の日本製化粧品の人気ぶりですが、もう一つ特徴的なのが農産物や食品の輸出急増です。農林水産省の資料によれば、農林水産品・加工食品の輸出額は2018年に9,068億円となり、6年連続で過去最高を記録しました。輸出額はこの6年間で2倍に達しています。

  • 農林水産品・食品の輸出額

    農林水産品・食品の輸出額

特にコメ、牛肉、果物、 魚介、茶、アルコール飲料などの伸びが目立っています。牛肉は「和牛」の名で海外に知られるようになっていますし、果物は甘くておいしいと評判です。日本酒の輸出も7年連続で過去最高を記録、中国や米国への輸出が特に伸びています。

  • アルコール飲料の輸出額

    アルコール飲料の輸出額

一般的には農業は後継者難で衰退しているとのイメージがありますが、むしろ農業が輸出産業として成長していると言えるほどです。日本酒業界も国内の日本酒消費量は減少傾向が続き、廃業に追い込まれる中小酒蔵が少なくありませんが、日本酒が世界に通用する商品「SAKE」として可能性が広がっているわけです。このほか日本のワインが、ワインの本場であるフランスでも注目され始めていることも、心強い限りです。

これらの現象は、日本の食品がなんと言ってもおいしい上に安全であることが背景にあります。食品以外でも、本連載で見てきたように日本企業の技術、サービスへの高い評価から、文化、歴史、自然、さらには日本人の「おもてなし」や礼儀・マナーへの称賛など、海外では日本ブームが巻き起こっていると言っても決して大げさではありません。今年秋のラグビー・ワールドカップで日本チームの活躍とそのプレー内容、さらには観客の応援ぶりなど、あらゆる面で世界中から称賛されたことも、その表れです。

こうしたことが、さらに訪日外国人増加を持続させるとともに、日本製品と日本企業への評価を一段と高め、日本経済の活性化の効果をもたらすという好循環ができつつあるのです。

そして重要なのは、外国人が感じる「日本の魅力」こそが、日本の強みであり「武器」であるということです。これが五輪後にとどまらず、今後の令和の時代にわたって日本経済を支えることになると確信しています。国際情勢の波乱が続き、グローバル競争も激化していますが、この「武器」さえあれば、日本は乗り越えていくことができるでしょう。