これまで3回にわたり、「居酒屋系レイディ」について紹介してきました。その中で、出会う回数を増やすことによるプラス面を強調しましたが、人間関係って必ずしも良いことばかりではありませんよね。人付き合いにおいて、悪意をぶつけられ不快な気分にされることや、迷惑をかけられること、だまされてしまうことも少なくないでしょう。

ただ、誰もが持ちうるマイナスの感情から身を守る術も体得してこそ、真に素敵な「レイディ」になれるのではないかと思うのです。お酒が入って人それぞれの本性が出やすい飲みの席ではなおさら。「居酒屋系レイディ」となるために有効なのは、自分の持つブランド力を高める「自分自身のブランディング」を行うことだと思います。

今回は「居酒屋系レイディ」になるための締めくくりとして、「自分自身のブランディング」を行うためのポイントを紹介しましょう。

ポイント1 : 上手な「受け流し」のテクニックも身につける

「この人とは合わないかも…」と思ったらうまく"スルー"。恋愛においては必要なこと(写真はイメージ)

相手に安く見られたり、ナメられたりすると、悪いスパイラルに陥ってしまうもの。それを避けることがまず大事です。そのために重要なことがひとつあります。筆者が見ていて常々感じるのは、そういう悪い感情の動きほど、はねのけようとするともっと強くなって追いかけくるもの。むしろ「上手に受け流す」ことが大事だと思うのです。

「この人とはちょっと合わないな」など、違和感を覚える相手は少なからずいるはず。でもそういう人に対して、正面からぶつかったり、まっとうに向き合ったりするのは控えましょう。そして上手に受け流していくのです。あからさまに敬遠したり、まして敵意をぶつけたりしてしまってはいけません。笑顔で物腰やわらかに接しつつ、でも態度ははっきりさせましょう。そうしておいて、より絆を深めていくべき人にこそ、エネルギーを使っていったほうがいいでしょう。

……問題は、受け流すべき相手をいかに見極めるかですね。正面からぶつかってくる人はまだいいのですが、あなたにとって本当に良くない人ほど、善意の"仮面"を被り、笑顔で隣にいるもの。そういう人の正体を見極めるのはすごく難しいことです。

筆者が見てきた中から、確実にアドバイスできるのは、「第一印象を信じる」ということでしょうか。第一印象はおおむね当たることが多いというのは、皆さんの経験の中でも思い当たることがあるのではないかと思います。

ちなみに、「本当はすごく相性が良いはずなのに、第一印象が最悪」というケースもありえます。そういう人とは時間が経つことで誤解が解け、仲良くなれることが多いですから、腰をすえて、時間をかけた付き合いをしようと覚悟を決めることが大事だと思います。

ポイント2 : 「付き合いレヴェル」のチューニングを細かく設定

飲み会などを通じて出会いの機会が増えれば、当然、日頃からお付き合いする知人・友人の数も増えていきます。でも、心優しい(と思っている)あなたは、誰に対しても分け隔てなく接しようとして、結局手が回りきらず、人間関係を破綻させてしまってはいませんか?

人間関係をメンテナンスできる人数には限界があるものです。それに、付き合う人数が多くなればなるほど、ちょっとしたきっかけで関係性が悪くなる可能性も高くなるものです。誰とでも分け隔てなく付き合おうとして、単なる八方美人になってしまっていては、あなたの持つ「ブランド力」も間違いなく下がっていきます。

そうならないためにはどうしたらいいのでしょう?

そのあたりを上手にこなしている人を見ながら、筆者が感じるのは、魅力的な「レイディ」ほど、最初からそれぞれの相手に対して「付き合いレヴェル」を設定し、それを基準に無理に親しくもせず離れもしない、ということです。一番良くないのは急に親しくなろうとすること。その分、お互いが離れるのも早くなってしまいますよ。自然な流れに身を任せ、相手のことを信じていれば、あるべき形で関係を深めていけるはずです。

「ブランド力」を磨いた「レイディ」には、幸せな結末が待っているはず(写真はイメージ)

最後に、「居酒屋系レイディ」の理想を3つの言葉でまとめると、「身軽に出かけられ」「出会いと飲みの場を上手に利用して出会いにつなぎ」「悪意ある人に対しては華麗に受け流す」、これができるようになることではないかと思います。「最近、縁が少ないな……」と感じているなら、そんな「レイディ」をめざしてみてはいかがでしょう? いま、あなたを取り巻いている世界が変わり始めるかもしれませんよ。

※当連載における「レイディ」とは、「女子」「ガール」といった、どことなく少女をイメージさせる存在からもう1歩踏み込み、「若々しさ」だけでなく「歳相応の深み」も持つ"オンリーワンの魅力"を秘めた「淑女(レディ)」をさす。「レイディ」という表現は新井素子氏のSF小説『通りすがりのレイディ』の主人公が憧れる、魅力的な女性への呼び名にちなんだもの

執筆者プロフィール : 来栖 美憂(くるす みゆう)

文筆家(男性)。ジャンルを問わない媒体で執筆中。近代カルチャーに詳しく、自身でもメイド喫茶などのイベントを企画・参加するなど実践派でもある。『アキバ☆コンフィデンシャル』(長崎出版)など編・著書多数。TwitterID「@mewzou