「モテる」って、どういうこと? 本当は惹かれ合っているはずなのに、当人同士は気づくこともないまま、いつしかすれ違ってしまいます。「男と女」の価値観が多様化している現代、そうした"男女のすれ違い"はさらに多くなっていきそうです。

そこで、女性と男性の両方の気持ちがわかる「男の娘ライター」が、「いまの時代の『モテ』とは?」「本当の幸せをつかむための出会いは?」「いまモテるにはどうしたらいいの?」に応え、そのスタイルを提案します。自分に合った「モテ女」スタイルを探したり、自分に合った異性のタイプを見つけたりするための、なにかの助けになれば幸いです。

執筆者プロフィール : 来栖 美憂(くるす みゆう)

文筆家(男性)。ジャンルを問わない媒体で執筆中。近代カルチャーに詳しく、自身でもメイド喫茶などのイベントを企画・参加するなど実践派でもある。『アキバ☆コンフィデンシャル』(長崎出版)など編・著書多数。TwitterID「@mewzou



「魅力的な女性になるには、どうすればいいの?」

昔はアイドルを真似したり、女性誌モデルのライフスタイルにならったり、憧れの女優さんが演出する生き方をコピーしたりしながら、そつなく素敵な女性の体裁を整えていくことができました。見習うべきロール・モデルがはっきりしていて、魅力的な女性のはっきりした姿がある程度見えていたといえるでしょう。

でもインターネット時代のいま、世界はものすごい速度で変化を続け、たくさんの物事が一瞬で過去になっていきます。そんな「今」の時代、長い間当然のように通用していた「常識」が、時の流れによって変化し、まったくあてにならなくなってしまう場面もあちこちで起きています。過去にばかりこだわり、取り残されてしまうこともしばしば。

「自分に合った自分」を見つけられる女性こそ、真に魅力的な女性なのかも(写真はイメージ)

バブル以降の、景気がいまほど悪くなかった時代のことが忘れられず、「女性を口説くなら無理をしてでもメディアで話題の店!」みたいにこだわった挙句、いろいろスベっているような人、あなたの周りにもいませんか?

いまはどんどん変化していかなければいけない時代です。とはいえ、いったいどう変化していけばよいのでしょう? メディアが「流行」を作ってくれて、ただそれを追いかけていればよかった時代もありました。けれどもいまは、「流行」を作る側さえパワーダウンしていて、あまり頼りにならなそう……。

魅力的な女性になるには? おそらくは時代をしっかり見極め、自分に合った自分を覚醒させることこそベターといえるでしょう。そこで、筆者が実際に会い、話し、観察してきて、いま魅力的かつ素敵だと心から思えた女性を分析し、紹介していきたいと思っています。

魅力的な「レイディ」をめざしましょう

最近よく使われる「女子」「ガール」という呼び方。素敵な言葉ですが、どことなく少女をイメージさせる表現でもあります。「若くありたい」「キレイでいたい」と思うのは当然のこと。でも若さばかりを求めたら、やっぱり10代の女の子にはかないません。

魅力的な女性になるために、めざすべきは歳相応の魅力を持つ「淑女(レディ)」となることではありませんか? 若々しさにプラスして、いままでの経験を生かした魅力を身にまとうことで、より素敵な"オンリーワン"のあなたになれるはず。そう感じませんか?

そんな思いもあり、当連載では素敵な女性のことを「女子」「ガール」とは呼ばずに、新井素子さんのSF小説『通りすがりのレイディ』の主人公が憧れるミステリアスな女性への呼び名をいただき、「レイディ」と呼ぶことにしてみました。

21世紀はやっぱり「アキバカルチャー」の時代?

前置きが長くなりましたが、魅力的な「レイディ」になるため、当連載で一番最初に提案したいのが、「オタク文化」を生かしたコミュニケーション方法です。2005年に『電車男』が大ヒットして以降、急激に世間への認知度を高めたのはご存知でしょう。

「オタク的なものって、ちょっと……」と、反射的に敬遠したくなる人も少なくはないかもしれません。でもちょっと考えてみて。いま40代以下で、「マンガを読んだことがない」「ゲームもやったことがない」という人はほぼ皆無でしょう?

あなたの心の中にも「オタク的なもの」が存在する!?(写真はイメージ)

じつはあなた自身も含めて、「オタク的なもの」は潜在的に人の心の中にあるのです。そしてそれをうまく利用することで、いままで以上にスムーズにコミュニケーションが取れる可能性を持つ人がたくさんいます。あなた自身が思っている以上に多いんですよ。

だからそれを利用しない方法はありません。あなた自身がこれまでに培ってきた「オタク的なもの」をコミュニケーションの入口にしてみると、意外なほどすんなり異性と仲良くなれるでしょう。そのチャンスはこれまでにもたくさんあったはずです。

もちろん、どっぷり「オタク」になりきる必要はなくて、そういうものへの理解と少しの興味さえあればOK。というのも、たとえばあの有名な『機動戦士ガンダム』にしても、33年もの歴史の中で、設定のまるで違うシリーズが無数にあります。いわゆる「ガンヲタ」と呼ばれる当事者たちでさえ、全容を把握している人間はごくひと握り。むしろ中途半端に知りすぎたせいで、それぞれのシリーズのファンと自分の好きをぶつけ合う、俗に言われるファン同士の戦い「宗教戦争」に巻き込まれかねません。

ガンダムという有名な作品に限定してもこんな様子なのに、いまは多様化の時代。同じ趣味を持ち、しかも意見が合って共感できる人を探すのは意外と難しいのです。だから趣味系のイベントなどに付き合ってくれる人、とくに異性の存在はすごく貴重で、共感を育てていきやすいでしょう。共感できる相手と行動をともにする中で、「自分はこの人にとって特別な存在なんだ」という意識を持ち、それを自信にすることが大事です。

そして、「オタク文化」を生かした異性とのコミュニケーションにおいて、なにより大事なのは「知っている」ことよりも「興味を持っている」こと。次回、筆者が実際に目の当たりにした「レイディ」の成功例を紹介することにしましょう。