フジテレビはこの4月に、BSを含めたすべての報道・ニュース番組のブランドを『プライムニュース』に統一する大改革を実施。深い取材と鋭角的な視点で、物事の本質に迫る"本格ニュース番組"を目指すもので、マイナビニュースでは、この新番組のキャスターにインタビューをしていく。
第4弾は、日曜朝の『報道プライムサンデー』(毎週日曜7:30~)に出演する佐々木恭子アナウンサー、奥寺健アナウンサー、パックンことパトリック・ハーラン。"ニッポンを日曜朝からザワザワ動かす"をコンセプトにスタートした番組だが、3人は本番が終わった後もスタジオ内外で周囲を"ザワザワ"させているようだ――。
ゲストが激しく言い争った日の後は…
――26年続いた『報道2001』『新報道2001』を引き継ぐ新番組ですが、今回起用を聞いた時の心境はいかがでしたか?
佐々木:最初は「これはまずいことになった…」と思いました(笑)。フジテレビが長らく大事にしてきた日曜朝の討論番組で、代々成熟した男性の方がメーンキャスターをやってきたわけですよね。そこにまさか自分が…という心境でした。番組もコンセプトも変わるということは分かっているんですけれど、この時間帯にこんな若造でいいのかな…って。一方で私はわりと気持ちが前向きなので、やるとなったら覚悟を決めて、これまでとは違った新しい形を作って見せていくのが、これまでの先輩に対する恩返しかなと切り替えました。ただ、1カ月半やってみて、3回目(4月22日)と4回目(同29日)の間は、ちょっと眠れなかったです。
――3回目は、武貞秀士さん(拓殖大学大学院特任教授)と宮家邦彦さん(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)が、激しく言い争った日ですね。
佐々木:あそこを仕切るのはしばらくやってこなかった種類の仕事でしたので…。
――入社4年目で『とくダネ!』のアシスタントに抜てきされた当時も、眠れないということはなかったんですか?
佐々木:なかったですね。『とくダネ!』は小倉(智昭)さんがメインでいらっしゃって、そこで風紀委員のようにバランスを取るという感覚だったんですが(笑)、今は時間を見て舵を切って時々意見も言う。使う筋肉が違う感じで、私にとっては新ジャンルなんです。
パックン:負担が重いですね。
佐々木:でも楽しいですよ。私、負担が重いくらいのほうが好きなので。
報道フロアが落ち着くお笑い芸人
――パックンさんはオファーが来た時の心境はいかがでしたか?
パックン:よっしゃー!!って思いましたよ! 僕は『新報道2001』が大好きで10回弱ほど呼んでもらったんですけれど、しばらく声がかからなくて寂しいなと思ってたところで、新番組でのレギュラーが決まって大喜びしました。そんな私でも、プレッシャーはありますよ。僕、(『新報道2001』メーンキャスターの)須田(哲夫)さんが大好きだったんですよね。あの品の良さを保ちつつ、みんなの意見を聞き出して笑顔で回して、穏やかな日曜の朝にバッチリなと雰囲気作りができる。あの名司会がいた後の番組ですから、プレッシャーは重いなと思いました。だから僕にできることは「ああ、須田さんは良かったなあ」ってみんなに思ってもらうこと!
佐々木:ダメダメダメ!(笑)。須田さんも良かったけど、私たち3人も良いなって思ってもらわないと!(笑)
パックン:でも、プレッシャーだけじゃなくて、今苦難を乗り越えていこうとしているフジテレビに起用されたのは、きっと期待されて頼まれたからだと思って、その分なんとか力を発揮していきたいですね。いろいろなテレビ局に出させてもらっていますが、一番出演回数が少ないのはフジテレビなんですよ。そのフジテレビで初めてのレギュラーですからね、この縁をすごく大切にしたいなと思っています。
佐々木:パックンはすごくニュースが大好きで、こちらの打ち合わせの前にバラエティ番組が入っていらっしゃる時があるんですけれど、その収録の最中に「早く報道フロアに行きたい」って思っちゃうんですって(笑)。どっちが本業なんですか(笑)
パックン:バラエティは好きだし頑張らなきゃいけないんですけれど、『ネプリーグ』とか緊張する一方で、報道フロアは落ち着く場所なんですよ。お笑い芸人でそんな人は、なかなかいないと思うんですけれど…。
『ワイドナショー』に鍛えられた
――奥寺さんはいかがでしたか?
奥寺:最初はヤバいと思いましたけど(笑)、佐々木がやると聞いて、ひょっとしたらいけるかも?という気持ちになってきました。ゲストが全員男性だったときに、女性がいないなという感じがしなかったんですよ。つまり、女性とか男性とかいう雰囲気を、佐々木がうまく消してくれたんだと思ったんです。だから、ジェンダーフリーであり、パックンがいることで日本人ばかりでもないので、そういう意味でボーダレスな番組として楽にやれたらいいなと思いました。
佐々木:若い頃は、女性アナウンサーの役割というのは、成熟した男性のアシスタントに固定化されているんだとすごく思っていました。その壁を感じてきたんですけれど、45歳になって自分がこうして報道番組を担わせてもらうということになった時に、意外と「自分は女性だから」みたいな気負いがなかったんですよね。視聴者の方から「ようやく女の人がこういう討論の番組で司会をするようになったのね」ってご意見があって、それはうれしかったんですけれど、一方で自分としては、"女性目線"や"母親目線"を求められても、すごく困るんです。多くの女性の共通する感覚は自分にもあるし、母親として感じることのみんなの共通項を探すことはできるけれど、自分がすべてを代表した気になって「女性としては~」「母親としては~」って語るのは違うだろうと思うので。だから、女性とか男性とか、そういうことを超えて、出演する人の個性が生かせたらいいなと思って番組に臨んでいます。
――佐々木さんは『ワイドナショー』も担当されていますが、松本人志さんや東野幸治さんといったバラエティの猛者に囲まれて、鍛えられた部分はあるんですか?
佐々木:たくさんありますね! 『新報道2001』から『報道プライムサンデー』に変わった一番大きなところは、骨格はあるんですけれど、あとはみんなが自由に何でも話せる場がいいよねということで、細部まで構成を決めていないんです。だから、瞬発力の世界であるバラエティでの経験が生きてくると思うんですけれど、まだ皆さんの話を理解するのに精いっぱいなので、これから自由な空間をもっと作れるようにしないといけないですね。