ここ数年で、VisaやMastercardなどの国際ブランド付きプリペイドカードが続々と発行されており、その数は実に30種類以上もある。プリペイドカードは原則として発行における審査がなく、年齢条件さえ満たせば誰でも使えるものばかりだが、その特徴はさまざま。今回はそのなかでも、使い勝手という点ですぐれた機能を持ち、2016年9月のサービス開始から、約37万回もインストールされている「バンドルカード」を紹介したい。

スマホがあれば、すぐに利用可能

「バンドルカード」はスマートフォンを持っていれば、年齢制限もなく、誰でも利用可能。アプリをダウンロードし、ユーザーID・パスワード・生年月日・SMSが利用できる電話番号の4項目を登録すれば、すぐにVisaプリペイド番号が発行される。チャージをすればネットでの買物に即利用でき、別途リアルカードを発行すれば実店舗でも利用できるようになる。

チャージは複数の方法があり、いずれも1,000円単位で行なうことができる。詳しくは下に記載するが、選択肢の多さは他のプリペイドカードよりも群を抜く。コンビニでのチャージは、ファミリーマートであればアプリで表示したバーコードをレジで見せ、入金額を支払うだけで完了。その他のコンビニはアプリで手続き後、店内端末で受付票を発券してレジに持って行き、入金額を支払う形式となる。コンビニでAmazonギフト券やApp Store & iTunesギフトカードなどを買うなら、こちらのほうが利用範囲も広く便利だろう。

  • (左)ファミリーマートではレジでバーコードを提示、(右)その他のコンビニではアプリに表示される番号を店内端末に入力し、受付票をレジで提示する

バンドルカードのチャージ方法

  • コンビニ(ファミリーマート、ローソン、サークルK、サンクス、ミニストップ、セイコーマート)
  • 銀行振込(インターネット、ATM)
  • クレジットカード(Visa、Mastercard)
  • ドコモのケータイ払い(手数料300円〜)
  • ソフトバンクまとめて支払い(手数料300円〜)
  • ビットコイン
  • ギフトコード(キャンペーンなどで配布)

コンビニが近くになく、急ぎで使いたい場合は、携帯電話の料金と合算請求になるドコモのケータイ払い、ソフトバンクまとめて支払いを使うといいだろう。ドコモまたはソフトバンク利用者に限定され、手数料も必要となるが、即時にチャージが反映される。銀行の対応時間内であれば、銀行振込も最短数分で反映される。クレジットカードもチャージが即反映されるが、急ぎであればチャージする前に、そのままクレジットカードで支払ったほうが早い。

なお、クレジットカードからチャージした場合は、クレジットカードのポイントを貯めることもできる(2018年1月現在)。既にクレジットカードを持っていれば、わざわざプリペイドカードを使う必要性はないかもしれないが、1,000円単位でのチャージになるので、一旦「バンドルカード」を介することで、ポイント計算時に端数が生じないメリットがある。また、年間利用額やポイント有効期限の関係で、一時的にクレジットカードの利用額を上げたい人にも役立つ。

セキュリティの面でも、アプリまたはWEB上で一時停止・再開の設定がすぐにできるため、使わないときはロックしておけば不正利用される心配がないこともメリット。クレジットカードは不正利用された場合、大きな過失さえなければ補償を受けられるが、どうしても手続きに手間がかかるうえ、明細をきちんとチェックしていないと被害に気付かないこともある。「バンドルカード」は補償こそないものの、利用時はスマートフォンに即通知が届くため、万が一不正利用された場合もすぐに気付くことができ、ロックしておけば被害も未然に防げる。

  • (左・中)一時停止中はアイコンが赤く表示される、(右)明細は即時に反映される

利用範囲が異なる3種類のカード

「バンドルカード」には「バーチャル」「リアル」「リアル+(プラス)」の3種類があり、それぞれ利用できる範囲が異なる。詳しくは下表に記すが、アプリでカード番号を発行しただけでは「バーチャル」の状態で、ネットでの支払いにしか利用できない。実店舗で利用するにはプラスチックカードが発行される「リアル」または「リアル+」に申し込む必要があり、国内のVisa加盟店で利用できる「リアル」は300円、海外のVisa加盟店でも利用できる「リアル+」は600円の発行手数料が必要となる。

  • (左)バンドルカード リアル、(右)バンドルカード リアル+

プリペイドカードの特性上、高速道路や月額料金の支払いなど、一部利用できない店舗・サービスがあるが、「リアル」では支払えないガソリンスタンドや宿泊施設は、「リアル+」であれば支払うことができる。また、ネットでの支払いは、いずれのタイプも国内外のVisa加盟店で利用可能だが、本人認証サービス(3Dセキュア)が必須なショップでは利用できない。なお、海外で利用する際は、海外事務手数料として代金に4.5%が上乗せされる。一般的なクレジットカードでは2%前後なので、できれば海外では手数料が少ない支払い方法を用いたほうがいいだろう。

チャージや残高の上限も、カードの種類によって異なる。「バーチャル」と「リアル」は残高の上限が10万円。チャージは1回につき3万円、月間で12万円が上限となっており、5年の有効期限内に累計100万円までしかチャージできない。これは本人確認の強度によって、Visaの規約で上限が定められているためで、申し込み時に本人確認書類の提出が必要な「リアル+」であれば、残高は100万円、チャージは1回10万円、月間200万円が上限となり、有効期限内のチャージ累計額上限も撤廃される。

  • ※いずれも入会金・年会費は無料だが、120日間未利用の場合は、以降30日毎に残高から100円が口座維持費として引き落とされる。残高が100円未満の状態で口座維持費が引き落とされると、自動的に解約となる

SNSと連携でポイントが貯まる

「バンドルカード」にはSNSと連携することでポイントが貯まる珍しい制度がある。参加登録したTwitterもしくはInstagramのアカウントで、「#バンドルカード」「#購入場所」をつけて購入商品の写真を投稿すると1ポイント。1日5投稿までがポイント対象で、金券や商品券の購入はポイント対象外。ポイントが貯まるとレベルが上がり、レベルに応じた商品が抽選で当たる。

  • ポイント数はアプリで確認でき、一定のポイントが貯まるとレベルアップする

抽選は毎月行なわれ、2018年1月は最大2万円をキャッシュバック。レベル1は5名に2,000円、レベル2は5名に3,000円、レベル3は5名に5,000円と段階的にアップし、当選者には登録したSNSを通して連絡が届く仕組みとなる(変更の場合あり)。商品は時期によって変わり、今後はYouTuberやマンガ家とのコラボ企画も予定しているそうだ。

最近はプリペイドカードでも、利用に応じてポイントが貯まるものが増えているが、還元率としてはクレジットカードに見劣りするものがほとんど。「バンドルカード」は利用額に応じたポイント制度はないが、SNSとの連携でポイントを貯めることができ、前述したようにチャージでクレジットカードのポイントを貯めることも可能。このポイント制度は昨年末にスタートしたばかりで、もともと10~20代のユーザーが多く、平均利用額が少ないため、少額の買物でもポイントを貯めやすい仕組みにしたそうだ。

国際ブランド付きプリペイドカードは、クレジットカードに抵抗がある人や、クレジットカードを持てない人を中心に利用が広がっているが、「バンドルカード」は既にクレジットカードを持っていても、使いすぎが心配な人や、盗難や紛失が心配で持ち歩きたくない人に役立つ。また、すぐに利用開始できるため、出先でネットショッピングをしなければならないが、クレジットカードが手元にないときの緊急手段としても有効だ。いまは必要性を感じていない人も、覚えておくといいだろう。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。

■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。