既に知っている人もいると思うが、9月1日に「楽天ゴールドカード」の発行が始まり、楽天カードに新たなラインアップが加わった。ここ数年で楽天カードは種類が増えており、この機会に各カードの違いについてまとめてみようと思う。

■楽天カード、楽天銀行カード

「楽天カード」

「楽天銀行カード」

まずは基本となる「楽天カード」について、最低限知っておきたい特徴を紹介する。「楽天カード」は年会費無料で、クレジット利用に応じて楽天スーパーポイントが貯まり、毎月の利用合計額100円につきに1ポイント。つまり利用額に対して1%のポイントが還元される。

楽天市場での買い物に使った場合は、今年1月から開催されているスーパーポイントアッププログラムの特典として2%のポイントが加算されるため、通常の「楽天カード」利用分の1%、通常の楽天市場利用分の1%と合わせて、最低でも4%のポイントが貯まり、他のキャンペーンと組み合わせれば、さらに還元率をアップさせることも可能。なお、楽天スーパーポイントの有効期限は最終獲得日から1年だが、特典ポイントは有効期間が45日程度の期間限定ポイントとして加算され、会員ランクに応じて月間獲得ポイントに上限(5,000~1万5,000ポイント)がある。

さらに、ENEOS、てもみん、紳士服のコナカなど、「楽天ポイント加盟店サービス」の対象店舗を利用した場合もポイントが2~3倍となる。メールマガジンや楽天カード会員専用サイト「楽天e-NAVI」内の広告をクリックすることでポイントを貯めることもでき、キャンペーンも頻繁に開催。年会費完全無料のカードとしては珍しく、海外旅行傷害保険も付帯しており、所定の旅行代金をカードで支払うと、海外旅行中の死亡・後遺障害時に最高2,000万円などの補償が受けられる。

カードには電子マネー「楽天Edy」の機能、共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」の機能も備わっており、「楽天カード」から「楽天Edy」にチャージした際は200円につき1ポイント、「楽天Edy」を利用した際も200円につき1ポイント(1会計ごとの計算)が貯まる。また、「楽天Edy」と「楽天ポイントカード」の機能ではなく、楽天銀行のキャッシュカード機能がついた「楽天銀行カード」も発行されている。「楽天カード」「楽天銀行カード」ともに、楽天銀行の口座を持っている場合は、クレジット利用のあった翌月は普通預金金利が2倍になる特典もある(他の金利優遇サービスとは重複不可)。

■楽天ゴールドカード

「楽天ゴールドカード」

次に、発表されたばかりの「楽天ゴールドカード」について説明する。同カードの年会費は2,160円。前述した「楽天カード」のサービスはすべて備えており、さらにいくつか特典が追加されている。

楽天市場で開催中のスーパーポイントアッププログラムでは、特典ポイントが「楽天カード」より1%多い3%となり、最低でも5%のポイントが貯まる。さらに国内28空港およびハワイ・ホノルル空港、韓国・仁川空港のラウンジも無料で利用できる。また、カードに関する問い合わせの際は、「楽天カード」会員とは異なるデスクが用意されており、比較的スムーズな連絡が可能だ。

■楽天プレミアムカード

「楽天プレミアムカード」

「楽天プレミアムカード」は年会費1万800円。「楽天ゴールドカード」のすべてのサービスに加え、世界400都市以上の空港でラウンジが無料利用できる「プライオリティ・パス」に登録でき、プレステージ会員(通常年会費399ドル)相当のサービスを受けられることが最大の特徴だ。

さらに、誕生月に楽天市場および楽天ブックスでポイント還元率が1%上乗せになるほか、楽天市場コース、トラベルコース、エンタメコースの3つから1つのコースを選択でき、それぞれ異なる特典が受けられる。楽天市場コースの場合は、毎週火・木曜に楽天市場で買い物をするとポイント還元率が1%アップ。トラベルコースの場合は、楽天トラベルでオンラインカード決済するとポイント還元率が1%アップ。羽田・成田・中部・関西の各空港と自宅などの間で、手荷物を無料宅配できるクーポンを年2回まで利用でき、24時間365日対応の国内宿泊予約デスクも利用できる。エンタメコースの場合は、楽天ブックス、楽天SHOWTIME利用時にポイント還元率が1%アップ。なお、各特典ポイントは期間限定ポイント(有効期間はそれぞれ異なる)となる。

このほかにも、「楽天プレミアム」の年会費(通常3,900円)が1年間無料となり、楽天市場利用時の送料ポイント還元(条件・上限あり)、楽天トラベル、楽天ブックスなどでポイント還元率1%アップといった特典も受けられる。海外旅行傷害保険は最高5,000万円を補償。所定の旅行代金をカードで支払っていない場合でも、最高4,000万円が自動付帯で補償される。また、国内旅行傷害保険もあり、こちらも最高5,000万円を自動付帯。年間最高300万円を補償するショッピング保険も付帯している。

■楽天PINKカード

「楽天PINKカード」

主に女性向けとして発行されている「楽天PINKカード」は、年会費無料で「楽天カード」のサービスをすべて利用可能。有料で付帯サービスをカスタマイズでき、楽天グループ優待サービスに登録すると、楽天トラベルの国内宿泊予約が1,000円オフ(1回のみ利用可)、楽天ブックスで100円オフ(月1回まで)、楽天SHOWTIMEで全品20%オフなどの特典が受けられる。RAKUTEN PINKY LIFEに登録した場合は、TOHOシネマズの映画鑑賞券が300円オフ、イオンシネマの映画鑑賞券が500円オフをはじめ、ビッグエコー、まねきねこ、コート・ダジュールといったカラオケや、ジョイポリス、大江戸温泉物語、八景島シーパラダイスといったアミューズメント施設など、幅広いサービスで優待を受けられる (いずれも一部対象外あり)。

楽天グループ優待サービス、RAKUTEN PINKY LIFEはそれぞれ月額324円。初回申込時は最大で2カ月分が無料となる。ほかにも、女性特定疾病補償や携行品損害補償などの保険に割安な料金で加入できるサービスも用意されている。

■楽天ANAマイレージクラブカード

「楽天ANAマイレージクラブカード」

ANAマイレージクラブの機能を備えた「楽天ANAマイレージクラブカード」は、年会費初年度無料。2年目以降は540円となるが、前年に一度でも利用していれば無料となる。こちらも「楽天カード」のサービスがすべて利用でき、クレジット利用で貯まるポイントの種類を楽天スーパーポイントとANAのマイルで切り替えられることが特徴。

楽天スーパーポイントコースを選択中は100円利用につき1ポイント、ANAマイルコースを選択中は200円利用につき1マイル。キャンペーンなどで貯まるポイントは、選択しているコースにかかわらず楽天スーパーポイントとなる。通常、楽天スーパーポイント(期間限定ポイントなど一部を除く)は2ポイント→1マイルで50ポイント以上から交換できるが、月に2万ポイントまでの上限があり、交換完了までに約1週間かかるので、上限を気にせずマイルを貯めたい人や、手続きが面倒な人にはメリットがあるだろう。

このほかにも招待制の「楽天ブラックカード」、大学生および大学院生限定の「楽天カード アカデミー」、法人代表者および個人事業主向けの「楽天ビジネスカード」も発行されているが、対象が限られるため今回は割愛する。なお、複数の楽天カードを同時に持つことはできないので、楽天グループの利用状況などを踏まえて、自分に合った1枚を見つけよう。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。