東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンスです。そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「競泳(水泳)」! 競技解説は泳法の指導ができるトレーナーとして幅広く活躍する森安一好さんです。
競泳の特徴
競泳とは、オリンピックでは長水路(50m)プールを使用し、定められた泳法で泳ぎタイムを競う競技です。種目は「自由形」「背泳ぎ」「平泳ぎ」「バタフライ」の4泳法と、すべての種目を順番に泳ぐ「個人メドレー」があり、距離も50~1,500mまで幅広く、オリンピックの前半の一週間で数々のレースが行われます。
さらに、団体種目として、4人とも「自由形」を泳ぐ「フリーリレー」、4人それぞれが「背泳ぎ」「平泳ぎ」「バタフライ」「クロール」の順で泳ぐ「メドレーリレー」もあります。いずれも国の威信をかけた競泳の花形種目となっています。
また、最大の特徴がタイムへの挑戦です。世界記録の達成はわかりやすいですが、選手はそれぞれ過去に出してきたベストタイムを持っており、1秒でも過去の自分のタイムを超えることを目標にする「自分との勝負」が明確になる競技なのです。
競泳を観戦するときのポイント
それぞれの選手のベストタイムへの挑戦は、入場前から始まっています。音楽を聴く選手、ユニフォームの国旗を握り締める選手、仲間に向かってアピールをする選手など、レース前に行うルーティンもさまざま。予選、準決勝、決勝と最大3レースを泳ぐため、徐々にルーティンにも気合が入っていくのがわかり、緊張感が高まります。
泳ぎ始めたら、選手の手のかき(ストローク)を数えるのも競技の魅力を深く感じられるチャンスです。50mをどのくらいのストローク数で泳ぐのか数えてみて、自身で試すのもおもしろいでしょう。競泳選手のストローク数の少なさに驚くかと思います。
そして、競泳を観戦するときの必需品が「うちわ」です。選手に風を送る意味があり、観戦時は、応援する選手に風を送ってあげましょう!
東京2020でのチームジャパンの展望
東京五輪では、日米水泳界のエース対決に注目です! 「400m個人メドレー」で世界選手権2連覇中の瀬戸大也選手。リオ大会でも銅メダルを獲得しており、今回も金メダル候補です。対するはアメリカのチェイス・カリッシュ選手。幾度となく瀬戸選手とのデッドヒートを繰り広げているライバルです。最強のライバルを退け、自分との勝負に勝てるか注目です! そして最終日に行われる「メドレーリレー」。日本男子はリオ大会で4位と悔しい思いをしましたので、自国開催でのメダル獲得に向けて、皆さんの風で選手を後押ししましょう。
遠山健太からの運動子育てアドバイス
「子どもに通わせている習い事」のランキングでいつもトップ常連である「水泳」。子どもに泳げるようになってほしいからというより、ほかのスポーツに比べて習いやすい環境が整っているから選んでいるのでは? と思えるほど、日本にはプールが多いですよね。
「泳ぐ」という動作は身の危険を回避する能力としても重要で、幼少期に25m泳げるようになるのが望ましいと言われています。このときに重要なのは、水に対する恐怖心を取り払ってあげること。最近では、水遊びができる公園も増えているので、下準備としてそこで水遊びの楽しさを知ってから、レッスンを開始しても決して遅くはありません。本人の意欲次第では、小学校高学年になったら選手コースに進んでもいいかもしれませんね。
競技解説:森安一好
水陸両用パーソナルトレーナー。泳法の指導ができるトレーナーとしてプロ野球選手、総合格闘技の王者からマスターズスイマーまで幅広く担当、し月間150件を超えるセッションを行う。NESTA-PFT、TRX-STC、さいたま市民マスターズ水泳優勝。ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数。