意外なことに、寒い冬はダイエットに最適な季節です。なぜなら、気温が低いために体が熱をつくり出そうと基礎代謝が自然と上がり、さらにすぐに汗だくになってバテてしまう夏よりも運動を継続しやすいからです。しかし、気温が低いからこその注意点もあります。今回は、そんな冬の運動における注意点を解説します。

  • ウォーミングアップや「脱水」にも気をつけよう。危険がともなう冬の運動の注意点 /パーソナルトレーナー、管理栄養士・西巻草太

    撮影場所協力/Chicken Gym(渋谷)

■気温が低い冬は筋肉や靭帯を痛めやすい季節

まずなにより心がけてほしいのが、ウォーミングアップです。気温が低いと体の柔軟性が低下するために、筋肉や靭帯などを痛めてしまうリスクが上がります。運動の前にストレッチで十分に体を温め、体の柔軟性を高めることを心がけましょう。

ただ、ひとことでストレッチといっても、いくつかの種類があります。代表的なものは次の3つです。

【ストレッチの種類】
・バリスティックストレッチ
・ダイナミックストレッチ
・スタティックストレッチ

ひとつ目の「バリスティックストレッチ」とは、反動を使って弾ませるように体を伸ばすストレッチのこと。たとえば、グッグッと膝を曲げ伸ばしする屈伸運動もそのひとつです。また、ラジオ体操もやり方によってはバリスティックストレッチになります。

こういったストレッチを運動前に行っている人も多いのではないでしょうか。子どもの頃、体育の授業での準備運動というと、それこそラジオ体操や屈伸運動でしたよね。でも、いまは、運動前のストレッチとしてバリスティックストレッチはあまり推奨されていません。反動を使うという特性上、どうしてもケガをしやすいからです。

■「ダイナミックストレッチ」でケガなく体を温める

どんなストレッチが準備運動に適しているのかというと、ふたつ目に挙げた「ダイナミックストレッチ」です。ダイナミックストレッチとは、いわゆる「動的ストレッチ」です。「静的ストレッチ」を表す3つ目の「スタティックストレッチ」と対照的なものとされます。スタティックストレッチは、体をじわーっと伸ばして一定時間止めるという、みなさんがイメージするいわゆるストレッチを指します。これは、筋肉の緊張を緩める効果があるために、運動後のストレッチに適しています。

一方のダイナミックストレッチは、体全体を大きく使って全身の可動域を広げていくストレッチ。バリスティックストレッチとちがって反動を使いませんからケガのリスクも低いですし、体全体を大きく使うので体温を上げやすいというメリットがあります。

いまならYou Tubeなどの動画共有サイトで検索すればいくつもヒットすると思いますから、それらを参考に、冬の運動前には運動後に適したスタティックストレッチではなく、ダイナミックストレッチを取り入れましょう。

一方、運動後のストレッチは必須というわけではありません。もちろん、ランニングや筋トレなどある程度の強度のある運動をした場合には、先に触れたスタティックストレッチでクールダウンすることが大切です。血行を促進して疲労物質を蓄積させずに、疲労回復を早める効果が期待できるでしょう。

でも、軽いウォーキングといった運動なら、それほど疲労物質が蓄積することもありませんし、その運動自体がクールダウンの効果を持っています。自分が行う運動の強度に応じて、運動後のストレッチをするかどうかを決めていいと思います。

■夏よりも冬のほうが体の水分は失われやすい

それから、冬に運動をするときには、「急激な温度変化」と「脱水」にも注意してほしい。屋外で運動をするときには、温かい部屋から寒い外に出ることになります。すると、血管がぎゅっと縮まることになる。その状態で運動をはじめると、今度は血管が広がり血圧が上がります。いわば、心臓に負担がかかりやすい条件がそろっているのです。もちろん、心臓への負担を軽減するためには、ストレッチによる十分なウォーミングアップをすることが大切です。

また、意外に感じる人もいるかもしれませんが、冬は脱水を起こしやすい季節でもあります。夏ならすぐに汗をかきますし、さまざまなメディアが「熱中症に注意!」「こまめな水分補給を!」と繰り返し注意を呼びかけますから、みなさんも意識的に水分補給をすることでしょう。

でも、体の水分が失われやすいのは、夏よりも冬なのです。その原因は、空気の乾燥にあります。わたしたちの皮膚や呼気からは、運動をしていなくともつねに水分が蒸発しています。そのように失われる水分は、空気が乾燥している冬のほうが夏より多くなるのです。しかも、夏のように汗をかくことも少ないので、水分が失われていることを自覚しにくい。冬に運動する場合には、夏以上に意識的に水分を補給することを忘れないでください。

■冬のぽっこりおなかに効く「オルタネイトレッグレイズ」

冬には、クリスマスや忘年会、新年会など暴飲暴食をしてしまうイベントが目白押しです。コロナ禍の今年はそういったイベントも減るかもしれませんが、冬の長期休暇のあいだにダラダラと過ごしてしまえば、おなかのぜい肉は増えてしまいますよね。

そこで今回の家トレは、ぽっこりおなかに効く「オルタネイトレッグレイズ」を紹介します。足を交互に上げることで体をひねる動きも入りますから、脇腹にも刺激を与えることができますよ。

  • あおむけになり、両足を天井めがけてゆっくり上げる。

  • おなかに力を入れることを意識しながら、天井めがけた膝はなるべく伸ばしたまま、足を交互に上げ下げする。左右交互の動きを20回×3セット繰り返す。

■低脂質高タンパクの「ささみの柚子胡椒チーズ焼き」

家トレの効果を高めるには、やはり低脂質高タンパクの食事を心がけたいもの。鶏のささみとチーズというダブルの高タンパク食材を使った一品です。

【ささみの柚子胡椒チーズ焼き】

●エネルギー約486kcal タンパク質63g
●使用する食材 ささみ4本、スライスチーズ2枚、柚子胡椒小さじ2、塩こしょう、薄力粉、サラダ油

1.ささみを包丁で開いて筋を取る。
2.ささみに柚子胡椒を塗り、縦長に切ったスライスチーズを乗せてささみを閉じる。
3.2に塩こしょうを振り、薄力粉を薄くまぶす。
4.サラダ油を引いたフライパンで焼いてできあがり。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)、清家茂樹(株式会社ESS) 写真/櫻井健司