これまでアイテムの選び方を説明してきましたが、 皆さんは当然、顔も体型も違うわけです。それが「個性」なのですが、中にはこの個性をコンプレックスに感じてしまう人もいます。体型をカバーするスーツは、そのコンプレックス解消に一役買ってくれます。

本稿では体型を4つに分けたうえで、それぞれの着こなし術の基本を説明していきましょう。

  • まずは自身の体型がどれに近いかをチェック

    まずは自身の体型がどれに近いかをチェック

ぽっちゃり体型

ぽっちゃり体型の方は、きちんとスーツを着こなせば頼れる印象を与えることができます。オーバル型にまとめ、スーツのカラーは濃いカラー(濃紺かチャコールグレイ)のみにしましょう。

Vゾーンは大きめにとる2つボタンで、上着の襟もシャツの襟も広めに。ネクタイは太めにして襟とバランスをとるようにしましょう。上着のボタンはおなかが一番出ている所で留まるように。

  • ぽっちゃり体型の方向け着こなし術

    ぽっちゃり体型の方向け着こなし術

やせ体型

やせ型の人は、シルエットは細くまとめましょう。カラーはベージュや淡いグレーなどの膨張色がオススメです。肩にはバッドを入れ、アームホールも小さくしましょう。

Vゾーンは小さくして襟幅も細くしましょう。シャツはスリムタイプの薄い暖色系がよく、襟は細く。ついでにネクタイも細くしちゃいましょう。パンツはタイトにして、丈はピッタリサイズに。

  • やせ型体型の方向け着こなし術

    やせ型体型の方向け着こなし術

短身体型

背が高くない方は、V字型スーツならば明るめの基本色で目立つストライプ柄がいいですね。襟のゴージーライン(上襟と下襟を縫い合わるライン)は高めを選び、ウエストをシェイプしたデザインを選びましょう。

パンツは細めか先が細くなるテーパードにし、裾丈はクッションなしでスッキリとしたものを。シャツの襟は小さめで、ネクタイも細めにして結び目も小さくしましょう。へアースタイルは、可能なら髪を立てたスタイルがお勧めです。

  • 短身体型の方向け着こなし術

    短身体型の方向け着こなし術

                                   ガッチリ体型

全体は、四角いボック型を基本にします。スーツは濃い基本色で、ストライプは間隔が空いた生地をチョイスしましょう。パッドのないアンコンジャケットもよく、ダブルブレストもお勧めです。上着の襟は、8cm前後の広めのものがいいですね。

ワイシャツはストライプや派手めのものを選んでもOKで、ネクタイ幅は広めで大柄を採用したいですね。パンツはストレートで4cm程度の太めの折り返しにし、折り目はしっかりと。そして、腿の太さに合わせてウエストを補正しましょう。

  • ガッチリ体型の方向け着こなし術

    ガッチリ体型の方向け着こなし術

スーツを購入するのに適した店の特徴

さて、実際に購入するとなったどこでスーツを買えばよいでしょうか。「よいスーツの購入先」の条件を下記にいくつかまとめましたので、ぜひとも参考にしてみてください。

(1)しっかりとしたスーツスタイルの知識がある販売員がいる……質問に的確に答えてくれたり、販売員自身がきっちりとスーツを着こなしていたりするお店で購入しましょう。

(2)選択の幅が揃っている……一口にグレーやネイビーと言っても幅が広いです。カラーや生地、サイズが豊富に揃っているお店がいいですね。

(3)適正な価格帯で薦めてくれる……スーツは物価の優等生です。初めてのスーツならば、既成服でもセミオーダーにしたいですが、5万円前後を目安にしましょう。

(4)スーツ直しに対応できる……太ったりやせたりした際にも、スーツは直しができます。永い付き合いができるようなお店が嬉しいですね。

正しい服装はビジネススキル

スーツといっても、業種や季節によって違いはあります。ビジネスシーンでも、カジュアル化がますます進んでいます。しかし、ビジネスシーンではまだまだ着用機会はなくなりません。

グローバル化も進み、欧米では正しい服装はビジネススキルの一つです。皆さんも、外面も内面も社会人として、職業人として成長してください。服装を整えれば、胸を張って前に進めます。

最後に私から、プラダの創業デザイナーであるミウッチャ・プラダ氏の言葉を皆さんに贈ります。

「何を着るかは世間に存在を示すこと。特に今の時代、人に届くのはとても早いから、ファッションは即興の言語になる」

※イラストレーション: 田島重則

筆者プロフィール: たかぎこういち

スタイルアドバイザー。タカギ&アソシエイツ代表。1952年大阪生まれ。若くして輸入服飾雑貨卸業を大阪で起業。その後1998年現フォリフォリジャパングループとの合弁会社取締役に就任して以来、アニヤ・ハインドマーチ、オロビアンコ、リモワ、マンハッタンポーテージ等の海外ファッションブランドを日本市場に紹介、成功させる。
また、「東京ガールズコレクション」「デザイナーズ&エージェント」など国内外のファッションイベントにも参画。現在は日本のビジネスパーソンのファッションリテラシー向上を目指して体系化したオリジナルの「6ポインツ・メソッド」を伝えるべく、「日経DUAL」「WEDGE Infinity」などへの記事執筆や文化服装学院、東京モード学園での講師経験を持つ。
著書に「オロビアンコの奇跡」「LIKABLE GUY STYLING FILE」共に繊研新聞社刊「一流に見える服装術」日本実業出版社他。