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    (C)フジテレビ

miwaとJUJUに仕掛けていた徳永英明

――今回のコンサートの手応えはいかがですか?

すごく感じました。お客さんのリアクションが直で感じられるのがコンサートの良さだと思っているので、今回も1つ1つの曲に対して、お客さんが終わった後にシーンとなって、そこからワーッと拍手喝采になっていくところを自分も体感して、「あぁ、この曲とこの組み合わせは正解だったんだ」って答え合わせをしているような感じです。今回はわりとバラード調の曲が多くて、歌をしっかり聞かせる、派手さはないけどいいものをちゃんと届けますという気持ちで構成したんですけど、それがちゃんと伝わっているという手応えもありました。派手なことやらなくても、ちゃんと"歌力"に感動していただけるという実感を掴めたのが、すごい良かったと思います。

――miwaさんは徳永英明さんとの「壊れかけのRadio」のコラボで、フェイクを予告していました。

リハーサルを何回かやる中で、「次あと1回で本番です」と言う時に、徳永さんがmiwaちゃんに「あそこのフェイク、本番は変えろよ」ってささやいたそうなんです(笑)。miwaちゃんは、やっぱりフェイクというのはその時のテンションで出てくるものだから、本番で頭に降りてきたフェイクをやってみたと言ってました。すごいプレッシャーだったと思いますけど、充実した顔をしてましたね。

あと、徳永さんはJUJUさんとのコラボが『MUSIC FAIR』の定番となっています。大人の男性と女性がラブソングを歌う時にお互いがどこまで気持ちを入れるのかというのを私は毎回すごく楽しみにしていて、今回は立ち位置がどんどんどんどん近づいて、本当にキスするんじゃないかみたいな状況になったんですよ。これも徳永さんが事前に、JUJUさんに「本番分かってるよな。ちゃんと仕掛けてこいよ、俺は受けて立つから」と伝えていたそうで、JUJUさんが「これは行くしかない」と決心して近づいていったら、そこまで来ると思わなかった徳永さんの方が照れて目を逸しちゃったという(笑)。JUJUさんが「やってやりました!」みたいな感じになってました(笑)

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    miwa(左)と徳永英明

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    JUJU(左)と徳永英明

  • (C)フジテレビ

――MCの仲間由紀恵さんと軽部真一アナウンサーは、今回が初コンサートですよね。

仲間さんの素晴らしさって、とても柔らかくて誰にもプレッシャーを与えない司会ぶりだと思うんです。笑いを必要とされない『MUSIC FAIR』のトークだけれども、とは言え本当にお客さんの前で笑いを取らなくてもいいのか?みたいな空気になる時もあるんです。でも、そういうプレッシャーを相手に感じさせず、あなたがいいようにしゃべってくださいと包み込んでくれるような感じなんです。

――「包み込んでくれる感じ」というのは、今回インタビューさせていただいたmiwaさんとLittle Glee Monsterさん(※次週掲載)も口をそろえておっしゃっていました。

仲間さんはとても真面目で、台本も事前に完璧に読み込んできますし、台本に書いてないアーティストの情報も勉強されています。こんな一流女優の方が司会業にここまでの情熱を持って取り組んでくれるんだなと感動しましたね。世間的には真面目すぎて素が見えない、といったイメージもあるのかもしれないですけど、実はすごくチャーミングで面白い方なんです。ボケッとツッコミで言うとツッコミの方なんですが、たまに出る天然のツッコミキャラみたいなところが、とてもかわいらしくて味付けとしてすごく生きてきますね。

――軽部さんはいかがでしたか?

軽部さんには、仲間さんが「軽部さんがいてくれれば私は大丈夫」と思える安心材料でいてほしいとお願いしています。万が一にも詰まってしまった時、あるいはゲストが予想だにしないしゃべりをした時にスッと手を差し伸べるような役割を果たしてくれています。今回のコンサートでも、その役割をきちんと果たしてくださいました。

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    MCの軽部真一アナウンサー(左)と仲間由紀恵 (C)フジテレビ

成熟した大人の音楽を若い人たちに

――あらためて、今回のコンサートの見どころを伺えれば。

新しい要素として、近年注目を浴びているミュージカルを取り入れました。石丸幹二さんと新妻聖子さんというミュージカル界のスターに「虹の彼方に」「美女と野獣」を歌っていただいています。『ラ・ラ・ランド』がヒットしたり、山崎育三郎さんのような華やかなスターが登場したりして、ミュージカルというものが脚光を浴びていますが、チケット代も高いですし、若い人はなかなか劇場に行けないと思うんです。劇場に足を運べない世代の人にもこういう音楽があるということを紹介するのも『MUSIC FAIR』が果たしていく役割だと思っているので、今回取り入れてみました。あとは永六輔さんの「黄昏のビギン」「夢で逢いましょう」という昭和の音楽史に刻まれた名曲を、『MUSIC FAIR』を通して若い人たちにも紹介していくということ。今回はこの2つの企画が、新たに試したものですね。

――最終週の3月31日には「桜ソングメドレー」もありますね。

コブクロさんの「桜」と、森山直太朗さんの「さくら」。この季節にはこれが聞きたいでしょうというものになっていますので、ここは結構見どころになると思います。

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    ミュージカル名曲企画

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    永六輔の名曲メドレー

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    桜ソングメドレー

  • (C)フジテレビ

――石川さゆりさんは、コンサートには22年ぶりの登場なんですよね。

昨年の『FNS歌謡祭』で十何年ぶりかにフジテレビで歌っていただいて、私が撮らせてもらったんですけど、カット割りをする時に、石川さんが過去に歌われたいろんな映像を見て研究したら、曲のここで視線を右に送るとか、ここで上を見上げるとかが全部決まってるってことに気付いたんです。つまり1曲が1つの物語になっていて、それを石川さんが演じている。まるで歌の中の人物が憑依しているような鬼気迫る表現に鳥肌が立ちました。今回は「天城越え」を歌っていただいていますが、再び石川さんの歌を撮らせていただけた喜びはとても大きかったです。「演歌だから」とか「世代が違うから」といった理由でこんなにすごい表現者を知らずにいるのは本当にもったいないことだな、とあらためて感じました。

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    石川さゆり (C)フジテレビ

――そうしたものを若い世代に伝えていくのが、『MUSIC FAIR』の役割なんですね。

そうです。『MUSIC FAIR』は、そういう成熟した大人の音楽、文化みたいなものを伝えていくことが大事な番組の役割だと思っています。最近はアイドル市場が活況なので、「幼さ」とか「未完成な存在」がどうやって成長していくのか?というドキュメント的な物語が音楽シーンの中心にあります。もちろん、それが多くの人の胸を打っているのも事実ですし私も好きなんですけど、一方で成熟した大人の文化というものが実はテレビの中でおざなりになっている気もしているので、そうものを若い人たちに伝えていきたいですね。

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    出演者の集合写真 (C)フジテレビ