連載「ワーママのモヤモヤ整理します」は、託児付きランチサービス「ここるく」の経営者で、育休復帰・働き方改革のコンサルティングも手掛ける山下真実さんが、ワーママが抱えるモヤモヤを整理・解消に導いていく企画です。

4回目となるモヤモヤ整理は、3歳の娘さんを育てながら、いつ2人目を出産するのがいいのか悩んでいるやすこさんが主人公。来年には2人目をと予定してはいるものの、キャリアのことを考えると踏ん切りがつかないといいます。

→これまでの相談内容はこちら

  • 2人目、いつ産むのがベスト?※画像はイメージ

【今回の相談者】

やすこさん(35歳) 3歳の娘を育てながら時短勤務で働いている。2人目を考えているが、キャリアのことを考慮すると、いつ出産するのがベストなのか、正解が分からずモヤモヤしている。

育休後の働きやすさを考えて、今いる部署で成果を出したい

山下さん: 2人目を出産するタイミングって、本当に悩ましいですよね。私には子どもが2人いますが、長女の出産から長男の出産まで5年あきました。長女が1歳半くらいのときに『そろそろ2人目ができても大丈夫かな?』と思いかけたんですが、長女のイヤイヤ期を妊婦で迎えられる自信がわかなくて……。あれよあれよという間に4年たち『5学年以上あくと※兄弟加点が付かず、保育園入園が不利になる!』と思って、焦りはじめた頃に運よく……という感じです。人によって正解が違うから、モヤモヤしますよね」


※長子が認可保育園に通っている場合、2人目以降の子の入園の際に調整指数が加点されること。結果として保育園に入園しやすくなる

やすこさん: 「そうなんです……今3歳の娘がいて、来年のうちに2人目を産もうかなと計画しているんですが、去年部署異動があって、1年ほどしか今の部署で働けていないので、実績を積めないまま職場を離れるのが不安です。今の部署では入社以来希望していた広報業務に携われているので、やりがいもありますし、できれば長く集中して仕事に取り組みたいと思っています。職場にとって必要な人材だと認めてもらうためにも、成果を出してから産休に入りたいと思ってしまい、踏ん切りがつかないんですよね……


山下さん: 「2人目の問題は、仕事の成果やタイミングが絡んでくると、さらにシミュレーションが複雑になっちゃいますよね」


やすこさん: 「でも、産める期間は限られているし、そろそろだなとは思うのですが……」


そもそも「自分1人の仕事の成果」は測りづらい

山下さん: 「子育てしながら社会人としてどう成功を収めていくかを考えだすと、いつ2人目を出産するのがいいのかは、正直私にも分かりません。でも、『自分だけの仕事の成果』ってそもそも測るのが難しいですよね。もちろん、自分のがんばりもありますが、仕事って何かしらチームで動く部分も大きいと思いますから、『成果』という形にこだわりすぎると、産むタイミングを見失ってしまうかも


やすこさん: 「そう考えると、目に見える成果という形ではないかもしれませんが、チームの中で貢献はできているのかなという気がしています。チームで一緒に働いている先輩方から『がんばって』と言ってもらえる環境は、この1年で作れている実感があるんです。そしてその思いがあるから、モヤモヤはしながらも、2人目出産に前向きな気持ちになれているんですよね」


山下さん: 「周囲はやすこさんのこと、認めてくれているんだと思いますよ。忘れがちだけれど、実は妊娠してからも、産休に入るまでは半年以上働ける期間があります。そう考えると、体調と相談しながらではありますが、実績を積み上げ続けることはできますしね


やすこさん: 「そうか、妊娠した途端にキャリアがストップするわけではないですもんね


周りと比較してしまうのは仕方ない、でも希望は捨てないで

山下さん: 「『出産しない方が早く出世できたかも』とか『2人目をつくると管理職昇進が遅れるかも』とか、周囲と比較するのではなく、着実にキャリアを積み上げているやすこさんは軽やかだなと私は思いました」


やすこさん: 「産休に入っている間に男性の同期が昇格したり、さらに復職してからも同期の女子が昇格したりして、焦る気持ちは正直ありました。私は今年昇格のチャンスをいただけて、次のステップが見えてきたので、安心している部分があるかもしれません。今はいい波に乗りつつあるなと思いますが、妊娠・出産による昇進の遅れは、やっぱりモヤモヤしますよね」


山下さん: 「昇格のチャンス、おめでとうございます! 組織の中では、昇進・昇格のためのルートのようなものが存在していて、大きな組織で働いていると特に、そのルートで進めないと昇進が遅れてしまうことも少なくないと思います。ワーキングマザーにとって、このシステムが頭では理解できていても、モヤモヤしがちなポイントだと思うんですよね

「でも、妊娠・出産を経たからこそ成長している部分は絶対にありますから、自信を持ってください。これからは、子育てしながら働き続ける女性の能力を引き出し、価値を提供していける企業だけが生き残っていける時代。経営者であれば必ずそこは意識していますから、やすこさんも子育てと仕事を続けていく未来を怖がらないで! そして時には声をあげて自分のいる環境から変えていってほしいと思います。やすこさんの選択、応援していますよ!」


山下真実

株式会社ここるく 代表取締役・社会起業家・2児の母
米国留学によるMBA取得、米系投資銀行・金融コンサルを経て、ママになったことをきっかけに子育て支援という全くの新領域へ。人気レストランから選べる託児付きランチサービス「ここるく」を2013年にスタート。サービスを通じて集まる働くママのインサイトと、MBA・コンサルで得た専門知識の両面から、ママ向けサービス開発や育休復帰・働き方改革コンサルティングなども手掛ける。
『第14回女性起業家大賞』、三菱UFJ銀行主催『Rise Up Festa』最優秀賞受賞。