筆者はこれまで携帯オーディオプレーヤーは「ウォークマン」や「CDウォークマン」などを使ってきた。最近では、「iPod touch」や「iPhone」にも惹かれたが、結局、今度もウォークマンを購入した。現在、筆者は通勤にほぼ90%以上クルマを使っており、クルマでもウォークマンで音楽を楽しみたい。そこでウォークマンの車載にチャレンジすることにした。
購入したウォークマンは「WM-A829」
筆者がこれまで使っていたメモリータイプのウォークマンは容量512MB。アルバム数枚分のデータは収録できるのだが、出先で「あ、あれが聞きたい」と思ってもそれはかなわない。そこでデータ容量で圧倒的に有利なHDDタイプを考えたが、現在ではHDDを搭載したオーディオプレーヤーは減りつつある。ウォークマンにも以前はHDDモデルが用意されていたが、現在はメモリータイプのみになっている。iPodシリーズにはまだあるが、HDDタイプのデザインはあまり好みではなかった。
そこで容量の大きなメモリータイプから選択することにした。最近話題になっている「iPhone」や「iPod touch」はデザイン的にも引かれるところがあったが値段が高いし、やはりソニー製品を使い慣れている身としてはなかなか踏み切れない。結局選んだのは、ウォークマンシリーズの中では現状で最も容量の多い16GBタイプで、Bluetoothにも対応した「NW-A829」だ。最近では携帯電話で使えるBluetooth対応ステレオヘッドセットが欲しくなっていたこともあり、将来はそれを使ってケーブルレスで音楽を聴くというのもいいと思ったのだ。
どうやってカーオーディオに接続するか?
ウォークマンを車載する上で問題になるのが電源の確保と音楽の伝送だ。方法としては3つ考えられる。ひとつはWM-A829のBluetooth機能を使い、無線で出力するという方法だ。この場合電源は別途用意する必要がある。2つめは車載オーディオの接続で一般的なFMトランスミッタを使用する方法。純正のFMトランスミッタを使えば同時に電源の供給も可能になる。最後がヘッドフォン端子またはラインアウトからケーブルでカーオーディオの外部入力端子に接続する方法だ。この場合も電源は別途確保する必要がある。いずれにしても、なるべく車内に見えるケーブル類は少なくし、すっきりさせたいところだ。
まずはBluetoothで接続する
せっかくBluetooth対応ウォークマンを購入したのだから、Bluetoothでの接続を試みた。筆者の使用しているカーオーディオはカロッツェリアのCDヘッドユニット「DEH-P007」なので、オプションでBluetooth用アダプター「CD-BTB10」が用意されている。しかし、Bluetooth機能を追加するだけで実売1万5000円程度とかなり高い。そこで今回は、ソニー純正のBluetoothレシーバー「HWS-BTA2WA」を利用してみることにした。
本来、HWS-BTA2WAは車載用ではないが、クルマにDC/ACコンバーターがあれば家庭用コンセントのままで利用できる。余談だが、DC/ACコンバーターは大容量の電源が必要な機器は使えないが、とっさの場合に家庭用コンセントが必要な電気製品が使えるので便利。外出先でデジタルカメラのバッテリーがなくなったときや、携帯電話の充電などにも重宝している。数千円で購入できるので、クルマに乗る機会が多いなら買っておいて損はないだろう。
HWS-BTA2WA自体は、ソニースタイルで7980円程度と安く、大きさは携帯電話を2回りほど小さくした程度で非常にコンパクト。本体上面には電源スイッチと、Bluetoothの受信用(RX)/送信用(TX)を切り替えるスイッチがあり、左側面にはほかのBluetooth機器と接続するペアリング用ボタンを備えている。今回はウォークマンから音楽を受信するのが目的なので受信用の「RX」にスイッチを切り替えておく。あとは電源と音声出力を接続し、Bluetoothのペアリングを行なう。ウォークマン自体には複数の機器を登録できるので、ほかにヘッドフォンなどを登録していても、HWS-BTA2WAは追加で登録できる。次回からは接続先を選ぶだけだ。また、最初に登録された機器に優先的に接続するようになっている。
伝送されているデータはデジタルとはいえ、エンジンノイズやDC/ACコンバーターも併用しているためノイズという意味では車内は劣悪な環境だ。音楽再生中にノイズが乗ったり、最悪の場合は接続が切れてしまうかもとも思ったが、まったく問題はなかったまた、HWS-BTA2WAはソフトスイッチを採用しているため、一度エンジンを切った後は、再び電源ボタンを押してやる必要がある。しかしウォークマン側でBluetoothの設定を変更していなければ、再生を開始すると自動的に接続が再開されるのは便利。DC/ACコンバーターなどで電源さえ確保できるならば、安価にBluetoothを活かしたワイヤレス接続ができるのが魅力だ。
HWS-BTA2WA使用時の配線図。せっかくのワイヤレスなので配線は最小限にとどめたい。普段はバッテリー駆動で使用すればウォークマン本体はポケットやカバンの中でもいいのがBluetooth接続のメリットだ |
アンテナ線の長いウォークマン専用FMトランスミッタ
次にウォークマン専用FMトランスミッタを試してみた。車載用FMトランスミッタはCDプレーヤーやカセットプレーヤーなどの接続で多く使われており、純正や他社製に限らず数多く発売されている。現行ウォークマンの純正アクセサリーとしては、「DCC-NWFMT1」が用意されている。DCC-NWFMT1はシガーソケットから電源を取り、ウォークマン本体にはウォークマンシリーズ専用ポートのWM-PORTで接続する。また、周波数表示が可能で周波数切り替えスイッチを備えたユニットが付属する。
最初に写真を見たときに1〜4の数字が振られたスイッチがあるので、これでウォークマンが操作できるのかと思ったが、可能なのはプリセット周波数の変更だけだった。この操作・表示ユニット自体は付属の両面テープで車内の好きなところに固定する。周波数の変更は上部の+/-ボタンで行なう。ちなみにWM-PORTには音声信号のほかコントロール信号も出力されており、WM-PORT経由で外部コントロールできる製品も存在する。
現物を見るまで気付かなかったことがひとつある。それは、FMトランスミッタ用のアンテナが非常に長いことだ。ワンボックスなど車内空間の広いクルマならこれでもいいかもしれないが、クーペボディではまずどこにアンテナ線を仕込むかで悩むだろう。ほかにアンテナの短いトランスミッタを探せばいいのかもしれないが、WM-PORTを利用する純正FMトランスミッタはこの製品のみ。しかし、送受信を近いところでおこなうためか、DCC-NWFMT1のアンテナを丸めたままで数日使用してみたが、ノイズなどはまったく入らなかった。
仮付けした段階で床にとぐろを巻くアンテナ線。操作部がある上に、アンテナ線があるせいでコードが多くなってしまうのが難点 |
DCC-NWFMT1使用時の配線図。ケーブルが多いので、どうしても配線が煩雑にならざるをえない |
平雅彦(WINDY Co.)