炎天下に駐めたクルマはたまらないほど暑くなる。車体が熱されて、乗り込んだだけで汗が噴き出すほどだ。エアコンはあっても、室内が冷えるまでには時間がかかる。駐めていても車内の気温が上がらないならそれに越したことはない。今回は筆者が実践している小ネタを紹介しよう。
日陰に駐車が基本。可能なら少し窓を開けておく
駐車場にクルマを駐める時は、できるだけ日陰を選ぶのが基本。デパートの駐車場なら屋上よりも屋根のあるフロアがいい。もちろん誰も同じことを考えるから、日陰のフロアから埋まっていくのが普通なのだが。日陰が無理なら、できるだけ直射日光が室内に入らないように気を配る。たとえば夕方だと急激に日の向きが変わるので、それを考慮しつつ、クルマの向きを考えて駐車するのがいい。
盗難を気にしなくていいような場所であれば、窓を1cm程度開けておくだけでずいぶん変わる。室内が換気され、室内の温度を下げられる。真夏日といえども、密封して駐めたクルマの中より、外気のほうが涼しいもの。また、窓の上端は室内のもっとも高い位置だから、換気の面でも効率がいい。もちろん開ける窓は多ければ多いほうがいい。
サンシェードやウィンドウフィルムで日光を遮る
少しでも室内に入る日が減らせれば、それだけ温度の上昇は抑えられる。そんなときに有効なのが市販のサンシェードだ。カー用品店やDIYショップで普通に売られている500円もしないような製品でも効果は十分にある。室内温度はあまり変わらなくても、シートやハンドルなどが熱くなるのを防いでくれるだけでもうれしいものだ。
温度上昇を抑えるという意味では、光をはね返すミラー系の素材を使ってあるもののほうが有効のようだ。黒っぽい色は熱を吸収するから、結局室内の温度を上げる。ミラータイプのものは、長時間使っていてもサンシェード自体はそれほど熱くなっていない。光を反射してしまうためだろう。フロントガラスを覆うタイプのほか、サイドウインドウやリアウインドウに吸盤で貼り付けるタイプも市販されている。これらを併用するといいだろう。
光のうち、熱に変わるのは赤外線。そこで窓ガラス全体に赤外線カットフィルムを貼ってしまうという手もある。ガラスにスモークフィルムを貼る人が多いようだが、その際に赤外線カット機能のついたものを選ぶのがいい。また、そうしたフィルムは赤外線だけでなく紫外線(UV)をカットできるものも多いので日焼け対策にもなる。
ちなみに、運転者の視界を妨げないようにするため、フロントと前席の左右ウィンドウには可視光線透過率が70%以上のものしか貼ってはいけないという法律がある。カーショップでフィルムを貼ってもらう場合にはショップが注意してくれると思うがが、自分で貼る場合には注意したい。フィルム自体は数千円程度で購入できるが、施行代を含めると4~6万円程度になることもある。フィルム貼りは難易度は高いが、まずは自分で試してみるのもアリだろう。
乗車前にはドアを開けて換気するだけで快適に
長時間クルマを離れている場合や、高価なカーナビや荷物などを積んでいる場合は、やはり窓は開けたくないもの。また夏場は夕立も気になるところだ。そんな場合にはやはり窓はしっかり閉めておかざるを得ないが、運転する前に左右のドアやリアハッチを開けて数分待つだけで、室内の気温を一気に下げられる。つまらないネタだが、ほんの2~3分待つだけで、快適さが大きく変わるのだ。
左右のスペースがあれば、ドアを全部開けてしまうのがいい。特にリアハッチは車内後部に溜まった熱気を逃がすのにとても有効なので、めんどうくさがらずに開けておこう。このとき、クルマのエンジンをかけてエアコンをつけておけば、乗り込んだ時にはすでにエアコンからは冷気が出ているという案配だ。
最終手段は水で強制冷却
筆者は前に黒いボディカラーのクルマに乗っていたことがある。いうまでもなく、黒は熱を吸収しやすいために夏場の車内まるでサウナのような暑さだった。天井を手で触ると、もはや「ぬるい」とか「暖かい」というレベルではなく、触っているのがイヤになるほど「熱い」のだ。日を受ける屋根の熱さが伝わってくるのだろう。もちろんクルマに乗り込む前にドアを全て開け、換気しならがエアコンを動作させても天井から伝わる熱で天井は熱いままだった。
ある時、ふとガソリンスタンドで洗車しているクルマを見て「水かければ温度も下がるかな?」と思い、早速スタンドの店員に「すみませんが、暑くてたまらないので水をかけてもらえませんか?」とお願いしたところ、店員は笑いながらホースで水をかけてくれた。すると水をかけている天井の温度がみるみる下がり、エアコンから吹き出る冷気の温度も下がって、室内は一気に涼しくなった。その効果は驚くほどだった。
駐車場近くに水道があるなら、出かける前にざっと水をかけてみよう。どうせ水をかけるなら、洗車をしてクルマをきれいにしてから出かけるという手もある。クルマもキレイになって、気分的にも快適になる。もっとも、自分も水浴びをしなければならなくなるかもしれないし、時間に余裕がある場合に限られるが。また、室内温度を急速冷却するスプレーなどもある。頻繁に使うとコストがかさむが、気化熱で瞬時に温度が下がるのは魅力的だ。
夏休みを迎えるにあたり、クルマで家族旅行などを計画している人も多いと思う。クルマに乗り込んだ瞬間から車内が暑いとイライラしてしまい、楽しい計画も台無しになりかねない。クルマの暑さはちょっとしたアイディアの積み重ねで快適になる。快適なドライブを楽しんでほしい。