問題をおさらい!

  • 自衛隊のオートバイはどんな役割? という問題でした

正解はこちら!

【答え】偵察用オートバイ

正解は「偵察用オートバイ」です。正式名称は「オートバイ(偵察用)」。

偵察用オートバイは、主に陸上自衛隊の偵察隊に配備されています。筆者の父親もかつて自衛隊員でしたが、所属していた普通科連隊に配備されていたといいます。

  • 陸上自衛隊「偵察用オートバイ」

    自衛隊で使われている偵察用オートバイ。正式名称は「オートバイ(偵察用)」です

偵察用オートバイの主な役割は、その言葉の通り、偵察任務に従事する隊員の移動手段です。

近年の戦争は「情報戦」といわれるほど、多くのデジタル機器が投入されています。ドローンなどを使えば、相手に気づかれることなく情報を収集することが可能です。しかし、デジタル機器が投入できなければ、隊員が敵地に潜入し、情報を収集しなければなりません。

戦車のような大きな車両は偵察に向きません。そこで活躍するのが、機動力が高く、何より目立ちにくく、敵に見つかりにくいオートバイなのです。

四輪車では進むことができない悪路でも、オートバイなら進入できます。当然、川や道幅の狭い山林も余裕で走り抜けることができます。

隠密行動をとるため、車体に葉っぱやワラをまとわせて、できる限り目立たず周囲の環境に溶け込むような仕様にすることもあります。無線用のラックも装備しており、偵察任務で得た情報は無線機を使って伝達します。無線が使えなければ、オートバイを走らせて味方の基地まで引き返し、直接情報を伝えることもあります。機動力の高いオートバイは、偵察任務で欠かせない装備品となっているわけです。

  • 陸上自衛隊「偵察用オートバイ」

    小型軽量のボディをいかし、さまざま悪路を走行できる点がオートバイの利点です

オートバイならではの利点は他にもあります。例えば、四輪車よりも軽いため、トラックの荷台やゴムボートに積んで移動したり、ヘリコプターに積み込んで遠くの敵地近くまで複数台のオートバイを運び込んだりすることも容易です。偵察隊員だった筆者の知人の話によれば、かなり過酷な環境で使っても、ほとんど壊れることがなかったそうです。

偵察用オートバイのベースとなっている車両は、川崎重工業(カワサキ)のオフロード「KLX250」です。スペックは排気量249cc、最高出力24PS、最大トルク2.1kgf・m、車重154kg、最高速度135km/h。自衛隊では過去にホンダ製のオートバイを使用していた時期もあったようです。

スペックは民生用と大きな変更はありませんが、後方に無線機を搭載するためのラックが追加されています。車体を陸自カラーであるオリーブドラブ(濃緑色)に塗装してあるのも特徴です。金属部分は光の反射で目立ってしまわぬよう、マットなオリーブドラブか黒で塗装。フレームの一部は耐久性向上のため補強されています。

前述の知人によれば、泊りがけの訓練に行くときは、任務で必要な装備品のほか、着替えや食料など、かなりの量の荷物を持っていかなければならないそうです。そのようなときでも、リアシートに荷物をしっかりとくくりつければ、車体がふらついてしまうこともなく、かなり安定して長距離走行できるとのこと。「フレームが補強されているからではないか」とその知人は話していました。

なお、民生用KLX250(1998年発売)はすでに生産が終了していて、新車での入手は難しいでしょう。中古なら、状態にもよりますが20~70万円台で入手できそうです。ここまでタフなら通勤やレジャーの移動手段としても大活躍しそうですね。

  • 陸上自衛隊「偵察用オートバイ」

    偵察用オートバイは自衛隊にとって欠かせない装備となっています

以上、室井大和さんの解説でした。それでは、次回をお楽しみに!