普段から仕事が楽しくて仕方がない、そんな人も世の中にはいるでしょう。
しかし、仕事の多くはルーティンワークです。だから、「つまらない、めんどくさい」「上司から言われた○○をやりたくない」といった、気持ちをいだきがちです。
しかし、仕事ですから、勝手に、自分の判断だけでやめられない。でも心は動かない、困りますよね。
そこで、やりたくない仕事でも、モチベーションを保ちながらしっかり続けられるコツを、『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』(アスコム)から紹介してもらいます。
簡単にすれば、機械的に続けられる
前回は、やりたくない仕事を続けるため、仕事を「楽しく」する方法を紹介しました。別のアプローチで、厄介な仕事を継続する方法があります。それは、可能な範囲で「簡単にする」ことです。極端な話、モチベーションがなくても、できてしまいます。
例えば、自分がダイエット中だったとしたら、どちらを選びますか?
A.体重計を棚に置き、使うたびに出す。
B.体重計を目に付くところに置く。
Bの方が、体重計に乗る頻度が増え、増減に目配りしやすいでしょう。絶賛ダイエット中の私も、朝起きて、身支度する場所までの動線に体重計をセッティングしています。
朝起きたら必ず通る場所なので、体重計に乗って計測するのが習慣化されました。いかに「わざわざ」を減らすか、と考えていくといいでしょう。
挫折せず、しつこくやり続ける人を観察していくうちに、次の3つのコツを身に付けている人が多いことが分かりました。
簡単にする工夫1 フォーマットを作っている
ジョブズ氏や、フェイスブック社のザッカーバーグ氏がプレゼンをしているときの服装を、意識して見たことはありますか。
彼らはいつも同じ恰好。服を選んだり考えたりするのにかけるエネルギーや時間を無駄と考えていたからだそうです。一つに決めれば、迷ったり、悩んだりする煩わしさから解放されますし、やり続けることもしやすくなります。
簡単にする工夫2 手間を省いている
ビジネスシーンで、クライアントから届くメールにどう対応していますか?
パソコンのメールアドレスに届くから、パソコンを立ち上げて返信。移動中に届いたメールならスマホで返信という方が多いかもしれません。私は、スマホの音声入力をフル活用しています。
「え?」と思った方は、一度ご自分のスマホで試してみてください。手でタイピングする10倍の速さで作成できますよ。
また、ユーチューブでも活躍されているメンタリストDaiGoさんは、iPhoneひとつで動画を撮影、投稿しているそうです。クオリティを保ちつつ手間を省いて時短できれば、空いた時間を有効活用してパワーを維持することに費やせます。
簡単にする工夫3 判断を減らしている
判断にかけるエネルギーを極限まで減らすよう努力しましょう。
複数の選択肢を比較して判断するのは、とてもエネルギーのいることなんです。知らず知らずのうちに、判断疲れを起こしているかもしれません。
取り入れてほしいのが、「if-then(イフゼン)プランニング」という方法。社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソン氏が『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で紹介しています。
条件反射でやるべきことを自動化する究極のメソッドとしてイチ押しです。
方法はとてもシンプルで、「もし〇〇になれば◆◆する」というフォームに行動を落とし込み、実践するだけ。
「もし19時になったら、ジムへ行く」
「もしミーティングが開始されたなら、1回以上発言する」
「もし電車に乗ったら、単語を5つ覚える」
といったふうにです。
行動によって変動はありますが、2ケ月ほど続けると努力を無意識のレベルにでき、習慣として定着します。このメソッドを使うと、成功率が2~3倍上がるそうなので、試してみない手はないですよね。
また、毎週〇曜日は「〇〇の日」などと、完全に決めてしまうのも手です。「いつ、〇〇に行こうかな」といったことすら考えない。こんなちょっとしたことが、続けることにつながるのです。
著者プロフィール:伊庭正康(いば・まさやす)
株式会社らしさラボ 代表取締役
営業強化、リーダー強化等、年200回の研修・講演・コーチングに登壇。仕事の悩みに答えるYouTube「研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル」もスタート。『できるリーダーは、これしかやらない』(PHP研究所)、『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』(アスコム)など著書多数。