連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

夫の年収と妻の年収の組み合わせで配偶者(特別)控除の額が変わる!

昨年までは「年収は103万円以内に」などと、1年間の収入を調整していた専業主婦の方にとって、今年からは勝手が変わります。従来のルールが適用されなくなります。1年のはじめの1月から3月くらいまでの間に、今年の自分に有利な働き方について、しっかり検討し、戦略的に働いた方がいいかもしれません。

これまでは妻の年収が103万円以内のとき、夫は38万円の配偶者控除を受けることができました。妻の年収が103万円を超えても、夫の年収が1,220万円以下の場合、配偶者特別控除を受けることができました。配偶者特別控除の額は妻の年収が103万円を超えて141万円になるまで段階的に縮小するものの、受けることができました。

なお、配偶者控除や配偶者特別控除は、いずれも所得控除という夫の税制優遇の仕組みです。

今年から、この仕組みが変わります。夫の年収と妻の年収の組み合わせで配偶者控除と配偶者特別控除の額が変わることになるため、ややこしくなります。 基本的な考え方は、年収が多い世帯ほど控除が受けられなくなり、年収の少ない世帯はこれまでよりも多くの控除を受けることができるようになります。 まず、夫の年収が1,220万円超の場合、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられなくなります。夫はこれまでよりも払う税金が増えます。

夫の年収が1,120万円超1,220万円以下の場合、妻の年収によって控除額がこれまでよりも縮小、あるいは拡大します。

そして、夫の年収が1,120万円以下の場合、妻の年収が150万円まではこれまでの103万円以下のときと同じ38万円の控除を受けることができます。その後、150万円を超えると徐々に控除額が少なくなり、201万円超でなくなります。これまでは妻の収入が141万円を超えると控除はなくなりました。つまり、今年から税制優遇が拡大して夫の払う税金は少なくなります。

具体的に控除額をみてみましょう。

  • 2018年からの配偶者控除・配偶者特別控除の額(所得税)

表中の夫と妻の年収の組み合わせのうち、黄色の部分は控除額がこれまでより拡大する組み合わせ、青色の部分は控除額がこれまでより縮小する組み合わせ、白色の部分は控除額がこれまでと変わらない組み合わせです。

なお、上の表は所得税について示していますが、2019年度課税分の住民税についても、控除額はやや異なるもののこれに近いルールが適用されます。

働き方を考えるなら税金だけでなく社会保険料の負担にも注意

妻が働き方を検討するポイントは、配偶者控除・配偶者特別控除だけではありません。これらは、夫の所得にかかる税金に関係する話です。

もうひとつの大きなポイントは、妻が負担する社会保険料です。妻の収入が一定の金額を超えると社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料等、あるいは国民年金保険料、国民健康保険料等)の負担が始まるからです。妻が社員数501人以上の会社で週20時間以上働く場合は年収106万円、社員数500人以下の会社で週30時間以上働く場合は年収130万円が目安になります。

専業主婦の主婦が今年の働き方を考える場合は、まず、夫の年収を確認して配偶者控除・配偶者特別控除の有無とその額を確かめ、その後に会社の規模等から「年収106万円」あるいは「年収130万円」を意識する必要があります。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

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ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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