連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


ジュニアNISAの投資資金は、親や祖父母からの贈与がメイン!

前回ご紹介したように、2016年4月からは「ジュニアNISA」制度が始まります。

ジュニアNISAの口座名義人は0歳から19歳までの未成年者ですので、多くの場合、親や祖父母が子供や孫に贈与したお金が投資資金になるでしょう。

ジュニアNISAの年間の投資額の上限は80万円と決まっているため、毎年80万円までを子供や孫に贈与し、口座の管理は親などの親権者が行うことになります。

この贈与は、「暦年贈与」という仕組みの中で行うことになります。

暦年贈与制度では、1年間で110万円を超える贈与を受けたら贈与税がかかる!

暦年贈与制度では、1月1日から12月31日までの1年間で110万円を超える財産の贈与を受けた場合、贈与を受けた人に贈与税がかかる仕組みです。

ジュニアNISAの投資資金として親から80万円のお金を贈与された未成年の子供は、その年中の贈与がそれだけであれば、非課税枠110万円の範囲なので申告・納税の義務はありません。しかし、同じ年に同じ仕組みで祖父母から教育資金などとして100万円をもらったら、その年に贈与を受けた額が合計180万円になるため、非課税枠110万円を超えてしまい、贈与税の申告・納税をする必要が出てきます。

この場合の贈与税額は、下の【贈与税額の計算式】・【<一般>上記以外の贈与税額の速算表】を活用して求めることができます。

  • 贈与税額=(180万円-110万円)×10%=7万円

その他、同じ年の年始と年末に、ジュニアNISAの投資資金として親から子供にそれぞれ80万円を贈与する場合も、その年の贈与額が合計160万円になるため贈与税がかかります。例えば、2016年4月に当年分の投資資金80万円、2016年12月に翌年分の投資資金80万円を贈与するようなケースが考えられますので注意をするようにしましょう。

暦年贈与の仕組み(概要)

贈与税額の計算式

<特例>20歳以上の者が実の親や祖父母が贈与を受けた場合の贈与税額の速算表

<一般>上記以外の贈与税額の速算表

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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